6 Minute English
Can you trust your own eyes?
EPISODE 170209 / 09 FEB 2017

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あなたは自分の記憶を信じられますか? キャサリンとニールは、なぜ警察や司法組織が目撃者の証言に懸念を抱くのか議論します。

[台本]

キャサリン:こんにちは、6 Minute Englishへようこそ。私はキャサリン…

ニール:そして僕はニール。

キャサリン:ところでニール、今日の私は何か違うのに気付いたかしら?

ニール:髪型を変えたのかな?

キャサリン:いいえ。

ニール:その服が新しいとか?

キャサリン:やれやれ、ニール!

ニール:降参だ。君の何が違ってるのか分からないよ。

キャサリン:いいわ。では、たぶんこの番組の終わりまでには、あなたも気付いてるでしょう。ともあれ、今日私たちが話すのは記憶、そして人は物事を正確に覚えられかどうか、です。で、今日のクイズ質問に答える準備は出来てますか、ニール?

ニール:うん。

キャサリン:よし、では、脳のどの部位に、人の顔を覚えるために割り当てられた領域があるでしょうか? それは…
a) 側頭葉?
b) 視床下部?
それとも c) 小脳?

ニール:うーん、全く分からないな。でも、a)の側頭葉にするよ。

キャサリン:わかった。あなたが正解を選んだかどうかの確認は番組の後ほどで。それより、私たちの記憶がいかに自分を騙し得るかについて更に話しましょう。人は記憶をまるでビデオ録画機のように考えがちです。だから最初に起きた通りに、何度でも繰り返し再現し、思い出せると。しかし記憶はそのように機能はしません。それは再建的な処理なのです。

ニール:再建的処理だって? 

キャサリン:ええ。人は記憶を再構築する、あるいは作り直すのです。そしてその処理のために、記憶は様々な理由によって歪められ、変えられるかもしれません。ティム・バレンタインの話を聞きましょう。ロンドン大学ゴールドスミス校の心理学の退官教授で、この点について話しています。

[挿入]
ティム・バレンタイン 心理学の退官教授、ロンドン大学ゴールドスミス校
いろいろなテレビドラマを見たおかげで、皆さんも犯罪現場の科学捜査員に馴染みがあるでしょう。紙製の服を身に着けて靴やら髪を覆って、自分のDNAや身体的痕跡を犯罪現場に持ち込まないよう確実を期している人たちに。それと同様に、誰であれ少しでも証人とやりとりする人は、決して彼らの記憶を改変しないようにする必要があります。

ニール:つまり犯罪捜査員は犯罪現場では防護服を着ています。そこを自分達のDNAで汚染しないために。

キャサリン:その通り。'crime scene'とはそこで犯罪が行われた場所のこと。そして'contaminated'とは「外部から来たものと接触することで、純粋でなくなること」 つまり例えば、ある警官が手袋せずに何かに触ると、新たな情報が持ち込まれます。そして一旦そうなると、元の情報に戻すことはできません。

ニール:さて、ティム・バレンタインによれば、警察官が犯罪の証人と話す時に、これもまた新たな情報を付け加えるかもしれず、そのことで、何が起きたのか、証人の記憶が変わり得ます。

キャサリン:そして、記憶を歪めるのは警官の聴取だけではありません。他の要因、緊張なども出来事を正確に思い起こす能力に影響を与えることがあります。例えば、ナイフを突きつけられている時には、人は加害者の顔よりむしろ凶器の方に気が集中しがちです。ちなみに'knifepoint'とは、「刺されそうな脅威にさらされている」と言う意味。

ニール:なら、どうして人は目撃者の話をこれほど重要視するのだろう?

キャサリン:目撃者の証言は、法廷では非常に説得力があるように聞こえます。しかし実際は、研究によれば、それはしばしば当てになりません。ニューヨークのイノセンス・プロジェクトで上席弁護士を務めているカレン・ニューイスが、この点を更に説明してくれます。

[挿入]
カレン・ニューイス イノセンス・プロジェクトの上席弁護士、ニューヨーク
第一に、私は、人々が記憶は正確なものだと信じたがるのはある程度当然な事だと思います。自分の記憶に頼って人生を送っている我々が、後になってそれがいかに間違いうるか、しかも頻繁に、ということを知ると考えるのは、とても当惑することです。第二に、目撃者の証言は刑事裁判においてとても期待される要素になっています。なので、陪審員はある意味それを見込んでおり、求め、そして信じる傾向があります。

ニール:つまり我々は物事を正確に覚えていられる能力を信じたがる。そして、記憶がしばしば不正確だと知ることに狼狽する。ちなみに'disconcerting'の意味は…

キャサリン:…その意味は、「困惑するような、少し動揺するような」

ニール:カレン・ニューイスはまた、人々は法廷での目撃者の証言を期待しているとも言っている。つまり口頭での発言を。その通りだと思うかい、キャサリン?

