6 Minute English
Animal phobias
EPISODE 161201 / 01 DEC 2016

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人はなぜ、脅威をもたらさない生き物を怖がるのでしょう? ソフィーとニールは自分達自身の恐怖症に向き合い、蜘蛛を怖がる人がなぜこれほど多いのか、その原因を議論します。

[ノート]

ニール:こんにちは、6 Minute Englishへようこそ。僕はニール…

ソフィー:そして私はソフィー。ニール、あなたが怖い物って何?

ニール:羽が生えたものはどれも得意じゃないんだけど、特に蛾は嫌いなんだ。あれは気持ち悪いよ。太った毛むくじゃらの胴体に、パタパタ動く翅!

ソフィー:まぁニール。蛾なんて全く害はない。怖がるような物じゃないでしょう。

ニール:確かに害はないけど…、蛾が僕の顔や…髪にまとわりついてきて。蛾のことを考えるだけで鳥肌が立つんだ。

ソフィー:何かのせいで鳥肌が立つのなら、あなたはそれを非常に怖がっているという事。まぁ、あなたが今日の番組を生き延びられることを祈っているわ、ニール。それは、動物恐怖症に関するすべてがテーマだから。'phobia'とは強力で不合理な恐怖、根拠のない恐れのことです。

ニール:わかった、やってみるよ。君に動物恐怖症はあるのかな、ソフィー?

ソフィー:私は犬がダメなの。

ニール:人類最良の友なのに? どうしたら犬が苦手になんてなれるんだろう。犬は可愛くて愛嬌があって、人を守ってくれて、芸もできるのに!

ソフィー:ねえ、あなたが怖いのは蛾。ちなみにそれはとても馬鹿げています。そして私の方は犬。これは馬鹿げていません。犬は攻撃的になることもあります。犬には鋭い歯もあり、歯を剥いたり吠えたりします。

ニール:それって、こんな感じ? [犬が唸ったり吠えている効果音]

ソフィー:そう。音を消してくれるかしら、気分が悪くなるから。さて今日のクイズ質問の時間です。これは分かりますか、ニール? 昆虫への理不尽な恐怖を表す言葉は何でしょうか? それは…
a) 昆虫恐怖症?
b) 死恐怖症?
それとも c) 髭恐怖症?

ニール:僕は'thanatophobia'にするよ。

ソフィー:では、あなたが正解だったかの確認は番組の後ほどで。でも今は、ディーン・バーネット博士の話を聞きましょう。英国カーディフ大学の神経科学者で、何が人々の恐怖反応を引き起こしているのか、話をしています。

[挿入]
ディーン・バーネット博士 英国カーディフ大学神経科学者
知覚情報はあなたの脳にまさに直接伝えられます。その一部は大脳皮質に伝えられます。そこではこんな風に考えます。「これはあの時のだ。前回これを経験しているから知ってるぞ」 そこを経由することであなたの反応をある程度合理化できます。しかし、メッセージは直接、扁桃体にも届きます。そこでは直ちに「戦うか逃げるか」反応の引金が引かれます。バンと物音がしたら警報が鳴り、頭が変になって、身体に感情が溢れて万一に備えます。これは生存のための仕組みなのです。

ニール:ディーン・バーネット博士でした。つまり僕にとっての知覚情報は蛾がパタパタ周りを飛んだり僕の髪に取り付くこと。

ソフィー:その通り。私にとっては、犬がどこか私の近くに来ること! ともかく、この情報は人の脳に入り、脳の異なる二つの部位で処理されます。それが大脳皮質と扁桃体です。

ニール:そして、大脳皮質に送られた情報は理性的な応答をもたらします。例えば、ああ、害のないただの蛾だ、と。一方で扁桃体に届いた物事は本能的な反応を引き起こします。それが戦うか逃げるか反応で、つまり、うわあああああ! 気持ち悪い蛾だ! どっかにやってくれ!

ソフィー:戦うか逃げるか反応は緊張や危機への正常な反応で、そこではホルモンのアドレナリンを急速に体中に送り込む作用が生じます。問題なのは、この反応が何の危険もない時にも起こりうることです。それこそが、恐怖症とは何かの核心です。

ニール:だから、僕がベッドで本を読んでいる最中に蛾が目の前に飛んでくると、僕の心臓の鼓動はすごく速くなり、気絶するんじゃないかと思い、不安で死にそうになるわけです。

ソフィー:かわいそうなニール! 'Pass out'とはちなみに、失神するとか意識を失うという意味です。さてここで、スティーブンとリーナの話を聞きます。二人は自ら認める蜘蛛恐怖症で、強烈に感情的な反応をしています。あなたと同じようにね、ニール。彼らがどの生き物を怖がっているか当てられるかしら?

