AS IT IS
Old Nuclear Bunker Has One of the Largest Film, TV Collections
October 29, 2017


20世紀の間、合衆国は数多くの掩蔽豪を建設した。地下の避難所によって、核戦争やその他の危機の間、国民を救えるからだ。

今、合衆国政府はそうしたシェルターの一つを、もっと幸せな目的のために使用している。映画やテレビ番組、録音物を後世の人々のために保管するのだ。

バージニア州カルペパーのシェルター

シェルターはかつてアメリカの中央銀行である連邦準備銀行の管理下にあり、危機に備えて現金やその他の物を貯蔵していた。

10年ほど前に議会図書館が、ワシントンD.C.からおよそ120キロの場所にあるこの地下空間の利用を開始した。建築家が新たな部屋や建造物を設計し、作業員によって既存の構築物に付け加えられた。

このシェルターは現在では、議会図書館のパッカード・キャンパスとして知られている。

パッカード・キャンパスの敷地は約3万8,000平方メートルに及び、多くの記録物を保管するために140キロメートル以上の棚がある。そこにはまた35の空調管理された区画と、可燃性フィルムのための独立した124の保管室がある。

収集物は今では600万点を超える映画、テレビ番組、音声番組になっている。そうした映画の中には、例えば「大列車強盗」のように100年以上前のものもある。

次世代のためのフィルム保存

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ジョージ・ウィルマンは議会図書館に勤務して30年以上になる。ウィルマンによれば、彼はこの10年間を、地下のフィルム保管庫での仕事に費やしてきた。

「私が一番大好きなものは、昔からずっと初期の映画でした。無声映画です。ここで、私は世界で最大の初期映画コレクションの一つで働いてきました。そんな私はこんな人間なのです。『ああ、多分これは単なる偶然じゃない。ここが私がいるべき場所なのかもしれない』」

フィルムがパッカード・キャンパスに到着すると、係員が記録物を点検し、デジタル版を作成する。

一部の映画は高温や湿気、蒸し暑い空気にさらされてきたため傷んでいる。

ウィルマンは収集された映画のリストを毎日、付け加えていく。彼はこう指摘している。センターは、政府が残しておくとは人々が期待しないようなフィルムさえも所有していると。

ハリウッドは今もなお、世界の映画産業の中心地であり、アメリカ文化の象徴だ。その保護は議会図書館にとって重要な職務といえる。

ジョン・ラッセルでした。

[ノート]
Old Nuclear Bunker Has One of the Largest Film, TV Collections:古い核掩蔽豪は映画・テレビの最大のコレクションの一つに(タイトル訳は改変)

