6 Minute English
What can't computers do?
EPISODE 170928 / 28 SEP 2017


機械による判断は家庭に、会社に、学校に、そして病院にもあります。コンピュータのアルゴリズムは人の車の運転を支援しています。それは、病院で人のどこが具合悪いのか診断し、生徒の小論文を採点しています。ニールとティムは人工知能について話をし、皆さんに6個の語彙をお教えします。

[台本]

ニール:6 Minute Englishへようこそ。この番組がお届けするのは知的な話題と6個の関連する語彙です。僕はニール。

ティム:そして僕はティム。今日、我々が話しするのはAI、つまり人工知能についてです。

ニール:人工知能とは、人の知性的な挙動を真似る機械の能力の事です。例えば、知的な機械は自身の失敗から学んだり、過去に起きた出来事に基づいて意思決定が出来ます。

ティム:近頃はAIの話題が一杯だけど、ニール、それはまだSFに過ぎない。そうだろ?

ニール:そんなことはない。AIは至る所にあるよ。機械の判断は僕らの家にも、職場にも、学校や病院にもある。コンピュータのアルゴリズムは、車の運転を助けているし、病院では患者の何が悪いのか診断し、生徒の作文の点をつけて… スマホで何を読むべきか教えてくれる…

ティム:わあ、それこそ本当にSFのようだ。でも、それは既に起きていることだと君は言うんだね、ニール?

ニール:間違いなく起きているよ、ティム。アルゴリズムとはちなみに、問題を解決するためにコンピュータが実行する一連の手順の事。では、1997年にアルゴリズムを用いてチェスの世界チャンピオン、ガルリ・カスパロフを打ち破ったことで有名なコンピュータの名前が何か分かりますか? それは…
a) ハル
b) アルファ60、それとも
c) ディープ・ブルー?

ティム:ディープ・ブルーにするよ。と言っても、推測だけど。

ニール:それは根拠のある推測かな、ティム?

ティム:チェスの事は少々知ってるからね…

ニール:根拠ある推測とは、知識や経験に基づいており、それ故に正しい可能性が高い。では、今回、君の推測にどの程度根拠があったかは後程明らかになるでしょう、ティム。

ティム:もちろん。でも、AIと機械に何が出来るかに戻るとしよう。それは実生活の問題を解決するのに少しは役に立つのかな? コンピュータは0と1で考えるんだろ? それって人生経験に関しては相当劣った言語に思えるよ!

ニール:そんな0と1に出来ることに君は驚くことになるよ、ティム。とは言え、君の言う通りで、今のAIには制約がある。何かに制約があるとは、それに何が出来るか、どれほど上手くなれるかに限界があるということ。

ティム:よし。そろそろ、ズービン・バハラマーニの話を聞くのに良い頃合いだろう。ケンブリッジ大学の情報工学の教授で、かつ「知能の未来のためのリーヴァーヒューム・センター」の副センター長だ。現在のAIが抱える制約とは何かについて話しています。

[挿入]
ズービン・バハラマーニ ケンブリッジ大学情報工学教授 兼 知能の未来のためのリーヴァーヒューム・センター副センター長
私が非常に興味深いと考えているのは、人がどれほど多くの事を当たり前だと思っているか、我々人類が簡単だと思っている事、それについて考えさえしない類の物事です。例えば、どうやって歩くのか、どうやって手が届くのか、どうやって母親だと識別できるのか。えー、そういったあれこれです。如何にしてそれらをコンピュータ上で遂行するかを考え始めると、気が付きます。そうした物事は、コンピュータにやらせるにはとてつもなく困難なことに。そしてそれが、現在の最先端の研究が位置する場所です。

ニール:何かを'take for granted'するとは、それがどれほど大切か理解していない事。

ティム:君は時々、僕を軽く見ている気がするんだけど、ニール。

ニール:いや、君の有難みを忘れたことなどないよ、ティム! 侮るには君は重要過ぎるからね!

ティム:そう聞いて嬉しいよ! つまり人が慣れっこになる物とは、日常の作業にしている、歩くこととか物を持ち上げるとか人を見分けることです。人はこうした物事を無意識に遂行、あるいは実行しています。しかし一方で、これを機械がするように挑戦し、プログラムを組むのは最先端の研究なのです。

ニール:'Cutting edge'の意味は、非常に新しくて進歩した。これって面白いことじゃないかな。10年以上も前に、コンピュータはチェスのグランドマスターに勝利した。けれど、その同じコンピュータがチェスの駒をつまみ上げることが途方もなく難しいと気付くんだ。

ティム:分かるよ。とても不思議だ。でも、今ので思い出したけど、今日の質問の正解が必要だ。

ニール:それは、1997年にチェスの世界チャンピオン、ガルリ・カスパロフを打ち負かしたことで知られるコンピュータの名前は何でしょうか? で、君はディープ・ブルーと言ったよね、ティム。それは…正解でした!