キャサリン:ええ。そしてこれは裁判で最もよく使われる証拠で、刑事被告人に対して提示されます。しばしば正確ではないにもかかわらず。

ニール:何か精度を改善する方法は無いのかな?

キャサリン:ええ、あります。例えば警察での面通しでは、警官が出す指示から目撃者が情報を受けるのを防ぐことができます。指示が彼らの反応に影響するかもしれませんから。

ニール:ああ、なるほど。そういえば君は何も教えてくれなかったね。番組の初めに、君の外見で何が変わったのかと君が聞いてきた時。

キャサリン:ええ、確かにそうよニール。でも、今はあなたに明かすことができます。それは…、私、眼鏡をかけているのよ、ニール。コンタクトレンズをなくしたの!

ニール:どうしてそれを見逃したのか分からないよ。だって実際、君の見た目は、あー、眼鏡ですっかり変わっているから。

キャサリン:ちょっと、そうね。さあ、そろそろ時間切れです。今日のクイズ質問の正解に移りましょう。覚えてますか、私が聞いたのは、脳のどの部位に、顔を認識するために割り当てられた領域があるでしょうか? それは…
a) 側頭葉?
b) 視床下部?
それとも c) 小脳?

ニール:僕はa)の側頭葉だと言ったよ。合ってるかな?

キャサリン:まさしくよ、ニール! 実にお見事。それが正解です!

ニール:やった!

キャサリン:脳で顔を識別するのに割かれている主要な部位は、紡錘状顔領域といって、側頭葉の中に位置します。それはおおざっぱに言えば人の耳のすぐ後ろの場所にあります。

ニール:興味深い話だ! さて、今日習った言葉は以下の通り…
reconstruct
distorted
crime scene
contaminated
at knifepoint
disconcerting
testimony

キャサリン:そして、今日の6 Minute Englishはこれで終了となります。忘れずにまたすぐ番組に参加してくださいね!

二人:さよなら!

[ノート]
trust one's own eyes:自分の目を信じる

trust:信用する・信頼する・任せる・頼りにする
own:自身の・自分の・独特の
memory:記憶力・記憶・思い出
discuss:話し合う・議論する・論じる
legal:法律の・法的な・合法の・司法の
system:系・系統・体系・制度・秩序・装置
be concerned about:心配する・気付かう・不安を抱える・憂慮する・懸念する
eyewitness:目撃者・目撃者の
testimony:証言・供述書・証拠

