AS IT IS
Brazil Investigates Possible Killing of Uncontacted Tribe Members
September 18, 2017

[お知らせ]
BBCのThe English We Speakが9月から月曜日更新となった為、試しに、今週は当ブログの更新を、火曜日にBBCのThe English We Speak、水曜日にVOAとしました。来週からもこのパターンで継続するかは、ちょっと未定です。よろしくお願いします。

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ブラジル政府は、ある未接触先住部族10人の死に関する捜査を開始した。

金鉱労働者が、ブラジルのアマゾナス州で部族の人を殺したと伝えられている。

アマゾナス州当局は、鉱山労働者が未接触部族の人の殺害について話していたことを知って、捜査を始めた。

ブラジル国立先住民保護財団によれば、数人の鉱山労働者が尋問するために拘留されているが、今のところ殺人は確認されていない。

この報告は、「先住民族の権利に関する国際連合宣言」10周年記念ウィークに取り上げられた。

同宣言は、先住民族の状況への注意を喚起し、彼らの生存と厚生に関する基準を打ち立てた。しかしブラジル国内の支援者によれば、先住権への認識の進展は、この国では遅々としていると言う。

ブラジルには約90万人の先住民が暮らしている。彼らは300の部族に分散し、多くの異なる言語を話している。

先住部族は多くの基本的権利に欠けている、活動家談

南米諸国の先住民は苦しんでいる。指導者や擁護者によれば、多くの人に財産権がない。鉱山労働者や農場主、木材伐採者からの暴力にさらされるおそれがあり、先住民の人たちの利益を保護するための資金は乏しい。

しかし、ブラジルの土地の10%以上は先住民の人々の所有地だと承認されている。そうした土地の大半はアマゾン川流域の熱帯雨林にある。

国連の宣言は土地境界設定への支持を表明しており、これは先住民の人たちにある種の土地の権利をもたらすものだ。

アルベルト・トレナはブラジル先住民の指導者だ。

彼はトムソン・ロイター財団にこう語っている。「我々の権利は絶えず侵害されていると考えています… 我々の生活は土地次第なのです」 彼はこう付け加えた。「土地の境界設定なしでは、健康も教育も得られません。ほんの小さな土地しかないのに、人は山のようにいます」

ジョアナ・シアバリはブラジルに所在する環境政策イニシアチブの専門家だ。彼女によれば、先住民の土地を守るための土地境界設定の手続きが暴力を招いてきたと言う。

エリカ・ヤマダは先住民の権利に関する国連の専門家だ。彼女の話では、2016年に25か国で殺害された先住民の人数は、前年比で100%増加して281人になった。そしてこう言い加えている。2017年の殺害件数は、彼女の言葉によれば「更に一層憂慮すべきもとなるだろう」。

先住民の領地の侵害は、ブラジルが支出を削減するにつれて増加してきたとする人もいる。当局者によれば、予算削減は、過去10年間で最悪の景気後退からブラジルを脱出させるための方策だ。

