WORDS AND THEIR STORIES
New 'Words to the Wise' from Merriam-Webster
March 02, 2017

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アメリカ英語の辞書、メリアム=ウェブスター辞典は最近、数多くの新語をオンライン版に追加しました。

ラーニング・イングリッシュの記者ブライアン・リンが変更点を調べました。新語のいくつかを説明するため一緒にスタジオに参加してくれます。

ハイ、ブライアン。

やあ、アシュリー。

まず最初に、メリアム=ウェブスター辞典はどのくらいの頻度で言葉を追加するの? 毎年のこと?

いや、実はそうではないんだ。前回、同社がオンライン版に新語を追加したのは2014年のこと。でも総合監修者のピーター・ソロコフスキによれば、メリアム=ウェブスターは追加された語のいくつかについてはずっとずっと以前から「注視」してきたそうだ。その他のものは、彼の話では、使われるようになったのはかなり最近だ。

新語は、どういう分野から来るの?

あらゆる分野からだよ。本当に。つまり、新しい用語の対象となる分野には、科学、技術、スポーツ、大衆文化も含んでいる。大半のものは君にもきっと馴染みがあるよ。

なるほど。じゃあ、何か例を…

あーでは、動詞の「一気に見る」はどうかな?

ああ、それね。私もテレビ番組を一気に見ることが時々あるわ、…しょっちゅうよ! この意味は、シリーズ物をたくさん何話も短期間に見ること。'binge'はこの場合、短い時間で何かを大量にする、という意味。

そう…。なのでここではおそらく、次から次へと何時間も連続して見るという事。中には番組を一シーズン分丸ごと、数日間ずっと見る人もいるでしょう。

では、あなたが集めたリストから次のものを挙げますよ、ブライアン。「ドクター・スースに関する」。アメリカ以外のラーニング・イングリッシュ利用者には、これを知らない人もいるでしょう。

そうだね。'Seussian'は形容詞で、ドクター・スースとして知られるアメリカの児童書作家を指します。彼は空想に満ちた児童向けの本をいくつも書き、楽しい韻を踏んだり、色とりどりの絵が描かれています。

「帽子の中の猫」や「緑色の卵とハム」のような。

『そんなもの食べないよ。僕はサムさ』。彼の本は笑えるばかりでなく、大勢の子供たちが読めるようになるのを手助けしてきた。だから、人にドクター・スースの世界を思い起こさせるものは何でも'Seussian'と言えるだろう。

そうね。「緑色の卵とハム」は私が生まれて初めて読んだ本よ、本当に。リストのお次は、フォトボム。これは関係ない誰かがカメラの前に飛び出してくること。普通は冗談ですることです。すごくおかしい写真をいくつか見たことがあるわ。それはとても上手なフォトボムのおかげ!

確かにそうだね。フォトボムするのは、どちらかといえば悪ふざけだ。でも、えー、それは「誰かを侮辱する」という意味ではない。

ああ、きっとそれも新たに加えられた言い回しね。影を投げ掛ける?

その通り。これは俗語表現で、その意味は公然と誰かへの軽蔑や嫌悪を表明すること。でも“throw shade”するには、その侮辱や無礼はさりげなく控え目でなければならないんだ。

わかった。つまり、新語の中には俗語表現だってあると…

正解。そうしたものの一つが、幽霊化する。

誰でもその名詞の意味は知っているけれど…

そうなんだ。でも動詞としての意味は、突然に関係を断ち切ること。

うーん、私の友達で、人からまさに'ghost'されて、とても傷ついた人がいます。何の説明もなく。これはやってあまり良いことではないですね。

そう。だからつまり、俗語を重ねて使うことだってできます。分かる? 誰かを侮辱した上、その人との連絡を急に断つってことも有り得る。

ああ…なるほど。リストから更にもう一つ言葉を挙げると、自覚無き差別。なら、突然付き合いを止めるのも自覚無き差別の一例かしら?

うーん、自覚無き差別は名詞で、少数派の人たちに向かって、微妙に、そしてしばしば無意識のうちに故意ではなく偏見を持った態度を示してしまう発言や行動のこと。

なるほど。どうもこれは「急に関係を断ち切ること」よりも少々深刻なようね。

そうだね。

分かりました。で、次の言葉は俗語ではなく、多くの人がこの語の意味を知っているのかあまり自信がありません。相貌失認。

ええ、これは名詞で科学的な意味を持っています。顔面の識別ができないことです。

なるほど、つまり失顔症と同等のものですね。

その通り。その言葉の通りになります。顔が分からないのです。

それでは、本当に興味深かったですよ、ブライアン。このスタジオに参加してくれてありがとう。そしてリスナーの皆さん、この話題が気に入ったかご連絡ください。もしかしたら将来、更にご紹介できるかもしれません。

アシュリー・トンプソンでした。

そしてブライアン・リンでした。

[ノート]
New 'Words to the Wise' from Merriam-Webster:メリアム=ウェブスター辞典より、新しい「賢者への言葉」(タイトルは改変)
Word to the Wise:賢者への一言・傾聴すべき一言・重要な一言

