SCIENCE & TECHNOLOGY
Will Robots Replace Humans in Food Industry?
December 09, 2016
 
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ロボットが調理したなら、ピザの味は違うのだろうか?

アメリカ企業が食品調理ロボットを試した時に、人々が問いかけるのはその疑問だ。

カリフォルニア州にある新興企業のズーム社はピザを作る機械を試している。

ロボットは生地を取って形を整えピザの土台を作る。それからトマトソースやチーズ、肉、その他のトッピングを載せる。次にロボットは未調理のピザを加熱したオーブンの中に入れる。数分後に、ピザは出来上がりだ。

ピザは毎回同じ仕上がりになる。ズームによれば、ロボットは迅速に働き、病気になることがない。ロボットは給料を受け取る事もない。

ジュリア・コリンズは同社の創業者で最高経営責任者(CEO)だが、彼女の事業ではより良い食材にお金をかけることができる。それはロボットに賃金を払う必要が無いからだ。

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「反復作業に費やすお金が少なくて済みます」と彼女は述べている。

同社の成功にとって重要な問題は、「ピザの味はどうなのか?」だ。

チャリティ・スズキはロボット製のピザを買い、味は気に入っているという。

「美味しいですよ。受け取った時はいつでも熱々の出来たてです。私が言いたいのは、ロボットがこれを作ってるのはスゴイってこと。でも、私には違いが分かりません。作ったのがロボットか人か」

ズームによれば、また違うアイデアも試している。50台以上のオーブンを装備したトラックだ。トラックは熱いオーブンからピザがちょうど出てくる時にあなたの家に到着する。そうして、ピザは通常よりももっと出来立てで熱々になるのだ。

他の食品調理企業も、ロボットの実験をしている。

ビストロボットという会社ではサンドイッチを作るロボットを使っている。同社の機械第一号はサンフランシスコのすぐ南にある小さな店にある。


今のところ、この機械が作るサンドイッチはピーナツバターやジェリー、ヌテラ、それにピリ辛のチリソースといった材料を使うものだけだ。サンドイッチは一つたったの2ドルだ。

ビストロボットの創業者でCEOのジェイ・レパーツによれば、ロボットは飲食店の店員よりも素早く働き、コストも低い。また、見ていて楽しいと言う。

「これはまさに、人と共有するのが本当に楽しい経験です」と彼は述べた。

企業は、ロボットを開発するのはより高品質な食べ物をより速く人々が手にするためだという。しかし、ロボットが人から取り上げている仕事はどうなるのだろう?

ケン・ゴールドバーグはカリフォルニア大学バークレー校の教授で、彼はまた大学の自動化研究室を指導している。ゴールドバーグによれば、研究者は50年にわたりロボットと共に仕事をしてきた。彼は、進歩はしてきたが、仕事が直ちになくなることはないと話している。

「レストランの従業員を安心させたいですね。彼らが持っている技能はなおこれからも価値はあるから、と」とゴールドバーグは述べた。

ズームの会長であるアレックス・ガーデンは、ロボットがこまごまとした仕事の一部を行うようになれば、人がすべきもっと面白い仕事があるだろうと考えている。

「私たちは退屈で反復的で危険な仕事を抹消していきます。そして、より価値の高いことをするために人々を解放します。素晴らしい、新たな働き方ができるようになるでしょう。それは今はまだ存在しない、これから生み出されるものです」

ダン・フリードルでした。

[ノート]
Will Robots Replace Humans in Food Industry?:食品産業で人がロボットに取って代わられる? (タイトルは改変しました)
Replace:取り替える・交換する・置き換える・取って代わる・後任となる
Food Industry:食品産業・食品業界