ジョナサン・エバンスがお送りしました。

[ノート]
Possible:可能性・候補・容疑者・最善
例文possible murder suspect:殺人事件の容疑者かもしれない

open an investigation into:~についての取り調べを開始する
investigation:捜査・追及・調査
uncontacted tribe:未接触部族
contact:接触する・連絡する
indigenous:先住の・土着の
tribe:部族・種族・仲間
Gold miner:金鉱労働者・採金者
miner:鉱山労働者・炭坑作業員
reportedly:伝えられるところによれば・報道によれば・うわさされている
Brazilian:ブラジルの・ブラジル人の
Amazonas:アマゾナス州 (Estado de Amazonas) は、ブラジルの北西部の州。州都はマナウス。面積157万1000 km2、人口400万1667人(2016年推計)。(wikipediaより。地図も)
svg
Official:公務員・職員・当局者
after:~の後で・~を追跡して・~を捜して・~にちなんで・~したので
例文after broad criticism for:~に対するさまざまな批判を受けて
learn:学ぶ・身に付ける・分かる・知る・暗記する
例文learn something useful:何か役に立つことを聞き出す
Brazil's National Indian Foundation:国立先住民保護財団(葡: Fundacao Nacional do Indio, FUNAI)は、ブラジルに居住する先住民族の利益と文化を保護するためのブラジル政府の機関。国立インディオ基金とも呼ばれる。(wikipediaより)
detain:自由を奪う・拘留する・拘束する・引き止める・待たせる
detain someone for questioning:人を尋問するために拘留する
confirm:確認する・裏付ける・承認する・固める
come on:(ここでは)問題が持ち出される・取り上げられる・審議に上る・審理される
10-year anniversary:10周年記念
declaration:宣言・布告・申告
Declaration on the Rights of Indigenous Peoples:先住民族の権利に関する国際連合宣言は、2007年9月13日、ニューヨークの国連本部で行われていた第61期の国際連合総会において採択された国際連合総会決議。2007年9月13日に提案の採用について採決した。投票結果は143ヶ国の賛成、4ヶ国の反対、11ヶ国の棄権であった。反対はオーストラリア、カナダ、ニュージーランド、アメリカ合衆国のいずれもかなりの先住民族人口を持つ(かつ、当該民族に対するジェノサイドを行ってきた)国だった。アゼルバイジャン、バングラデシュ、ブータン、ブルンジ、コロンビア、グルジア、ケニア、ナイジェリア、ロシア連邦、サモア、ウクライナが棄権した。他の34ヶ国は欠席した。日本は賛成票を投じている。(wikipediaより)
document:報告書・公文書・資料・記録・文書・書類(ここでのdocumentは国連宣言を指すと思うが…)
bring attention:注意を喚起する・関心を呼び起こす
situation:状況・情勢・事態・立場・場面・状態・難局・問題
create standard:基準を作る・標準を打ち立てる
survival:生存・生き延びること・生き延びた人
well-being:幸せ・幸福・厚生・福祉・福利・満足できる生活状態
advocate:擁護者・支持者・提唱者・調停者・代弁者・代理人・弁護士
indigenous rights:先住権
recognition:認識・認知
make progress:進展する・進歩する
spread out:広がる・広げる
different:違う・異なる・様々な・いろいろの
activist:活動家・運動家
Native people:先住民
struggle:奮闘する・悪戦苦闘する・もがく・戦う・苦労する
property right:財産権
face:面する・向く・対面する・立ち向かう・直面する
例文face a constant danger:常に危険にさらされる
rancher:農場主・牧場主・農場牧場の経営者
logger:伐採者・木こり
money:金・資金・財産・予算
interest:関心・利息・利益・利害
recognize:識別する・見分ける・気付く・評価する・承認する
territory:土地・地域・領地・領土・統治領・区域
population:人口・住民・人々
rainforest:熱帯雨林