ティム:ほら見ろ、僕の目星は知識と経験に基づいていたじゃないか!

ニール:あるいは運かっただけかも。さて、IBMのスーパーコンピュタ、ディープ・ブルーは合衆国のチェス世界王者のガルリ・カスパロフと二回、チェスの対戦を行いました。一回目の対戦は1996年にフィラデルフィアで行われ、カスパロフが勝ちました。二回目の対戦は1997年にニューヨーク市で行われ、ディープ・ブルーが勝利しました。1997年の対戦で初めて、公式戦の条件で現役のチェス世界王者がコンピュータに敗北しました。

ティム:では、今日習った言葉を順に見て行こう。最初は‘artificial intelligence’あるいはAI。人の賢い行動を模倣する機械の能力のこと。

ニール:「詩を書くことが出来るAIプログラムが存在する」

ティム:暗唱できる例が何かあるかい?

ニール:残念ながら無いよ! 2番目。'algorithm'は、問題を解くためにコンピュータが遂行する措置の集合。例えば、「グーグルは検索アルゴリズムを毎年何百回となく更新している」

ティム:形容詞は'algorithmic'。例えば「グーグルは多くのアルゴリズムに関する変更を行ってきた」

ニール:3番目。もし何かに‘limitations’があるなら、なにが出来るか、どの位良くなるかについて限度があること。「私たちの番組にはある程度の制約がある。例えば、6分間しかない!」

ティム:その通り。語彙を6個紹介する時間しかありません。短いけれど、素敵です!

ニール:しかも非常に知的でもあります。よし。次の項目は‘take something for granted’。これは、あるものがいかに大事か気付いていない事。

ティム:「最近では、人はスマホを当たり前だと思っている。でも1995年以前は、とうて誰も所有できなかった」

ニール:5番目。‘to implement’の意味は、課題を実行する、あるいは行動を起こすこと。

ティム:「ニールは番組にいくつかの改革を実施した」

ニール:最後の項目は‘cutting edge’。新しくて先進的な。「このソフトは最先端だ」

ティム:「このソフトは最新の技術を使っている」

ニール:よし。本日の最先端番組のための時間はこれでお終いです。でも、我々のインスタグラム、ツイッター、フェイスブック、ユーチューブのページも見に来てください。

ティム:バイバイ!

ニール:さようなら!

[ノート]

Machine thinking:(辞書的に見つからない。thinking machine なら、思考機械なんだけど)
Machine:機械・仕掛け・道具・乗り物・コンピュータ・仕組み
thinking:考えること・考え・思考・意見・判断
algorithm:アルゴリズムとは、数学、コンピューティング、言語学、あるいは関連する分野において、問題を解くための手順を定式化した形で表現したものを言う。算法と訳されることもある。(wikipediaより)
help:助ける・手助けする・手伝う・支援する・救う・役立つ・一役買う・促進する
diagnose:診断する
be wrong with:~にとって良くない・欠点となる・具合が悪い
例文something is wrong with:~はどこかがおかしい・故障している・異常がある・具合が悪い
mark:(ここでは)採点する・点を記録する・成績を付ける
例文mark the final exams:期末試験の採点をする.
essay:随筆・エッセー・作文・小論文
artificial intelligence:人工知能
Intelligence:知能・知性・知力・諜報
item:項目・品目・箇条
vocabulary:語彙