prepare:準備する・用意する・整える・作成する・調理する
question:質問・問い・論点・核心・課題・問題・案件・疑義
ask:尋ねる・質問する・問う・頼む・依頼する・求める
as:~につれて・~に従って・~した際・~の時に・~なので
business:業界・会社・企業・商売
test:試す・経験してみる・試験する・質問する
food-preparation:食品調理
start-up:創業したばかりの・設立当初の・新興の・スタートアップの
California:カリフォルニア州は、アメリカ合衆国西部、太平洋岸の州。アメリカ西海岸の大部分を占める。州都は、サクラメントである。合衆国の州のうちでは最大の人口を誇り、大統領選の選挙人数も最多である。(wikipediaより)
Zume:Zume Pizzaのサイトはこちら
shape:成形する・形作る・工夫する・具体化する
dough:パンなどの生地・練り粉
create:創造する・作り出す・開発する
base:土台・基部・母体・基礎
add:足す・加える・もたらす
tomato sauce:トマトソース・ケチャップ
cheese:チーズ
meat:食肉・肉・身
topping:トッピング・上に乗せるもの・上飾り
place:置く・取り付ける・セットする
uncooked:未調理の・生の
oven:オーブン・かまど
ready:用意できた・準備できた・支度できた
come out:出てくる・外に出る・~と言う結果になる・現れる・世に出る・広まる・発表される
each time:毎回・~するたびに
quickly:速く・すぐに・迅速に
get sick:病気になる・具合が悪くなる
get paid:稼ぐ・お金をもらう・支払いを受ける
either:または・どちらの~も・~もしない
Julia Collins:Julia Collins, a 37-year-old restaurant veteran. She became chief executive officer and a co-founder. Collins was previously the vice president and CEO of Harlem Jazz Enterprises, the holding company for Minton's, a historic Harlem eatery.(Bloomberg Technologyの記事より)
founder:創始者・創業者・発起人
chief executive officer (CEO):最高経営責任者
spend money on:~にお金を使う
food product:食品
repetitive:繰り返しの・反復的な
labor:仕事・労働・作業・労務
delicious:おいしい・美味な・気持ち良い
fresh:新鮮な・出来立ての・作りたての
great:大きい・偉大な・素敵な・素晴らしい・重要な
tell the difference between A and B :AとBの違いが分かる・区別をつける
versus:対・対比
truck:トラック・貨物自動車
be equipped with:~を備えている・装備している・搭載している・身に着けている
make for:役立つ・生み出す・~に向かって突進する・助長する
usual:通常の・普通の・よくある
experiment:実験する・試してみる
company:会社・企業・法人・仲間・集団
sandwich:サンドイッチ
San Francisco:サンフランシスコは、アメリカ合衆国西海岸にあるカリフォルニア州の北部に位置する都市。気候は地中海性気候に属し、一年を通して気温の差が比較的小さく、気候的にも住みやすい都市である。急な坂が多く、深い霧に覆われることでも有名である。(wikipediaより)
Right now:今すぐに・現在・現時点では・今のところ
ingredient:材料・成分・原料・要素
peanut butter:ピーナツバター 日本では甘みをつけたホイップタイプが広く流通しているが、外国では無糖の固めのものが一般的である。(wikipediaより)
jelly:ジェリー フルーツジュースをジャム状に固めたものを指す。果肉は入っていないのが特徴
Nutella:ヌテラは、ヘーゼルナッツペーストをベースに砂糖、ココア、脱脂粉乳、香料、乳化剤などの材料を混ぜ合わせた、チョコレート風味の甘いスプレッド。イタリアのフェレロ社が発売している製品で、「ヌテラ (Nutella)」という商品名は同社の登録商標である。(wikipediaより)
spicy:香料を入れた・香辛料の効いた・ぴりっとした・
chili sauce:チリソースは、ソースの一種。トマトソースの中に唐辛子、塩、スパイス、砂糖などを入れたソースである。(wikipediaより)
each:各々・それぞれ・一つ一つ
cost:費用が掛かる・負担をかける
Jay Repperts:Jay Reppert and Hamid Sani, the two engineers of the robot, and Steve Ilttell, a chef, are just three of the five members of the Philadelphia-born company Bistro Bots (2015年の英文記事より)
fast:速い・高速の
restaurant:レストラン・飲食店
fun to watch:見ていて面白い
just:ちょうど・ただ~だけ・ぴったり・実に・まさに・単に・ちょっと
really:実際には・実のところ・本当に・間違いなく・明らかに・全く
experience:経験・体験・知識
share with:分け合う・共にする・共有する・伝える
develop:成長させる・発展させる・開発する・進展させる
job:職・仕事・責務
take from:~から取る・取り出す・受け継ぐ・~を減らす
Ken Goldberg:Kenneth Y. Goldberg (born 1961) is an American artist, writer, inventor, and researcher in the field of robotics and automation. (英語版wikipediaより)
professor:教授・大学の先生
the University of California in Berkeley:カリフォルニア大学バークレー校は、アメリカ合衆国カリフォルニア州バークレーに本部を置くアメリカ合衆国の州立大学である。1868年に設置された。バークレー校はカリフォルニア大学 (University of California) の発祥地であり、10大学からなるカリフォルニア大学システム(UCシステム)の中で最も古い歴史を持つ。(wikipediaより)
direct:管理する・運営する・指示する・案内する・指揮する・監督する
automation:自動化・オートメーション
laboratory:研究室・実験室・実習室
researcher:研究者・調査員
work with:共に働く・協力する・連携する・~を扱う仕事をする・勤務する
while:(ここでは)~なのに・~ではあるが・だが
progress:進歩する・向上する・進ませる
disappear:消える・見えなくなる・消滅する・存在しなくなる
right away:すぐに・直ちに
reassure:安心させる・自信を与える・確認する・再び保証する
skill:技能・腕前・スキル
be of value:価値がある・有用である
Alex Garden:Alex Garden. 41, is the former president of Zynga Studios. Before that, he was a general manager of Microsoft's Xbox Live. (Bloomberg Technologyの記事より)
chairman:議長・会長・学部長
interesting:興味を起こさせる・関心をひく・興味深い・面白い
start:始める・開始する・起こす・起動する
perform:する・行う・演じる・実行する・果たす
eliminate:取り除く・除外する・削除する・排除する・廃絶する・抹殺する
boring:退屈な・うんざりする・つまらない
dangerous:危険な・物騒な
free up:自由にする・解放する・制限を解く・手間が省ける・確保する
value:価値・値打ち・価額・ありがたみ
amazing:驚くほどの・素晴らしい・すごい・見事な
way:(ここでは)方法・手段
exist:存在する・生存する・存続する
yet:まだ・今のところは

