AS IT IS
More Russians Growing Their Own Food
September 11, 2016
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高率のインフレとロシア全域での食料不足を受けて、一部のロシア人は自分が食べる野菜を自分で育てている。

国家の経済的苦境によって食品価格は上昇を続けており、多くの人々が貧困状態に置かれている。

旧ソビエト連邦時代、ダーチャと呼ばれる伝統的な田舎の家で暮らすロシア人たちは、しばしば自分たちで食物を育てていた。

現在多くのロシア人家庭が、一部は都市に暮らす人も含めて、経済的苦境期に対処するために再び食物を育てている。アイリナ・ブルゼンコはモスクワに住み、そこで働いている。

「私たちの祖母はダーチャを持っていて、そこで多くの物を育てています。キャベツとかビートとか。ちょうど今、私はボルシチを作っていますが、自家製のビーツと人参を使っています。タマネギも自家製です。そうやって夏に自分たちで育てた分を買わずに節約しています。このおかげで、それほど酷いと感じずに済んでいます。」
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しかし一部の家庭にとっては、自分たちで食物を育てるだけではまだ十分ではない。そうした人々を助けるため、ロシア人ボランティアはフードシェアリングの活動を設立した。食品はレストランや個人から寄付されて、必要とする人たちに渡される。

タチアナ・ゴルビエバは、この活動を通じて受け取る食品が彼女の家族にとって重要なものになっている、とVOAに話している。

「今、私たちの食品への支出はずいぶん減りました。以前の、私たちがフードシェアリングを知らず、それを利用していなかった頃に比べると。今私たちが望んでいるのは、パンだけでなく他の食品も貰えるようになることです…」

寄付のおかげで彼女の家族の食品への支出総額は半分になった、と彼女は指摘している。

フードシェアリングのボランティアであるスベトラナ・カルミコバは、活動はまだ始まったばかりだが、支援を必要としている人々を助けるうえで、大いに役立つものだと確信している、と話している。
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「私は、フードシェアリングはロシアで大きな将来性、大きな可能性があると思っています。重要なのは、人々にこの活動を知ってもらう事です。そうすることで、人々はこの活動がどういうもので、活動を行うのに何が必要かを理解することができます。多くの人が参加してくれると思います」

ロシア人たちは、国の経済が早く回復し、より多くの食料が入手可能となり、価格が下がることを願っている。

ブライアン・リンでした。

[ノート]
struggling economy:経済的苦境・経済の低迷
In the former:旧
dacha:ダーチャは、ロシア・旧ソ連圏で一般的な菜園付きセカンドハウスである。1700年代にピョートル大帝が庭園付き別荘を家臣の貴族たちに下賜したことに由来する。現在のような大衆的ダーチャは第二次世界大戦中から大戦後の食糧不足の対策として、市民に対し土地を与えるように州政府や国に要求する運動が起こり、1960年代にフルシチョフ政権が一家族に最低600ソートック(平米)の土地を与えるよう法制化したものである。普段は近隣の都会に居住し、週末のみ利用する持ち主が多い。特に夏の間は盛んに利用され、夏休みに家族そろって長期間ダーチャで過ごすケースも多い。かつての貴族の別邸から掘っ立て小屋のようなものまで、規模や質はさまざまである。所有者は、この近くで菜園を営んだり家畜を飼ったりしている。
ソ連時代、菜園で栽培した農作物を町に持っていき売る事は禁止されていたが、実際には行われていた。経済が著しく混乱していたソ連末期やロシア共和国初期、ハイパーインフレーションや給与支払いが半年、一年も滞り疲弊し切って、日々の食料調達もままならなかったロシア国民にとって、自活(自給自足)という最終手段で食料、現金収入を得る(自力で瓶詰加工など保存食も製造・保管していた)最後の場でもあった。これがロシアの知られざる力となっている。今では郊外の自然保護、自力で無農薬の安全な食料を確保する手段としても重要視されている。最近では若い人たちが野菜ではなく花を栽培し、ガーデニングを楽しんだり、年金生活者が都心を離れて自然豊かな郊外住宅として利用したり、民宿を建てて営業するなど様々な利用方法が見られる。ダーチャの売買も盛んに行われている。(wikipediaより)
grow food:食物を育てる・野菜を栽培する・食用の動物を飼う・飼育する
deal with:取り組む・解決しようとする・対応する・対処する
beet:ビートはヒユ科の植物である(今はBetoideae亜科に含まれる)。ビートには無数の栽培品種があり、最もよく知られているのはテーブルビートまたはガーデンビートとして知られる根菜である。他の栽培品種には葉菜のフダンソウ、砂糖の生産に使われるテンサイ、そして飼料作物であるマンゲルワーゼルが含まれる。(wikipediaより)
borscht:ボルシチ・牛肉をビーツ・タマネギ・にんじん・キャベツなどの野菜で煮込みサワークリームを添えて食するロシアの煮込み料理
save on:節約する・軽減する・抑制する
volunteer:奉仕活動家・篤志家・志願兵・任意行為者・無償の提供者・ボランティア
set up:(ここでは)設立する・開く・設置する・始める・組織する
sharing:共同利用・シェアリング・分担・共有・分かち合う
donate:寄付する・贈与する・寄贈する・提供する
note:(ここでは)言及する・指摘する
go a long way:遠くまで行く・長持ちする・大いに役立つ・大きな役割を果たす・非常に効果がある・成功する
needy people:支援を必要としている人々・恵まれない人々・貧困者
future:未来・将来性
prospect:見込み・可能性・見通し・ビジョン・眺望
main thing:肝心なこと・重要なこと
inform:情報を与える・知らせる・通知する・連絡する
available:利用可能である・入手できる・得られる・在庫としてある・応対できる

日本とロシアの経済状態を比較してみます。まずインフレ率。世界経済のネタ帳「インフレ率の推移(1980~2016年)(ロシア, 日本)」のデータを利用してグラフを作成しました。消費者物価指数上昇率の推移です。
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2000年以降を平均すると、日本のインフレ率はほぼゼロ。ロシアは11.7%になります。ロシアはこれでもマシになったのであって、(グラフには含まれていませんが)1993年のインフレ率は875%という狂気じみた数値になっています。日本ではデフレが問題になっていますが、年平均で二桁のインフレが続く方が庶民は苦しいだろうと思います。
同じく世界経済のネタ帳から、両国の一人当たりGDPの推移を引用します。(こちらはグラフ自体、同サイトからの引用です)
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名目ドル建てでみると非常に大きな格差があります。購買力平価にするとかなりマシにはなりますが。
[ノート]に引用したwikipediaの「ダーチャ」の項目が割と充実していました。自給自足が食料を得る最後の手段で、ロシアの知られざる力となっている、と。うーん、日本もいつか財政が破綻したら、農地を持っているか否かが生死の分かれ目になる日が来るのかも。
あと蛇足で、動画を見ていたらロシア人のキッチンに炊飯器っぽい物(赤矢印)があるのですが、
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ロシア人って米を食べるんでしたっけ? あるいは炊飯器とは違う何かなのかな。