Amazon River:アマゾン川は世界最大の河川の一つである。特に流域面積では2位以下のコンゴ川、ナイル川、ミシシッピ川のそれぞれ2倍程度、オーストラリア大陸の面積に匹敵する705万km2にわたる。1973年から1990年の平均流量は毎秒 209,000 t と推定される。全世界の川の流量の 25% を占めている。(wikipediaより)
offer:申し出る・提供する・提案する・言う・示す
support:支援・援助・支持
例文offer firm support:確固たる支持を表明する
demarcation:境界・境界設定・境界画定・区分・区画・縄張り
provide:供給する・提供する・もたらす
some form of:ある種の・何らかの形で
Alberto Terena:(↓この人。こちらのサイトから)
alberto_terena
Thomson Reuters Foundation:トムソン・ロイター財団では、トムソン・ロイターのスキル、価値、専門知識を活用して、世界中で真の変革をもたらし、人々に活力を与えるプログラムを運営しています。当財団は、自由で独立したジャーナリズム、人権、女性の地位の向上、法の支配を支持しています。世界中の腐敗を明らかにし、世界での人身売買に対する戦いで主導的な役割を果たしています。(トムソン・ロイターのサイトより)
see:(ここでは)~と見る・みなす・考える・理解する
violate:違反する・破る・犯す・侵害する・無視する
all the time:いつも・ずっと・四六時中
depend on:頼る・当てにする・~次第である・依存する・~にかかっている
just:ちょうど・ただ~だけ・ぴったり・実に・全く・まさに・単に・わずか・はっきり言って・いったい・とにかく
heap:積み重ねたもの・堆積・多数
heap of:山ほどある・たくさんの・大勢の
Joana Chiavari:Senior Analyst(CPIのサイトより。↓この人)
2602000427
Climate Policy Initiative:With deep expertise in policy and finance, CPI works to improve the most important energy and land use practices around the world. Our mission is to help governments, businesses, and financial institutions drive growth while addressing climate risk.(同団体のサイトより)TYPE:Research organization COUNTRY OF ORIGIN: United States CITY: USA (San Francisco), Italy (Venice), Brazil (Rio de Janeiro), India (Hyderabad), Indonesia (Jakarta) ACTIVE SINCE: 2009(thinktankmap.orgのサイトより)
Climate Policy:気候政策・環境政策
Initiative:自発力・独創力・構想・戦略・主導
process:一連の行為・作業・過程・進行・経過・推移・手続き
result in:もたらす・結果になる・~に終わる・結果として~を招く・引き起こす
例文result in bankruptcy:破綻を招く
Erika Yamada:APPOINTED MANDATE HOLDER(国際連合人権高等弁務官事務所のサイトより。同OHCHRの資料によると、1978年生まれ、国籍はブラジルで、Middle name: MAGAMIと書かれている。ブラジルで生まれ育った日系人の2世か3世で、ミドルネームがマガミとは、父方母方ともに日系人なのかもしれない。)
increase by __ percent:_パーセント増加する
year before:前年
likely to:~しそうである・~らしい・~の可能性がある
even more:さらにいっそう
alarming:警戒すべき・憂慮すべき・人を不安にさせる・驚くべき・ただならぬ
invasion:侵入・侵略・侵害・侵犯
as:(ここでは)~につれて・~に従って・~なので・~だから
cut spending:支出を削減する
budget:予算・経費
measure:(ここでは)手段・方策
aim at:狙う・目指す・目的とする
bring someone out of:人をある状態から抜け出させる・脱却させる
recession:景気後退・不況・不景気
decade:10年間