Merriam-Webster:ウェブスター辞典(Webster's Dictionary)とは、19世紀初頭にノア・ウェブスターが初めて編纂した一連の辞典。彼の名誉に肖り、その名を冠した無関係の辞典(所謂海賊版)も指す場合がある。アメリカ英語の形成史を探る上で非常に貴重であるのみならず、英語辞典の代名詞としても名高い。メリアム=ウェブスター社は1898年に大学辞典(Merriam-Webster's Collegiate Dictionary)を発刊、同シリーズは現在まで11版を数えるに至る。(wikipediaより)
look into:覗き込む・詳しく調べる・調査する・検討する
change:変化・移行・変更点・修正点
talk about:~について話す・話題にする・~を論じる・語る
First off:最初に
yearly event:年中行事
yearly:年一回の・毎年の・例年の
actually:実際は・本当に・本当のところ・実は・現に
last time:最後に・前回に
editor-at-large:総合監修者
Peter Solokowski:Lexicographer @MerriamWebster. TIME's Best Twitter Feeds. Public radio jazz host. Closet trumpet player. Dictionary ambassador.(本人のtwitterより)
watching:観察・注視・見物・監視
for many years:長年・何年もの間
in use:使用中で・使われて・使用するとき
come from:~から来る・由来する・源を発する・出身である
really:実際には・本当に・正直に・明らかに・全く
mean:意味する・指す
I mean:つまり・というか・いやその
term:(ここでは)用語・言葉
cover:覆う・くるむ・広がる・及ぶ・取り扱う・対象に含める
area:地域・地区・場所・領域・分野
include:含める・包含する・収録する・盛り込む
pop culture:ポップカルチャー・大衆文化
most:最大量・大多数
probably:恐らく・きっと
familiar to:よく知られている・親しみがある・身近な・馴染みがある
binge-watch:テレビ番組などの複数回のエピソードを連続的に一気に見る
binge:酒を大量に飲む・ドカ食いする・どんちゃん騒ぎをする・何かを大量にしたり消費する
episode:出来事・一回分・第~話
in a short period of time:短時間で・短期間に
in a short amount of time:短時間で・短期間に
guess:推測する・想像する・~だと思う
one after the other:交互に・次々に・順々に・相次いで
straight:(ここでは)連続して・休まずに
whole:全部含んだ・欠けのない・一体の・途切れない
over a few days:数日間ずっと・数日にわたり
list:一覧表・目録・リスト
collect:集める・収集する・受け取る
Seussian:スース博士の・Dr.スースに関する
Dr.Seuss:ドクター・スース(1904年3月2日 - 1991年9月24日)はアメリカ合衆国の絵本作家、画家、詩人、児童文学作家、漫画家。本名は、セオドア・スース・ガイゼル(Theodor Seuss Geisel)。1980年、児童文学の発展に大きく貢献したとして、ローラ・インガルス・ワイルダー賞を受賞。更には、1984年、ピューリッツァー賞特別賞を受賞した。(wikipediaより)
fan:ファン・応援者・熱狂的支持者
outside:外側の・外部の・以外の
refer to:言及する・~に触れる・参照する・指す
例文originally refer to:もともとは~を指す
children’s book:児童書
fantastical:空想的な・空想に満ちた・幻想的な
young children:幼い子供・幼児・低年齢小児
rhyme:韻・韻を踏む
colorful:色彩に富んだ・色とりどりの・色彩豊かな・色鮮やかな
“The Cat and the Hat”:VOAの記事が間違いで“The Cat in the Hat”です。日本語版タイトルは「キャット イン ザ ハット」。シリーズで何作かあるらしい。
“Green Eggs and Ham.”:日本語版は見つからず。未訳かな?
Sam-I-Am.=I am Sam:(「Sam I Am」は名前のように使い、「I Am」が名字のようになる、のだそうだが、どう訳せばいいのか分からないので、普通に訳した。)
make someone laugh:人を笑わせる
help:助ける・手助けする・手伝う・支援する・救う・役立つ・一役買う・促進する
learn to read:読めるようになる
remind A of B:AにBのことを思い出させる
photobomb:フォトボム・被写体とは無関係な人や物が写真に写りこむこと (写真を台無しにする爆弾(bomb)という意味)
jump in front of:~の前に飛び出す
uninvited:招かれざる
pretty:とても・かなり・非常に
funny:おかしな・笑える・面白い・ふざけた・奇妙な・変な
result of:~の結果・~の成果・~のたまもの
more of:~よりいっそう・~というよりはむしろ・~どころか・どちらかといえば
例文more of a generalist:どちらかというとゼネラリストだ
prank:イタズラ・悪ふざけ・意地悪・嫌がらせ
You know:ご存じでしょうが・当たり前ですが・あのね・ところで・いいかい・~ですよね・えー・あの・ほら・~じゃない
throw shade:誰かを貶める・侮辱する・悪口を言う・批判する・小バカにする
phrase:言い回し・慣用句・表現・語句・フレーズ
slang:俗語・隠語・スラング
expression:言い方・語句・表現
publicly:公開で・公然と・公に・公的に・人前で・おおっぴらに
express:述べる・示す・伝える・表現する
disrespect:軽視・無礼・尊敬を欠くこと・蔑む・侮辱
dislike:嫌悪・反感・嫌う
insult:侮辱・無礼な言動
offense:侮辱・無礼・悪意・気分を害するもの・攻撃・違反
subtle:微妙な・僅かな・分からない・捉えにくい・鋭い・器用な・狡猾な
understated:地味な・控え目な・抑制された
among:~に囲まれた・~の間の
as well:おまけに・その上・同様に
Correct:正しい・妥当な・間違っていない・的確な
ghost:幽霊
ghost:<動詞>突然いなくなる・立ち去る・人との付き合いを急にやめて一切の連絡をしない
abruptly:突然に・不意に・急に・前触れなく・慌てて
cut off:切り取る・切り離す・中断する・打ち切る・遮る・邪魔する・閉め出す
contact:接触・接点・関係・交流・交際
quite:かなり・相当・非常に
hurt:傷つける・感情を害する・苦痛を与える・困らせる
just:ちょうど・ただ~だけ・ぴったり・実に・全く・まさに・単に・わずか・はっきり言って・いったい・とにかく
explanation:説明・釈明・話し合い
pile on top:積み重ねる
pile:積み重ねる・山と積む
right?:解る?・でしょ?
microaggression:マイクロアグレッション・些細な侵害・自覚なき差別 (異なる文化、人種、身体的能力を持つ人々に対して、悪意がないにも関わらず相手を傷つけてしまう可能性を持つ言動)
comment:論評・意見・批評・発言
action:活動・行動・振る舞い・動作
subtly:微妙に・わずかに・さりげなく・それとなく
unconsciously:無意識に・知らず知らず
unintentionally:故意でなく・気付かずに・知らずに
prejudiced attitude:偏見を持った態度
minority group:少数派・少数民族
sound:~に聞こえる・~に思われる
serious:真面目な・本気の・重大な・深刻な
Alright:承知した・了解した・確かに
not really sure about:~についてはよく分からない・あまり確信がない
prosopagnosia:相貌失認 とは脳障害による失認の一種で、特に「顔を見てもその表情の識別が出来ず、誰の顔か解らず、もって個人の識別が出来なくなる症状」を指す。 俗に失顔症とも呼ばれる。頭部損傷や脳腫瘍・血管障害等が後天的に相貌失認を誘発する要因となる。(wikipediaより)
scientific:科学的な・科学上の
inability:~できないこと・無能・不能
recognize:識別する・見分けがつく・見覚えがある・認識する
face-blindness:失顔症・相貌失認
Exactly:その通り・まさしく
Blind:盲目の・目が見えない・理解できない・分からない
例文blind to reality:現実が見えていない・現実を分かっていない
let me know:私に知らせてほしい・教えてください