during:~の間・~の間中・~にわたって
bunker:貯蔵庫・掩蔽豪
shelter:避難所・保護施設・すみか・シェルター
crisis:危機・難局
people:人々・民衆・国民・臣下
purpose:目的・目標・理由・意義
store:蓄える・保管する・保存する・記憶する
future generation:次世代・未来の世代・将来世代・後世の人々
Culpepper:カルペパー(英: Culpeper)は、アメリカ合衆国バージニア州の町である。2010年の国勢調査で人口は16,379人となっている。カルペパー郡の郡庁所在地である。(wikipediaより)
Virginia:バージニア州(英: Commonwealth of Virginia)は、アメリカ合衆国東部、大西洋岸の南部に位置する州(コモンウェルス)である。2010年国勢調査による人口は8,001,024人だった。イギリスと独立戦争をした13州のうちの一つである。南北戦争では南部連邦側に属し、激戦地となった。(wikipediaより)
once:一度・あるとき・かつて
under the control of:~の支配を受けて・~の管理下にある
the Federal Reserve:連邦準備制度(英語: Federal Reserve System, FRS)は、アメリカ合衆国の中央銀行制度である。ワシントンD.C.にある連邦準備制度理事会(Federal Reserve Board, FRB)が全国の主要都市に散在する連邦準備銀行(Federal Reserve Bank, FRB)を統括する。(wikipediaより)
money:金銭・通貨・財産
material:物質・原料・材料・生地・資料・器具
in the case of:~な場合は(the、はいらないんじゃないかな)
参考in case of:~の場合に備えて
the Library of Congress:アメリカ議会図書館は、アメリカ合衆国の国立図書館。蔵書数、予算額、職員数全ての点で世界最大規模の図書館である。略称はLC。所蔵品の点数は数千万冊の書籍や各種資料など一億点を超える。合衆国連邦政府の立法府(アメリカ合衆国議会)に属する機関であり、1800年に首都ワシントンD.C.に設立された。図書館の財源は議会から支給され、個人からの寄付や贈与も受け付ける。(wikipediaより)
Washington, D.C.:ワシントンD.C.(ワシントン・ディーシー、英: Washington, D.C.)は、アメリカ合衆国の首都である。同国東海岸、メリーランド州とヴァージニア州に挟まれたポトマック川河畔に位置する。(wikipediaより)
Architect:建築家・建築士・設計者・立案者
design:考案する・計画する・設計する・図案を描く・意図する
building:ビル・建物・建造物
existing:現存する・現在の・既存の・従来の
structure:構造・体制・組織・建造物・構築物
currently:現在は・現在のところ・今や・目下
Packard:デビッド・パッカード(David Packard, 1912年9月7日 - 1996年3月26日)は、ヒューレット・パッカードの共同創業者。1980年代前半から死去するまで、パッカードは妻ルシル・サルター(1987年没)とともに数多くの慈善活動に積極的に関わった。
Campus:キャンパス・構内・校庭
cover:覆う・広がる・占める・及ぶ
area:地域・地帯・地区・場所・領域・区域・敷地
shelving:(ここでは)棚
recording:録音・記録
climate controlled:温度や湿度が調整された・空調された
individual:個人の・個別の・個々の・単一の・独自の・独特の・独立した
storage room:貯蔵室
flammable:燃えやすい・可燃性の・引火性の
collection:収集・回収・収集物・堆積・コレクション
program:予定・日程・課程・番組・演目一覧
The Great Train Robbery:『大列車強盗』(だいれっしゃごうとう、The Great Train Robbery)は1903年にアメリカで製作・公開されたサイレント映画である。トーマス・アルバ・エジソン率いるエジソン社が製作した作品で、監督・製作・撮影はエドウィン・S・ポーターが務めた。世界初の西部劇映画と呼ばれ、アメリカ映画では初めてといえる本格的なプロットを持った作品である。一部に着色が施されたバージョンも存在する。(wikipediaより)
Robbery:強盗・強盗罪
Preserve:保存する・保護する・失わないようにする・守る・維持する
George Wileman:(資料みつからず)
spend:費やす・金を使う・過ごす
archive:公文書保管所・保存記録・保管庫・アーカイブ
love:(ここでは)好きなもの・愛着があるもの
例文Music is one of my great loves. : 音楽は、私が大好きなものの一つです。
always:いつも・常に・変わらず・昔から
early:早い・昔の・初期の・草創期の
silent film:無声映画
work with:~と共に働く・協力する・~に勤務する
I was like:(訳に自信なし)
like:似た人・同類・~のような人・~に匹敵する人
例文Like attracts like. : 類は友を呼ぶ。
maybe:たぶん・もしかすると・かもしれない
accident災難・事故・偶然・運
be supposed to:~することになっている・~するはずである・~しなければならない・本来~するはずだ・~すると予想される
employee:従業員・会社員
examine:観察する・調べる・検査する・診察する・試験する
version:型・版・バージョン・翻訳
damaged:損傷した・傷んだ・壊れた
in contact with:接触して・連絡を取って
heat:熱・温度・高温・暑いこと
moist:湿った・濡れた
sticky:粘り気のある・粘着性の・不快な・困難な・厄介な・高温多湿の・蒸し暑い
note:書き留める・気づく・留意する・言及する・指摘する
expect:予期する・期待する・要求する
save:助ける・取っておく・残す・貯金する・保存する
remain:依然~のままである・相変わらず~だ・とどまる・残る
sign:(ここでは)象徴・シンボル
protection:保護すること・防護・防御・対策

デジタル化したうえで、物理資料も保存するんですね。予算とスペースがよくあるものだと感心します。「films you would not expect the government to save」とはどんなものなのでしょう。企業CMとか、あるはポルノなんかも保管しているのかな?
さて、カルペパーの施設については、国会図書館が運営する「Current Awareness Portal」というサイトに詳しい紹介があります。「CA1711 - 米国議会図書館における録音・映像資料の保存と活用の状況 / 川野由貴 2010年3月20日」からチョコチョコ引用してみます。
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1. はじめに
 米国議会図書館(Library of Congress;以下、LCとする)の映画放送録音物部(Motion Picture, Broadcasting, and Recorded Sound Division;以下、MBRSとする)は、100万点を超える映像資料(映画フィルム、テレビ番組等)と300万点近くの録音資料(音楽CD・レコード、ラジオ番組、歴史的音声等)を所蔵する、世界有数の規模を誇る録音・映像アーカイブである(1)。所蔵するコレクションには、あらゆる記録メディアが含まれており、古いものでは、エジソンが発明した円筒型レコードや、1950年代頃まで使われていたナイトレートフィルムといわれる強い可燃性をもつ映画フィルム等が保存されている。