bring:持ってくる・連れて行く・もたらす・提示する・届ける
intelligent:知的な・知性のある・賢明な・合理的な
topic:主題・題目・テーマ・話題
related:関連した・つながりのある
ability:能力・才能・力量
copy:写す・コピーする・倣う・まねる
behaviour:行動・態度・挙動・振る舞い・言動・習性・動作・調子・性質・反応
make a decision:決める・決定する・決断する・意思決定する
based on:~に基づく
just:ちょうど・ただ~だけ・実に・全く・まさに・単に・わずか・いったい・とにかく・~にすぎない
science fiction:サイエンスフィクション・空想科学小説・SF
true:真の・本当の・実際通りの
to:(ここでは)~すべき
例文have a pile of books to read:読むべき本が山積みになっている
really:実際には・実のところ・本当に・正直に・明らかに・間違いなく・全く
sound like:~のように聞こえる・ように思える・ような印象を与える
definitely:確かに・間違いなく・疑いなく・明らかに・はっきり・全く・結局・厳密に・明確に
by the way:ところで・なお
a set of:一組の・ひとそろいの・一連の・一式・集合
step:歩み・一歩・足取り・道のり・手段・段階・手順・措置・過程
follow:続く・ついていく・追いかける・たどる・進む・従う・倣う・守る
例文follow the instructions to the letter:その指示を文字通りに実行する
solve a problem:問題を解決する
famously:有名な・よく知られている・周知の
beat:打つ・殴る・打ち負かす・参らせる
Garry Kasparov:ガルリ・キーモヴィチ・カスパロフ(Garry Kimovich Kasparov、1963年4月13日 - )は、アゼルバイジャンのバクー出身の元チェス選手。15年もの間チェスの世界チャンピオンのタイトルを保持し続けた人物。1948年にFIDEによる選手権制度が始まってからでは最長記録である。2005年3月にチェストーナメントから引退し、現在はロシアで民主化運動を行っている政治家である。(wikipediaより)
Hal:(HAL9000をもじったのかな?)
参考HAL 9000は、SF小説およびSF映画の『2001年宇宙の旅』・『2010年宇宙の旅』などに登場する、人工知能を備えた架空のコンピュータである。(wikipediaより)
Alpha 60:(見つからず。AlphaGoをもじったのかな?)
参考AlphaGo(アルファ碁、アルファご)は、Google DeepMindによって開発されたコンピュータ囲碁プログラムである。2015年10月に、人間のプロ囲碁棋士を互先(ハンディキャップなし)で破った初のコンピュータ囲碁プログラムとなった。(wikipediaより)
Deep Blue:ディープ・ブルー(Deep Blue)は、IBMが開発したチェス専用のスーパーコンピュータである。大学の研究室で生まれたチェス専用スーパーコンピュータ「ディープ・ソート」の研究を引き継ぐ形で、IBMが1989年より開発を開始したもので、ディープ・ソートを破った当時チェスの世界チャンピオンだった、ガルリ・カスパロフを打ち負かすことを目標とした。(wikipediaより)
Although:~ではあるが・~だけれども・とはいえ・しかし
guess:推測する・想像する・推量する・言い当てる
educated guess:経験に基づく推測・知識に裏付けられた推測・根拠のある推測
例文make an educated guess:知識や経験に基づいて推測する・目星を付ける
therefore:その結果・それ故に・従って・だから
be likely to:~しそうである・~しやすい・~の可能性が高い・見込みがある
find out:見いだす・解明する・理解する・明らかにする・気付く・見破る・答えを出す・謎を解く
in this case:この場合・この件では・この際
Indeed:本当に・全く・確かに・実に・もちろん
get back:戻る・帰る・復帰させる
good at:得意な・上手い・長けている
例文good at nothing:役立たずである
real-life:現実の・実際の・現実的な・実在の・実生活の
pretty:とても・かなり・非常に・実に
limited:限られた・制限された・わずかな・劣る・悪い
例文have limited vision:視力が劣っている
come to:(ここでは)~になると・~に関しては
limitation:制限・制約・限界・欠点・限定・削減
at the moment:現在・今のところ・今は・目下・当面・~した瞬間
limit:制限・限度・限界
Zoubin Bharhramani:Zoubin Ghahramani FRS (born 8 February 1970) is a British-Iranian researcher and Professor of Information Engineering at the University of Cambridge. He holds joint appointments at Carnegie Mellon University[citation needed], University College London and the Alan Turing Institute.[citation needed] and has been a Fellow of St John's College, Cambridge since 2009. He is also Chief Scientist at Uber and Deputy Director of the Leverhulme Centre for the Future of Intelligence.(英語版wikipediaより。なんという所属機関の数々!)
Information Engineering:情報工学
University of Cambridge:ケンブリッジ大学(University of Cambridge)は、イギリスの大学都市ケンブリッジに所在する総合大学であり、イギリス伝統のカレッジ制を特徴とする世界屈指の名門大学である。中世に創設されて以来、英語圏ではオックスフォード大学に次ぐ古い歴史をもっており、アンシャン・ユニヴァシティーに属する。(wikipediaより)