[挿入]
スティーブンとリーナ 蜘蛛恐怖症の人
「だから蜘蛛を見た時は、胸を殴られたような気分になります」
「完全なる恐怖、絶対的に身がすくみます。平気になったことなどありません。ずっと大嫌いです」
「家に帰るのが怖くて長い時間車に乗ってその辺を走らせていました、夫がロンドンで働いていた頃は」
「理性は全部窓の外に飛び出してしまい、すっかり感情に乗っ取られてしまいます」
「私はただ…、ただ逃げます」

ソフィー:つまり蜘蛛恐怖症の人は蜘蛛への強い恐怖感があります。そしてこれは最も一般的な動物恐怖症らしいのです。

ニール:もしあなたがオーストラリアに住んでいるのなら、それは理解できます。そこで蜘蛛に噛まれると死ぬかもしれません。しかしここ英国にいる小さな蜘蛛は、脅威だとはまったく思えません。

ソフィー:そうね。でも最近の研究では、人は蜘蛛に対し反射的な認識があると判明しています。怖がっているか否かにかかわらずです。これが意味しているのは、人は考えることなく蜘蛛を無意識に見分けることができるという事。一方で同様の反射的な認識は、イエバエにはありません。あるいは蛾にも、例えば。

ニール:この認識は我々の祖先に関係していはずだ思うんだ。蜘蛛を見分けることはきっとスゴク役立つことだったんだよ、アフリカのサバンナの平原にいた初期の人類にとってはね。ひと咬みで死ぬかもしれない、あるいは他の動物の襲撃に対して弱くなってしまうかも。

ソフィー:それは正しいわ、ニール! でも今日のクイズ質問には正解できたと思うかしら? 私が聞いたのは、昆虫への理不尽な恐怖を表す言葉は何でしょうか? それは…
a) 昆虫恐怖症? b) 死恐怖症? それとも c) 髭恐怖症?

ニール:僕は'thanatophobia'と言ったよ!

ソフィー:それは不正解。実際は a)の昆虫恐怖症でした。'Entomophobia'(もしくは'insectophobia'とも)とは、一種類または複数種類の昆虫への過剰で非現実的な恐怖で特徴づけられる特定の恐怖症です。'Thanatophobia'は、死を恐れること。そして'pogonophobia'が怖がるのは顎ヒゲや顎ヒゲを生やした人です。

ニール:それは、蛾もある意味で毛むくじゃらの…、さあ、今日習った言葉を思い出そう。
make your flesh creep
phobia
irrational
fight or flight response
pass out
arachnophobes
reflexive awareness

ソフィー:これで今日の6 Minute Englishはおしまいです。またすぐ番組に参加するのを忘れないでね!

二人:さよなら!

[ノート]

pose:提示する・提出する・もたらす・引き起こす・課す
face:面する・向く・向かい合う・対峙する・立ち向かう・受け止める・直面する
discuss:話し合う・議論する・考察する
reason:理由・原因・根拠・道理