まずトップの写真ですが、これはフォトボムの実例という事で、手前の三人、アロー・ブラック(ソウルシンガー)、ルシアン・グランジ(ユニバーサル・ミュージック・グループCEO)、アーヴィン・エイゾフ(興業やマネジメント界の超大物さんらしい)の背後に、妙なポーズのジョン・ボン・ジョヴィが写り込んでいます。
今回の話題は、BBC Learning Englishが取り上げた言葉と二つほど重なっています。興味深い。まず、"binge-watch"は、つい先週の「6 Minute English/Life expectancy」の中で出てきました。もう一つ、 "photobomb"は昨年11月の「The English We Speak/Photobomb」そのものです。興味のある方は是非見てください。
また、" Seussian"については、VOAが先日「Dr. Seuss Honored on World Book Day」という記事を書いています。訳してないけど。
日本の辞書について調べると、三省堂国語辞典が2014年に(紙の)第七版を出しています。そこで収録された語を、ダ・ヴィンチニュース「「オタク」の意味もポジティブに 新語4000の新「三省堂国語辞典」を旧版と読み比べ 2014.1.17」からいくつか紹介すると、話題になったのが「(あざ)笑うことをあらわす文字」としての「w」。なるほど。その他は「つぶやく」「フェイスブック」「つんでれ」「上から目線」「KY」「モンスターペアレント」等々。僅か数年ですが、もう新しくはない感じの言葉ですね。タイトルにあるオタクの意味は、第六版の「特定の趣味にのめり込んでいる <内向的な> マニア」から第七版では「特定の趣味にのめりこんで、くわしい知識を持つ人。ヲタ」と、ポジティブ寄りの解説に改訂されているそうです。
広辞苑の(紙の)第六版が出版されたのが2008年。マイナビニュースの「広辞苑、10年ぶりの改訂 - ニート、メタボリック症候群など新語を収録 2008/01/11」から、そこで収録されたの言葉を挙げると…、「顔文字」「イケメン」「着メロ」「ユビキタス」「法科大学院」「住基ネット」「海洋深層水」「アガリスク」「京都議定書」等々。うーん、十年一昔だ。