6 Minute English
Who do you think you are?
EPISODE 161006 / 06 OCT 2016

p046t50m


あなたは自分自身のことをどう認識し、他の人はあなたをどのように見ていますか? アリスとニールは自己同一性について、そして外見がいかに人を欺くものか議論します。

[台本]

アリス:こんにちは、6 Minute Englishへようこそ。私はアリス…

ニール:そして僕はニール。ところでアリス、君から見て僕はどんな人間に見えるかな?。

アリス:そうね。男性、白人、40代前半、短い赤褐色の髪、濃い眉毛、薄い唇…

ニール:もういいよ。君はそんな風に僕を見ているのかい? まるで警察の調書みたいだ。それに、唇が薄いという君の見解はあまり気に入らないかもね。ちなみに、'Caucasian'とは肌が白い欧州人という意味です。

アリス:そして今日の番組は、自己同一性、つまり自分は誰で何者なのかについてです。人がどのように自分を認識するかは、一部は自身のアイデンティティ意識によって形成され、一方で一部は民族的、人種的なアイデンティティに由来します。そこで今日のあなたへの質問です、ニール。英国の人口の内、何パーセントの人が自分のことを民族的に混血だと説明したでしょうか? それは…
a) 0.9%? b) 5.9%? それとも c) 9%?

ニール:そうだな…、a)の0.9%だと思うよ。

アリス:では、あなたが正解だったか間違いかの確認は番組の後ほどで。さてニール、当然ながらあなたは、私が説明した身体的特徴よりもずっと多くの中身がある人間よね!

ニール:そう言ってもらえて良かった。そして、その通り。実際にその人が話すのを聞くまでは、その人について知り得ないことがたくさんある。例えば、その人はどこの国から来たのか、何という言語を話すのか…

アリス:そうね。じゃあ私を見て、あなたは何て言うのかしら、ニール?

ニール:僕だったらアリス、君はまさしくイギリスのバラだって言うね。

アリス:ありがとう、ニール。イギリスのバラとは、魅力的な若い女性を表現したもので、薄く繊細な肌の色、つまり皮膚の色をしています。でも、実際にはその人がどう見えるかでどこから来たかを見分けることはできないでしょう。

ニール:そう、君の言うとおりだと思う。僕の友人で、見かけは君と同じくとてもイギリス人らしいんだけども、まさに民族的ミックスという女性がいる。彼女のお父さんはドイツ人で、お母さんはブラジル人なんだよ!

アリス:では、ニューヨーク市から女優で脚本家であるサラ・ジョーンズの話を聞きましょう。彼女の複雑な民族性についてです。

[挿入]
サラ・ジョーンズ 女優兼脚本家、ニューヨーク市
私の家系は、父方については祖父母は南部の出身です。家系の一部はカリブ人で、南部出身のアフリカ系アメリカ人とカリブ人です。それから母方はカリブ出身の人もいればアイルランド出身の人もいます。というか、えーとアイルランド系アメリカ人とドイツ系アメリカ人です。私の母の肌が白いのを見た人は、あなたって養子なの?と聞いてきます。母は実際には混血ですが、離れてみれば白人に見えます。でも私は遠目には黒人ですから。

ニール:サラ・ジョーンズでした。いやー、サラの家系は世界中から来ている! 合衆国、中でもニューヨーク市は特に、まさしく人種のるつぼだね。

アリス:その通り。ちなみに'melting pot'とは、様々な国の人々で構成される社会を表現しています。そこで人々は共に暮らし、新しい共有の文化を生み出しています。

ニール:また、人々はサラが養子だと、つまり彼女の生物学的な親ではない両親によって育てられたと思ってしまいます。それは彼女の見た目がお母さんとまったく違うからです。

アリス:でも私は、サラは自分のことをアメリカ人だと認識しているだろうと思っています。彼女が生まれ育ったのはニューヨークなのだから。

ニール:そうだね。でも彼女の祖父母はそうではなかった。君は、もし違う国に行ってそこで自分とは異なる人たちと一緒に生活をしたら、自分は変わると思うかい?

アリス:ええ、変わると思う。うちのご近所にトルコ人がいて、もう45年もイギリスで暮らしている。だからもうイギリス文化に溶け込んでいて、イギリスの風物を楽しんでいます。例えば…テレビでは昼メロを見て、クリスマスには七面鳥の料理を作り、ミルクティーを飲む。

ニール:そして'integrate'とは人々のグループの輪に入ることで、しばしば習慣や風習の変化を伴います。

アリス:そうね。さぁではニール、周囲の人々が私たちをどう見ているかが、どの程度まで実際に私たちを変化させるのでしょう? ここイギリスの作家、哲学者であるジュリアン・バジーニの話を聞きましょう。彼の考えを聞きとってください。

[挿入]
Julian Baggini 作家兼哲学者、イギリス
我々の自我というものが、我々の内面から全てが生み出されている物でないことは大変明白だろうと思います。そして当然ながら、他の人たちが我々をどう見ているかに我々は影響を受けています。そしてそれが、我々の同一性意識を生み出すうえでの最大の形成要素の一つなのです。私が言いたいことは、それは今も継続している相互的なプロセスのようなものだと思うのです。我々は誰なのかと言う意識は常に、その一部は他の人が我々をどう見ているかへの反応なのです。