be afraid of:~を怖がる・恐れる・心配である
be keen on:~に熱中している・懸命である・夢中になっている・~したがっている・乗り気である
wing:翼・羽・翅
particularly:非常に・特別に・とりわけ・個別に・具体的に
hate:嫌う・憎む・嫌がる
moth:蛾
disgusting:むかつくような・うんざりさせる・胸が悪くなるような・気持ち悪い
fat:太った・脂っこい
hairy:毛深い・毛むくじゃらの・恐ろしい
body:身体・人体・胴体・遺体・本体
fluttery:はためく・パタパタ動く・ひらひら動く・ぺらぺらの・そわそわした
completely:完全に・十分に・全面的に・全く・徹底的に・すっかり
harmless:無害な・害を与えない・悪意ない・罪のない・不快感を与えない・無傷の
be scared of:~を怖がる・恐れる・恐怖症である
get in someone's face:人の前に姿を見せる・人にうるさく付きまとう・人の気に障ることをする
make someone's flesh creep:人をゾッとさせる・鳥肌が立つ・全身にむしずが走る
flesh:肉・皮膚・肉体
creep:ゾッとさせる・鳥肌が立つ
just:ちょうど・ただ~だけ・ぴったり・実に・まさに・単に・ちょっと
frightened:おびえた・怖がった・驚いた
hope:願う・希望する・期待する・望む
survive:生き残る・生き延びる・何とかやっていく・存続する・乗り切る・切り抜ける
show:(ここでは)番組
all about:周囲をぐるりと・~に関するすべて・~が全てで・~次第で
animal phobia:動物恐怖症
phobia:恐怖症・~嫌い
irrational:不合理な・分別のない・理不尽な・理性的でない・筋の通らない
fear:恐れ・恐怖感・懸念・不安
based on:~に基づいて
reason:理由・動機・原因・根拠・理性・道理.
try:試す・やってみる・試みる・挑戦する
stand:(ここでは)我慢する・耐える・持ちこたえる
cute:かわいい
loveable:愛らしい・かわいい・愛嬌のある・憎めない
protect:保護する・守る
trick:(ここでは)芸
Look:ねえ・おい・いいですか
pretty:ずいぶんと・とても・かなり・非常に
ridiculous:ばかげた・おかしな・非常識な・不合理な
by the way:ところで・なお・ちなみに・そう言えば
aggressive:攻撃的な・挑戦的な・好戦的な・積極的な
sharp:鋭い・尖った・切れ味のよい
tooth:歯
bear one's teeth:歯を剥き出しにする・歯を剥く・Of an animal, to show one's teeth as a sign of aggression.
bear:(この場合のbearはどういう意味なんだろう?)
bark:吠える・怒鳴る・鳴く・大きな音を出す
growl:うなる・怒鳴る・がみがみ言う・お腹が鳴る・雷が鳴る
turn off:止める・消す・切る
upset:ひっくり返す・動揺させる・苦しめる・気持ち悪くさせる・体調を悪くさせる・乱す
describe:言い表す・説明する・描写する・表現する
insect:昆虫
entomophobia:昆虫恐怖症
thanatophobia:死恐怖症
pogonophobia:髭恐怖症
say:言う・述べる・(ここでは)賭ける
find out:見いだす・発見する・解明する・調べる・気付く・答えを出す・謎を解く
later on:後で
Dr Dean Burnett:Neuroscientist/lecturer/comedian/Author of The Idiot Brain, available most places (本人のtwitterの自己紹介より)
neuroscientist:神経科学者
Cardiff University:カーディフ大学は、カーディフ,ウェールズに本部を置くイギリスの国立大学である。1883年に設置された。(wikipediaより)
cause:引き起こす・原因となる
phobic reaction:恐怖反応
sensory:知覚の・感覚の
information:知識・学識・情報・資料
relay:中継する・伝える・中継して知らせる
directly:直接に・まっすぐに・率直に・直ちに
brain:脳・大脳
One part of:部分・一部
route:送付する・転送する・決める・計画する
cortex:(ここでは)大脳皮質
sort of:多少・いくらか・~みたいな・一種の
thought about: ~についての考え・~にたいする考察
last time:最後に・この前のときに
experience:体験する・経験する・学ぶ
kind of:~のようなたぐいのもの・ある程度・やや・多少
rationalise:正当化する・合理化する・理論的に説明する
way:(ここでは)やり方・考え方
through:~を通り抜けて・~の間に・~を使って・~を経由して・~のおかげで (through itはthrough cortexだと思っているが、訳に自信なし)
send:送る・届ける・送信する
message:伝達・連絡・伝言・メッセージ・意図・声明
amygdala:扁桃体
immediately:すぐに・早急に・即座に・直ちに
trigger:引金を引く・発射させる・動作させる・引き起こす・もたらす・誘発する
'fight or flight' response:闘争逃走反応は、1929年にウォルター・B・キャノンによって初めて提唱された動物の恐怖への反応である。戦うか逃げるか反応ともいい、動物は恐怖に反応して交感神経系の神経インパルスを発し、自身に戦うか逃げるかを差し迫るという。(wikipediaより)
bang:バンという音・激しい動き・スリル・感嘆符
fire alarm:火災警報
off it = off one's head:正気を失っている・狂っている
例文go off one's head:気が狂う・精神が錯乱する・頭が変になる
flood:氾濫させる・あふれさせる・水浸しにする・みなぎる・押し寄せる・一杯にする・殺到させる (flood the bodyは訳に自信なし)