金鉱採掘となると、先住民族の保護は極めて困難になりそうです。大金が絡みますからね。似たような話が、太平洋側のペルーでも起きています。AFP-BBの2015年の記事から「なぜ今?アマゾンの密林を出る孤立先住民族、ペルー政府困惑 2015年3月30日」 一部を引用すると、
南米アマゾンの奥地に暮らす、地球上に残された数少ない孤立した先住民族の一つ、マシコ・ピロ(Mashco-Piro)の人々が密林の外に姿を現すことが最近増え、ペルー政府の悩みの種になっている。当局は、熱帯雨林の違法伐採が拡大しているため、マシコ・ピロの人々が居住地の森から出て来ざるを得なくなっている可能性があると指摘する。
(中略)
別名クハレーニョ(Cujareno)とも呼ばれるマシコ・ピロは、人口およそ800人。ブラジルとの国境に近いペルー南部のマドレデディオス(Madre de Dios)県にある自然保護区内に居住する。しかし、同県では違法な森林伐採と金採掘により、約5万5000ヘクタールの熱帯雨林が失われた。ペルーは南米1位かつ世界5位の金産出国だが、マドレデディオスには国内最大の違法金鉱がある。
「違法金鉱」が原因ですよ。これを救済することの難しさも記事に書かれています。
ペルー文化省は、外界との接触にはマシコ・ピロを滅亡に追い込む危険も潜んでいると懸念を表明している。服を贈るという一見無害な行為さえも、これまで森の外に存在する病気と無縁で免疫を持たないマシコ・ピロの人々にとっては全滅につながりかねない。
「彼らは、外から持ち込まれる病原菌に非常に弱いと考えられる」と、ペルー文化省・孤立先住民対策室のロレーナ・プリエト(Lorena Prieto)室長は言う。
なるほど。
同じくAFP-BBの記事には、環境保護活動家が殺害の対象になっているという記事もあります。「環境保護活動家らの殺害、2016年は200人 4割は先住民 2017年7月17日」 一部を引用すると、
2016年に世界各地で殺害された環境保護関連の活動家や抗議行動の参加者は少なくとも200人に上り、その4割が先住民族出身者だとする報告を、英NGO「グローバル・ウィットネス(Global Witness)」が13日、発表した。
(中略)
殺害が確認された人々のうち、ブラジル、コロンビア、フィリピンが合わせて半数以上を占め、その後にインド、ホンジュラス、ニカラグア、コンゴ民主共和国、バングラデシュが続く。またそうした殺人事件の60%が中南米で発生している。
こうした殺人は、治安が悪く法秩序に劣る途上国で起こるものかと思っていましたが、先進国を揺るがす事態も起きています。AFP-BBの記事から「カナダ先住民女性、数千人が殺人被害の可能性 政府が認める 2016年2月17日」 一部を引用すると、
カナダのキャロリン・ベネット(Carolyn Bennett)先住民相は16日、遺族から他殺を疑う声が出ていたのにもかかわらず、自殺や事故死、自然死として処理された先住民女性の数が数千人に上る可能性があると指摘し、警察当局が適切な捜査を怠ったと非難した。
カナダ連邦警察は、2014年に発表し昨年改訂した報告書で、過去30年間で殺害された先住民女性の数を1049人、行方不明者を172人としていた。だがベネット先住民相は、「悲劇の規模はさらに大きい」と指摘。ある女性人権団体は、実際の人数は4000人にも達するという見方を示している。
4000人! これは決して西部開拓時代の話ではなく、この30年間の話です。誰が犯人なのかについて、恐ろしい話も出ています。産経新聞から「殺害、誘拐、消えた女性1200人!先住民めぐる“カナダの闇”解明なるか…問われるイケメン首相の手腕 2016.2.10」 一部を引用すると、
これまで、行方不明の女性らの家族や、先住民のリーダーたちは政府に事件の調査を求めてきたが、ハーパー前首相は拒否してきたという。それだけに、今回のトルドー氏の決断は関係者らに「歴史的」と歓迎され、期待感も高い。
同紙によると、カナダの女性全体に占める先住民女性の割合はわずか4%。しかし、カナダで殺人事件の犠牲になった女性のうち、16%が先住民女性といい、先住民女性が置かれた環境は厳しいものといえる。
(中略)
AFP通信によると、昨年10月にはケベック州で、制服警官による性的暴行事件が10件以上も発覚した。
被害に遭った女性たちの訴えによると、パトカーの車内で警察官に手錠をかけられてレイプされ、さらに携帯電話を破壊された上、極寒の中で道路脇に放り出されて置き去りにされたという。
地元メディアなどは、これらの事件の捜査対象が、同州の最大都市モントリオールから約500キロ北のバルドールの警察官8人と報道。公共放送ラジオ・カナダによれば、警察官らは、バルドールに近いアルゴンキンで日常的に女性たちをパトカーに乗せ、性行為を強要していた。
昨年8月にはカナダ中部のマニトバ州で、殺害された15歳の先住民の少女の遺体が川で見つかるという事件も起きている。
現職警官によるレイプが多発しているとの報道です。カナダでは、先住民を巡る「過去の闇」も明らかになっています。HUFFPOST日本版から「変化するカナダ、先住民族迫害を正式に認め調査開始へ 2015年12月20日」 一部を引用すると、
さらに、6月に発表された「真実と和解の委員会」の報告書では、1874年に始まったカナダ政府の同化政策によって先住民の子供が差別や虐待をされた事実が明らかになっている。
それによると、120年以上にわたって先住民の子供 約15万人が同化政策によって、「インディアン寄宿学校」に親元から引き離されて強制的に入れられ、差別や虐待を受けてきた。この寄宿学校は1883年から1998年までの間に、カナダ各地に約130校存在し、政府の補助金を受けキリスト教教会が運営してきた。1940年代には先住民の学齢期の子供約3分の1がこれらの施設に入れられ、6000人が虐待によって死亡したとされている。この報告書ではこれらの実態を「文化的ジェノサイド」と激しく非難している。
6000人が虐待死。恐ろしや。でも、「真実と和解の委員会」がこうやって不都合な真実を明らかに出来るところは、カナダの立派さだとも思います。