ニール:つまりジュリアン・バジーニは、人々が同一性意識を、つまり我々は誰かという感覚を生み出すうえで、他の人が私たちをどう見ているかが形を与えるものだと考えています。ちなみに'formative'とは何かの発達に重要だという意味です。

アリス:なので、もし多くの人が誰かのことをイギリスのバラだと考えれば、その人は自分のことをイギリスのバラだと思うようになるかもしれない。たとえもしその人が民族的にイギリス人でなかったとしても。

ニール:そうとは言い切れないかな。さっき話した僕の友人だけど、彼女の振る舞い方ははイギリス人というより、遥かにブラジル人という印象だよ。彼女には、世に知られた「イギリス人の遠慮」がないんだ。でも彼女の外見からそれは絶対にわからないよ。

アリス:ちなみに'reserve'とは自分の考えや気持ちを表に出さない事。「イギリス人の遠慮」は私にも当てはまる欠点ね。あなたはどう、ニール?

ニール:いや、僕は思ったことはあけすけに話すからね、アリス。それは感情を明確に示すという意味。よし、今日のクイズ質問の答え合わせする時間じゃないかな。

アリス:合点だ、そうしよう。私の質問は、英国の人口の内、何パーセントの人が自分のことを民族的に混血だと説明したでしょうか? それは… a) 0.9%? b) 5.9%? それとも c) 9%?

ニール:僕の答えは a)の0.9%。

アリス:そうね。そして、今日のあなたは的中よ、ニール! お見事! BBCが2011年に実施した調査によれば、自身の民族的起源について尋ねられた時、英国の人口の0.9%が自分は混血だと答えました。しかし実際の数値は2%かそれ以上だと考えられています。さて、今日習った言葉を復習してもらえるかしら、ニール?

ニール:いいとも。それは、…
Caucasian
identity
ethnic
English rose
complexion
melting pot
adopted
integrate
formative
reserve
wear your heart on your sleeve 

アリス:今日の6 Minute Englishはこれでおしまい。忘れずにまたすぐ番組に参加してね!

ニール:それまでの間は、私たちのウェブサイト「bbclearningenglish.com」に来てください。そこには文法の手引き、練習問題、動画や読み物の記事がありますから、皆さんの英語を上達させてください。

二人:さよなら!

[ノート]
Who do you think you are?:あなた、何様のつもり?・自分を何様だと思っているの? (本文に照らしてこのタイトルは唐突な感じが)