notice:分かる・気付く・言及する
do ~ differently:~のやり方を変える、違うやり方で~をする
outfit:衣服・衣装・装備一式
Honestly:<感嘆詞>(軽い怒り・不信・落胆・当惑・じれったさ・困惑・嫌悪などを表して)全く・実際・あのね・正直なところ・本当に
give up:諦める・断念する・降伏する
Well:ええと・うーん・そうですね・さて・いや・まあ
maybe:たぶん・もしかしたら
show:(ここでは)番組
figure out:答えを出す・算定する・答えを見つける・解明する・理解する・考え付く
Anyway:とにかく・どうせ・どのみち
whether:~かどうか・~であろうとなかろうと
remember:覚えている・記憶にとどめる・思い出す
accurately:正確に・厳密に・正しく・的確に
be ready to:いつでも~できる・用意がある・準備が出来ている・~する傾向がある
part:一部・部分・器官・組織・部品
brain:脳・大脳・頭脳
area:地域・地区・場所・分野・領域
dedicate:捧げる・献身する・専念する・打ち込む・割く・割り当てる・取っておく
face:顔・顔の表情・外見・外面
temporal lobe:側頭葉
hypothalamus:視床下部
cerebellum小脳
have no idea:全く分からない
say:言う・発言する・賭ける
find out:見いだす・解明する・明らかにする・調べる・気付く・見抜く・謎を解く
choose:選ぶ
correct answer:正解・正しい答え
later on:後で
play a trick on:手品を使う・だます・策略を用いる・一芝居打つ・いたずらする
tend to:しがちである・する傾向がある・しやすい
replay:再生する・再現する・反芻する
recall:思い出す・思い起こす・回収する・呼び戻す・呼び出す
as:(ここでは)~に従って・~の通りに
例文as agreed:合意に従って・取り決め通りに
originally:最初は・元来・元々・そもそも・本来
occur:起こる・生じる・発生する・現れる
work:働く・機能する・動作する
reconstructive:再建の・再生の・復興の・改造の・再建的な
process:処理・一連の行為・過程・作業・経過
reconstruct:再建する・改築する・修理する・再構築する・作り直す
rebuild:建て直す・復元する・改築する・作り直す・再構築する
during:~の間に・~の間中
例文spread during sexual contact:性的接触によって広がる
distort:歪める・曲げる・変形させる・誤り伝える・歪曲する
change:変える・変更する・変換する
different:異なった・違う・様々な・色々な
Tim Valentine:Position/Professor of Psychology(Goldsmith's Collegeのサイトより)
retired professor:退官教授・引退した教授
psychology:心理学
Goldsmith's College at the University of London:ゴールドスミス(Goldsmiths)は、イギリス・ロンドンのニュークロスに本部を置く、ロンドン大学を構成する研究・教育機関である。ただしロンドン大学を構成する他の教育・研究機関同様、個別の大学として通常扱われる。1891年に創立、1904年にロンドン大学に加盟。(wikipediaより)
all those:様々な・色々の・そうした・ああいった・それらの
be familiar with:詳しい・熟知している・よく知っている・慣れ親しんでいる
forensic:犯罪科学の・法医学の・法廷の
scene:場面・光景・シーン
crime:犯罪・罪・悪事
officer:(ここでは)警官・捜査官
Scenes of Crime Officer:(犯罪現場捜査官)A Scenes of Crime Officer (SOCO) is an officer who gathers forensic evidence for the British police. They are also referred to by some forces as Forensic Scene Investigators (FSIs), Crime Scene Investigators (CSIs)  (英語版wiipediaより)
forensic scenes of crimes officers:(その通りに訳せば、犯罪科学の犯罪現場の捜査官。上記の英語版wikipediaを参考にすると、本来は多分、「Forensic Scene Investigators」か「Scenes of Crime Officer」かのどちらかでいいのだが、「Forensic Scene」と「Scenes of Crime」を両方入れたのでくどい言葉になっているっぽい。ので訳は少し縮めて「犯罪現場の科学捜査員」にした。CSIっぽく。)
wear:身に着ける
make sure:確認する・確実に~する
例文make sure it happens:必ず実現させる
例文make sure nobody finds out:決して誰にも気付かれないようにする
introduce:紹介する・案内する・導入する・出会わせる・持ち込む・添加する
例文A little alcohol was introduced into the mixture.:混合液の中に少量アルコールが添加された.
physical:物質の・自然の・身体の・肉体の・物理学上の
trace:跡・形跡・証拠・手掛かり・痕跡
crime scene:事件の現場・犯罪現場
So that:~できるように
in the same way:同様に・同じように
have an interaction with:~と交流する・~とやりとりする
witness:目撃者・証人・参考人
protective clothing:防護服・保護衣
contaminate:汚す・汚染する・損なう
That's right:その通り
commit:(ここでは)罪を犯す・悪事をはたらく
impure:混ざりもののある・不潔な・汚れた・不純な
through:~を通って・~を使って・~を手段に・~を経由して・~によって
contact:接触・つながり・交流
outside source:外部の供給源
touch:触れる・触る・当たる
have one's gloves on:手袋をはめている
information:知識・情報・事実・資料・データ
once:一旦・一度・かつて・あるとき
get back to:戻る・立ち返る・復する
police officer:警察官・警官
questioning:質問・尋問
factor:要因・因子・要素・原因
stress:圧力・ストレス・緊張
affect:作用する・影響する・響く
ability:能力・力量・才能・可能性
be held at knifepoint:ナイフの先を突きつけられる
knifepoint:刃先・ナイフの先
be likely to:~しそうである・~しやすい・~の可能性が高い