deputy director:副部長・副校長・副所長・副長官・副館長
Leverhulme Centre for the Future of Intelligence:The Leverhulme Centre for the Future of Intelligence is an interdisciplinary research centre within the University of Cambridge that explores the opportunities and challenges to humanity from the development of artificial intelligence.(英語版wikipediaより)ケンブリッジ大学内に2016年10月17日に設立された「Leverhulme Centre for the Future of Intelligence」は、リーヴァーヒューム・トラストから1千万ポンド(約12.7億円)の助成金を受けている。このシンクタンクは、AIの出現によって発生する諸問題に対処するために思索家や実務家を集め、簡単な定義(AIとは何か?)から倫理的・法的な問題(AIが人を殺したら誰が責任を負うべきか?)を扱う。(WIREDの記事から)
Leverhulme:リーバーヒューム(人名)
take ~ for granted:~を当然と思う・当たり前だと考える・常識と見なす・慣れっこになる・軽く見る・みくびる・有難みを忘れる・正当に評価しない
as being sort of things:(訳に自信なし)
sort of:多少・いくらか・~のようなもの・~みたいな・一種の
reach:達する・至る・着く・手が届く
recognize:識別する・見分けがつく・覚えている・評価する
You know:ご存じでしょうが・当たり前ですが・あのね・ところで・いいかい・~ですよね・えー・あのー・ほら・~じゃない
implement:実行する・実践する・遂行する・執行する・実装する
realize:気付く・悟る・実感する・理解する
incredibly:信じられないほどに・非常に・とてつもなく
get ~ to:~に…してもらう・~に…させる・~に…するよう説得する
current:現在の・最新の・進行中の
cutting edge:刃の先端・刃先・最先端
far too for:~にはあまりに~過ぎる
例文far too complex for:~にとって複雑過ぎる
Good to hear:良い知らせだ・朗報だ・良かった・聞いてホッとする
task:任務・課題・仕事・役割
pick up:持ち上げる・拾い上げる・手に取る・獲得する
perform:する・行う・演じる・演奏する・果たす・実行する
without thinking:考えずに・無意識に・漠然と
Whereas:~であるのに対して・~である一方で・~だがところが
try:試みる・やってみる・企てる・努める・挑戦する
program:プログラムを作成する・書く
advanced:進歩した・前進した・進行した・高度な・上級の・先端的な
grand master:グランドマスターは、国際チェス連盟 (FIDE) により付与されるチェスのタイトル(称号)で、「世界チャンピオン」を別にすれば、チェス選手の最高位のタイトルである。(wikipediaより)
chess piece:チェスの駒
remind:思い出させる・気付かせる・連想させる・再認識させる
You see:ほら・あのね・ご存じでしょう
play against:対戦する・~を相手にする
chess match:チェスの試合(1回目(1996年2月)はカスパロフが3勝1敗2引き分けで勝利、2回目(1997年5月)には使命を果たす形で6戦中2勝1敗3引き分けでディープ・ブルーが勝利した)(つまり一対戦は6局ということかな)
Philadelphia:フィラデルフィア(英語: Philadelphia)は、アメリカ合衆国ペンシルベニア州南東部にある都市。(wikipediaより)
defeat:<名詞>敗北・負け・失敗・打破
reigning:トップに君臨している・現在の・在任中の
例文reigning world champion:現世界チャンピオン
reign:支配する・君臨する・主権を握る
tournament:トーナメント・競技会・大会(公式戦と訳していいのか不明)
condition:状態・状況・様子・事情・条件
go through:通り抜ける・体験する・順に検討する・話し合う・調べる・使い果たす・完了する
例文go through a file:ファイルに目を通す
First up:まず最初
poetry:詩
recite:暗唱する・復唱する・朗読する・語る
hundreds of times:何百回も
algorithmic:アルゴリズムの・アルゴリズムによる
certain limitations:(訳に自信なし。確実な、とかかもしれない)
certain:必ず起きる・避けられない・確かな・明白な・疑う余地がない・わずかの・若干の・ある・例の
例文can't help placing a certain limitation on the fuel consumption:燃料の消費量にある程度の制限を加えざるを得ない
例文a lady of a certain age:かなりの年輩のご婦人
例文certain evidence:確実な証拠
minute long:~分間の
present:贈る・伝える・提示する・紹介する・放送する・上演する
sweet:甘い・優しい・親切な・楽しい・心地良い・魅惑的な・すてきな・素晴らしい・最愛の
hardly:ほとんど~ない・とても~ない・めったに~ない
take action:行動を起こす・対処する・取り組む・措置を講じる・腰を上げる.
that’s all:それがすべてだ・ それで終わりだ・以上です・それが最後です・ただそれだけさ
check out:よく調べる・~を調査する
p05cmhsf
世界最高のエンジニアを揃えているgoogleがくだらないサイトのSEOに負けている事こそ、現代のlimitation。