discuss:話し合う・議論する
appearance:出現・外見・容姿・うわべ
deceptive:だまそうとする・人の目を欺く・ごまかされる・欺瞞・不正

male:男性・オス
Caucasian:白色人種・コーカソイド
early:(ここでは)前半
auburn:とび色・赤褐色
bushy:ふさふさの・モジャモジャの・茂みのような
eyebrow:眉毛
bushy eyebrows:ゲジゲジ眉毛・濃い眉毛
thin lips:薄い唇
sound like:~のように聞こえる・~と声が似ている・~のような印象を与える
police report:警察の調書
not sure:よく分からない・自信がない・確信がない・不明である
observation:観察・監視・所見・見解
white skinned:皮膚が白い
European:欧州人
by the way:ところで・なお
identity:自己同一性・自我同一性・自己認識・特定のある人であること
form:形成する・結成する・組織する
part of:~の一部
sense of identity:同一性意識・一体感・アイデンティティー意識
while:(ここでは)~だが・一方で
come from:~から来る・~に由来する・~によってもたらされる・~原産である
ethnic:民族の・民族的な・民族固有の
racial:人種の・民族の
percentage:百分率・パーセント
population:人口・住民数
describe:言い表す・説明する・表現する・描写する・類型化する・特徴づける
describe as:~と評する・~と形容する・~とレッテルを貼る
ethnically:民族的には
mixed:混じった・混合の
find out:見いだす・発見する・解明する・気付く・調べる・謎を解く
many more:さらに多くの・遥かに多くの
physical description:身体的特徴
glad to hear that:ということを聞いてうれしい・と聞いて良いことだと思う
actually:実際に・本当は・実は・実のところ
language:言葉・言語
I would say:~だろうと思う・私の意見では~・私が言うと仮定すると~
typical:典型的な・代表的な・ぴったりの・一致する・特徴をよく表す
English rose:イギリス美人・洗練され繊細な美しい女性・茶色い髪、白い肌、バラ色の頬などを兼ね備えた英国の美しい若い女性
attractive:魅力的な・人を引き付ける・色っぽい
pale:青白い・薄い・淡い
delicate:繊細な・優美な・精巧な・細かな
complexion:顔色・肌の色・顔や肌の艶・外観
skin colour:皮膚の色
tell:(ここでは)見分ける・分かる・知る
suppose:思う・推定する・仮定する・想像する
real:実在する・現実の・本物の・偽りのない・まさしく
dad:パパ・お父さん
German:ドイツ人
mum:ママ・お母さん
Brazilian:ブラジル人
actress:女優
playwright:脚本家
Sarah Jones:Sarah Jones (born November 29, 1973) is a Tony- and Obie Award-winning American playwright, actress, and poet.(英語版wikipediaより)
complicated:複雑な・入り組んだ・分かりにくい・面倒な
ethnicity:民族性
family:家族・親類・家系・家柄・一族
fathers side of the family:父系・父方
grandparent:祖父母・祖父・祖母
South:南・南半球・南部・アメリカ南部
from the South:南部出身
Caribbean:カリブ人
in there:そこに
black American:アフリカ系アメリカ人・アメリカ黒人
and then:それから・その後・その上
Ireland:アイルランド共和国
you know:(文中で)えーっと・あのー
Irish American:アイルランド系アメリカ人
German American:ドイツ系アメリカ人
adopted:養子縁組された・養子になった
from a distance:遠くから
especially:特に・著しく
melting pot:るつぼ
different:異なる・似ていない・様々な・普通でない
live together:一緒に住む・共に暮らす・共生する・共存する
create:創造する・作り出す・生み出す・引き起こす
shared:共用の・共有の・共通の
raise:上げる・(ここでは)育てる・養う
biologically:生物学的に・生物学上は
expect:予期する・期待する・楽しみにする・要求する
see:見る・理解する・考える・見なす・想像する・確かめる
different to:~と異なる・~と違う
neighbour:隣人・近所の人・同胞
Turkish:トルコ人
integrate ~ into:~を…に溶け込ませる・~を…に組み入れる
thing:(ここでは)物事・風物
soap opera:ソープオペラ・メロドラマ・昼メロの連続ドラマ (soapは1920年代の米国のラジオ放送で主なスポンサーがせっけん会社であったことから)
turkey:七面鳥
tea with milk:ミルクティー
join a group:集団に加わる・グループに入る
involve:含む・伴う・関わる・作用する
habit:習慣・癖・気質
custom:風習・慣習・習わし・習慣
to what extent:どの程度まで
Julian Baggini:ジュリアン・バジーニ(Julian Baggini, 1968年 - )は、イギリスの哲学者。一般向けの哲学入門書を数多く書いている。(wikipediaより)
writer:作家・著者
philosopher:哲学者
seem:~のように見える・~と思われる・~らしい
evident:明白な・顕著な・はっきりした
sense of self:自意識・自己意識・自我・自己感覚
entirely:全く・完全に・もっぱら
within:~の中で・内側で・以内で・人の心の中で・精神的に
affect:作用する・影響を及ぼす・感情を掻き立てる
formative:形を与える・形作る・発達の・成長の(辞書を見る限り、ニールが言った「重要な」ニュアンスは見当たらないが)
kind of:のようなもの・たぐいのもの・ある程度・やや・どちらかといえば
two-way:二方向の・対面の・双方向の・相互的な
ongoing:現在進行中の・持続している・継続的な・行われている
response:反応・反響・返答・回答
in part to:一部は・ある程度は・一つには・~によるところもある
development:発達・進歩・変化・開発・成長
I'm not so sure.:確信が持てない・言いきれない
come across as:~に見える・~のような印象を与える・~として受け入れられている
behave:振る舞う・行動する・態度をとる
famous:名高い・有名な・高名な・(反語的に、悪名高き、と訳してもいいかも)
reserve:(ここでは)遠慮・控え目な態度・他人行儀・無口・よそよそしさ
typical English reserve:英国人の典型的な慎み深さ
hide:隠す・秘密にする
be guilty of:~の罪を犯している・有罪である・欠点のある
wear one's heart on one's sleeve:心の内を率直に打ち明ける・感情を露骨に表す・思うことをあけすけに話す (中世の騎士が、愛する女性のリボンを自分の腕に巻いて、その女性への気持ちを伝えたという故事から、感情を外に表すという意味に)
make clear:はっきりさせる・明らかにする
Okey-dokey:(くだけた表現)了解・合点承知・問題ない
fair enough:十分に公平な・理にかなった・君の言うとおりだ・同意するよ・文句はない・それで結構
on the money:適切である
right on the money:その通りで・的中して
Well done!:うまい!・お見事!
According to:~によれば・~に言わせれば・~に従って
survey:概観・調査・検査・測量
conduct:案内する・実施する・運営する・指揮する
origin:起源・発端・先祖
mixed race:混血の・人種的に入り混じった
although:にもかかわらず・~だけれども・とはいえ
figure:(ここでは)数字・数量・データ
remind:思い出させる・気付かせる
hear:聞く・理解する
Sure:承知しました・もちろん・いいとも・是非
Meanwhile:その間の時間
visit:訪れる・見物に行く・滞在する・アクセスする
guide:案内・案内者・手引書・指針
grammar:文法
exercise:練習・訓練・運動・稽古
video:映像・動画
article:記事・論説・項目
improve:改良する・改善する・向上させる・伸ばす

'reserve'なら日本人も負けないが、イギリス人にそういう自己認識があったとは知らなかった。大陸の連中、特にフランス人には慎みがないといいたいのかな?