2. 保存状況と保存設備について
 MBRSでは主に、納本制度による納入、寄贈、購入の方法で資料を収集している。録音資料については、納本制度が整備されたのが1972年と比較的遅く、それまでは主に寄贈により資料を収集しており、それが現在のコレクションの基礎となっている。収集された資料は、これまでLC内部と米国内数か所の倉庫で管理されていたが、2007年、ワシントンD.C.から約100キロメートル離れたバージニア州カルペパーに国立視聴覚資料保存センター(National Audio Visual Conservation Center;以下、NAVCCとする)が開館し、LCが所蔵する視聴覚資料が全て集められ、収集・整理から保存、デジタル化までが一貫して行われるようになった。
 NAVCCは丘陵地を利用して建てられており、丘の斜面に横穴を掘って書庫が作られている。建物は3階建てで、総面積は約41.5万平方フィート(約38,500平方メートル)、書庫スペースは棚の長さにして約90マイル(約145キロメートル)にも及ぶ。その他、124のナイトレートフィルム専用保管庫なども備えられている。
(中略)
書庫内には、各媒体の大きさに合ったキャビネットや収納棚が空間に無駄なく設置されており、温湿度も各媒体に最適な設定が維持されている。録音資料は一律、華氏50度(摂氏10度)・湿度35%、映像資料は媒体に応じて華氏25度(摂氏-3.9度)から華氏50度まで4段階の環境(湿度は30%から35%)が整えられている。地中のため、温度・湿度を調節しやすいとのことである。

3. 利用方法と活用状況について
 録音・映像資料はすべてNAVCCに保存されることになったが、利用者はこれまで通りワシントンD.C.中心部(キャピトルヒル)にあるLCの閲覧室でサービスを受けることができる。
(中略)
録音資料の場合、利用申込みがあるとNAVCCで再生専用のデジタルファイル(保存用デジタルファイルとは異なる)が作成され、閲覧室に送信される。利用者はその音源を備え付けのPCで利用する。ジャケットや歌詞カードの閲覧を希望すれば、それらの画像もデジタル化して提供される。
(中略)
映像資料の場合、録音資料とは異なりファイル容量が大きくなるため、オンデマンドによるデジタル化には対応していない。そのため、デジタル化済みでない資料については、コピー資料があるものに限り、週に一度NAVCCから運搬して閲覧に供している(オリジナル資料しかないものは利用不可)。いずれの場合も、利用は研究目的に限られ、資料の準備に時間を要するため閲覧には予約が必要とされる。また、著作権者の許諾を得られれば、複製サービスを受けることができる。
立派ですね。
同じサイトから
米国議会図書館(LC)とシカゴ歴史博物館(Chicago History Museum)が共同で、1950年代前半から1999年までのラジオ番組のコレクション“Studs Terkel Collection”をデジタル化して保存すると発表しています。ターケル(Studs Terkel)氏のインタビューや番組などを収録した7,000点のテープ形式の録音資料をデジタル化するとのことで、作業は視聴覚資料保存を担う「パッカード・キャンパス」(Packard Campus)で行われるようです。
米国議会図書館(LC)が所蔵する1950年代から70年代にかけてのテレビ番組のデータについて、その保存活動を紹介する記事がワシントンポストに掲載されています。
この年代のデータは、アンペックス社が開発し当時業界に普及していた2インチVTRに収められていますが、LCのパッカードキャンパス(Packard Campus)の国立視聴覚資料保存センターで行っている保存やデジタル化等の取組みが紹介されています。
この膨大な予算がどこから出るのか? ノートでもちょっと触れましたが、「パッカード・キャンパス」という名称は、パッカード財団が金を出していることに由来します。パッカード財団とは、ヒューレット・パッカードの共同創業者デビッド・パッカードが作った慈善団体です。その点にてついて、またも同じサイトの2004年のエントリーから「E277 - 建設が進むLCの国立音声映像保存センター 2004.12.15」
米国議会図書館の映画放送録音物部(Motion Picture, Broadcasting and Recorded Sound Division: MBRS;注)は,音声・映像資料の新しい保存センターである国立音声映像保存センター(National Audio-Visual Conservation Center: NAVCC)の建設をヴァージニア州カルペパーで進めている。デイヴィッド&ルシール・パッカード財団の資金援助のもと,およそ1億7千万ドル(約180億円)をかけて建設されているこのセンターは,丘陵の斜面に建物全体が収まる構造となっており,4万平方メートル近い収蔵スペースのほか,可燃性フィルム(ナイトレート・フィルム)のための122の専用保管庫や保存修復ラボが設けられる。
アメリカの金持ちは桁が違うね。