concentrate:集中する・専心する・集結させる
weapon:武器・兵器・凶器
rather than:~よりむしろ・かえって
attacker:攻撃者・襲撃者・加害者
under threat of:~の脅威にさらされる・~の危険にさらされる
stab:刺す・突き刺す
place importance on:~を重要視する・~に重点を置く・~を大切にする
account:報告・説明・釈明
参考eyewitness account:目撃者の証言、目撃者の話
sound:~に聞こえる・~と思われる
convincing:説得力がある・納得できる・信じられる
court:裁判・公判・裁判所・法廷
in fact:実際は・実のところ・要するに・その上
according to:~によれば・~に従って・~に照らして
research:研究・調査・探究
unreliable:信頼できない・信頼性を欠く・信ぴょう性が無い・不確か
Karen Newirth:Karen A. Newirth is the senior staff attorney in the Innocence Project's strategic litigation unit, where she focuses on the Innocence Project's law reform efforts around eyewitness identification.(Innocence Projectのサイトより)
senior attorney:上席弁護士
Innocence Project in New York:イノセンス・プロジェクト は、DNA鑑定によって冤罪証明を行う非営利活動機関。 アメリカ合衆国、カナダ、英国、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ(Wits Justice Project)で行われている(wikipediaより)
explain:説明する・解説する・明らかにする
further:更に・一層・その上
sort of:多少・ある程度・幾分・~のようなもの・~みたいな・一種の・どちらかと言えば
natural for:当然な事・無理もない・もっともだ
accurate:正確な・精密な・間違いのない・的中した
It's very disconcerting to think that we're going through life relying on our memories and then to learn how mistaken they can be - and how frequently. :(訳に自信なし)
disconcerting:当惑させる・不安にさせる・窮する
disconcert:動揺させる・落ち着かなくさせる・ろうばいさせる
go through life:人生を歩む・生きていく・人生を送る・一生を過ごす
rely on:頼る・当てにする・依存する・信頼する
and then:それから・その後・そのうえ
learn:学ぶ・身に付ける・知る・暗記する
frequently:頻繁に・しばしば・よく
expected:予期された・期待された・起こり得る
piece:要素・部品・一かけら・一個・一品・一例
criminal trial:刑事裁判
juror:陪審員
anticipate:予測する・見込む・期待して待つ
look for:探す・予期する・期待する
like to:~したい・~したがる・~好きだ
inaccurate:不正確な・不確かな・間違った
confuse:混乱させる・困惑させる・戸惑わせる・混同する
upset:ひっくり返す・動揺させる・乱す・困らせる
expect:予期する・期待する・楽しみに待つ・要求する
spoken:口頭での・音声での・口語の
statement:発言すること・発言・声明・意見・供述・陳述
true:真実・正確・本当
commonly used:よく使われる・おなじみの・一般的な・人気のある
evidence:証拠・証言・形跡
bring:(ここでは)証拠などをあげる・提示する
against:反対して・逆らって・不利に・対して・対抗して
criminal defendant:刑事被告人
even though:にもかかわらず・~であるけれども・たとえ~としても
improve:改良する・改善する・向上させる・強化する
accuracy:正確さ・精密さ・精度
Yes, there are.:(Yesの後、何て言ってる? there areじゃなく聞こえる)
line-up:顔ぶれ・陣容・警察が目撃者に面通しさせるための容疑者の列
例文identify someone from a police lineup:警察の面通しの列から人を見分ける 
prevent:防ぐ・阻む・抑える・止める
receive:受ける・受け取る・聞く・知る・経験する・被る
instruction:指示・指図・命令・指導
influence:影響する・感化する
response:反応・返答・応答
their response:(theirは目撃者たちを指すのでいいのかな? また、発音はourにも聞こえるが?)
give away:譲る・贈る・与える・提供する・漏らす・ばらす・暴露する・表に出す
ask:尋ねる・聞く・頼む・依頼する
appearance:出現・登場・外観・容姿・風貌・見てくれ・様子
at the beginning of:~の初めに
that's true:確かに・その通り
reveal:見せる・公開する・明かす・暴露する・打ち明ける
glasses:眼鏡
lose:失う・なくす・逃れる・負ける
contact lenses:コンタクトレンズ
miss:失敗する・逃す・見逃す・免れる
actually:実際は・本当のところ・実は・実際に
completely:完全に・十分・すっかり・全く
Just a bit:少しだけ・ちょっと・多少
run out of time:時間がなくなる
run out:使い果たす・底をつく・売り切れる・時間切れになる
move onto:移る・移動する・進出する
answer:答え・返事・正解・解答
Remember:覚えている・記憶にとどめる・思い出す
recognize:認識する・識別する・見覚えがある・見分けがつく・承認する
indeed:本当に・まさに・実に・実際に
well done:うまい・お見事
main part:主要部・中心部・大部分
Fusiform Face Area:紡錘状顔領域(wikipediaの紡錘状回より)
Fusiform:紡錘状の
position:正しい場所に置く・適切に配置する・売り出す
find:出会う・見つけ出す・見出す・気付く・理解する・取り戻す
roughly:粗雑に・おおざっぱに・おおよそ
Fascinating:魅力的な・魅惑的な・うっとりさせる・興味をそそる・面白い・素敵な
here are:~を以下に列挙する・~は以下の通りである
bring:(ここでは)連れて行く・持ってくる・もたらす・~の状態に至らせる
bring ~ to an end:~にピリオドを打つ・~を終わらせる・~に決着をつける

写真の身長がフィート表記なんだけど、イギリスもフィート・ポンドの国なんだっけ?