とても面白い題材だと思ったのですが、残念ながらVOAの記事の前半には嘘があります。Zume社のピザロボット。VOAの記事文には
The robot takes and shapes dough to create the base of the pizza. It then adds tomato sauce, cheese, meat or other toppings. Next, the robot places the uncooked pizza into a hot oven.
とあり、生地を丸く延ばしたりトッピングを生地上に均等にばらまくなんて器用なロボットだと感心したのですが、YoutubeのTechCrunchチャンネルにある取材動画を見ると、


人がやっとるやないかーい!
ロボットがしているのは生地上にトマトソースを落として広げる工程と、オーブンにピザを入れる工程だけ。それも、人がやった方が速そう。うーん。
記事後半のサンドイッチの方が、やっていることは単純ですが、本当に自動化されていて面白いかも。
まぁ、やや「はったり」みたいな話でも「スタートアップ企業だ」と言える自由さというか、玉石混淆にスタートアップが雨後の筍のごとく湧いてくるところがアメリカの良さなのかもしれませんが。
Bistrobotについて日本語記事があったので紹介しておきます。IT Proから「シリコンバレーで増加中、「料理をするロボット」 2016/04/15」 無登録で読めるのは途中までですが、記事を一部引用すると、
 米国では毎年4月第2週が「全米ロボット週間」と指定されており、各地でロボット関連のイベントや競技会が開かれる。シリコンバレーでは「Robot Block Party」という地元のロボット会社やロボット開発者が製品を出展し、交流するイベントが2016年4月6日に開かれた。
(中略)
 今年のパーティーで多くの人々に取り囲まれていたのは、サンドイッチロボットだった。サンフランシスコにある米Bistrobotというスタートアップが開発したもので、手づくり風のサンドイッチをその場で作ってくれる。
(中略)
同社はアクセラレーターとして知られる米Y Combinatorの卒業生で、現在は投資家を募っている最中だ。展示したのは数台しかないプロトタイプの一つで、ほかの1台は既にサンフランシスコのカフェで稼働中という。
 創業者たちによると、このロボットは普通の作業員の2倍の速度でサンドイッチを作ることができるという。しかし見ている限りでは、それほど速いようには見えなかった。日本のカフェの店員さんなら、もっと手際よく作れるのではないかと思うほどだ。むしろこのロボットの売りは、ロボット自体が見せ物になって、集客をするというところにある。
なるほど。これは春の記事ですが、資金集めは無事に出来たのでしょうか?