just in case:念のため・万が一のために・何かあるといけないので・~するといけないから
survival:生き延びること・生存
mechanism:機構・装置・仕組み・働き・メカニズム
get in someone's hair:人を悩ます・人の邪魔をする・人をいら立たせる (でも訳文は直訳にしました)
That's right:その通り
anywhere near:~の近くのどこかに
Anyway:とにかく・なんだかんだ言っても・どうせ・何としても
process:処理する・加工する
different:異なる・違っている・様々な・別の
central cortex:大脳皮質
rational:理性的な・正気の・冷静な・理に適った
response:反応・反響・回答・応答
stuff:物事・事柄・がらくた・素質・材料・要素
instinctive:本能的な・直感的な・生理的な・衝動的な・天性の
reaction:反応・応答・態度・反発
Get away from:~から離れる・遠ざかる・逃れる・抜け出す・~を避ける
normal:通常の・正常な・平常の・健康な・平均的な
stress:圧迫・圧力・緊張・ストレス
danger:危機・危険
involve:含む・伴う・引き起こす・関わる・参加させる・巻き込む・作用する・影響する
hormone:ホルモン
adrenalin:アドレナリン
pump:ポンプで汲み上げる・注入する・送り込む・往復運動させる・大量に注ぎ込む・浴びせる
quickly:速く・すぐに・素早く・慌てて・迅速に
pump the blood round the body:血液を体中に循環させる
problem:問題・課題・困難な状況
at the heart of:中心に・心臓部で・核心で・要で
in one's face:顔に・目の前にまともに・面と向かって・公然と・思いがけなく
read in bed:ベッドで本を読む
feel:感じる・感知する・~な気がする
heart:心臓・胸・気持ち
beat:打つ・叩く・殴る・心臓が鼓動する・脈打つ
pass out:出ていく・気を失う・気絶する・卒倒する・配布する・卒業する
nearly:ほとんど・危うく・もう少しで
nearly die:死にかける・死にそうになる
anxiety:心配・不安・懸念・悩み事・切望
Poor:(ここでは)かわいそうな・憐れむべき
faint:気が遠くなる・失神する・気絶する・卒倒する
lose consciousness:意識を失う・気絶する・前後不覚になる
consciousness:意識・知覚・正気・思考・心・自覚
self-confessed:自認する・公言する・自ら認める・自称の
arachnophobe:蜘蛛恐怖症の人
emotional:感情の・感情を持つ・感情的な
identify:確認する・識別する・割り出す・特定する
animal:動物・けだもの
spider:蜘蛛
feel like:~したい気分だ・~する気がある・~のような気がする・どうやら~らしい
punch:強く打つ・叩く・殴る・突く
chest:胸・胸郭・肺
Complete:完全な・全部の・完成した・徹底的な・全くの
absolutely:完全に・確実に・決定的に・絶対的に・間違いなく・断然
paralyse:麻痺する・痺れさせる
paralysing:麻痺した・身のすくむ
spend a lot of time:多くの時間を費やす・多くの時間を過ごす・無駄にする
drive around:車を乗り回す
husband:夫
rationality:合理性・合理的行動・理性的なこと
emotion:感情・興奮・感性
take over:奪う・引き継ぐ・代わってやる・買収する・乗っ取る・占領する
run:(ここでは)逃げる
common:一般的な・普及している・公共の・日常的な・ありふれた・平凡な
apparently:一見したところ~のようだ・見た感じでは~のようだ・どうやら~らしい
understand:理解する・分かる・その通りだと思う・受け入れる・納得する
bite:噛むこと・咬合・咬まれた跡・ひとかじり
threaten:脅す・脅迫する・~する恐れがある
recent:最近の・近頃の・新しい
research:研究・調査・探究
show:見せる・飾る・案内する・示す・表す・明らかにする・論証する
reflexive:再帰の・反射的な
awareness:気付いていること・意識・認識・目覚め・覚醒
whether or not:~かどうか・いずれにせよ・どっちみち
spot:目印を付ける・見当をつける・気付く・見分ける
automatically:無意識に・思わず・自動的に・惰性的に・勝手に・機械的に・反射的に
housefly:イエバエ
expect:予期する・期待する・~を楽しみにする・求める・見込む
be to do with:~と関係がある・~を扱う~に関連している
ancestor:先祖・祖先・原種・先駆者
extremely:極度に・極めて・非常に・すこぶる・とても・大いに
useful:役立つ・便利な・有益な・価値のある
early:早い・昔の・初期の・早期の
human:人・人間・ヒト
plain:平原
Savannah:サバンナ・熱帯~亜熱帯の草原
vulnerable:脆弱な・弱い・攻撃されやすい・傷つきやすい・不安定な
attack:攻撃・暴行・襲撃
actually:実際は・本当のところは・実は・実のところ
insectophobia:昆虫恐怖症
specific:明確な・具体的な・詳しい・特定の・固有の・個別の・特殊な・特異な
characterize:~と特徴付ける・~の特性を示す・特性化する・見なす
excessive:過剰な・過度な・行き過ぎた・やり過ぎの・法外な
unrealistic:非現実的な・現実離れした・ピンと来ない
one or more:一つ以上・一つあるいは複数の・多少の
class:(ここでは)分類・種類・類
death:死・死亡
beard:顎ひげ
bearded:あごひげを生やした
remind:思い出させる・気付かせる
remind A of B:AにBのことを思い出させる
hear:聞く・理解する・分かる

顎ヒゲが怖いって何? クリスマスは悪夢の季節なの?