AS IT IS
Bees Protect Crops from Wild Elephants in India
January 31, 2018

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インド南西部の村、マイヤラタムパーラの人々は夜、眠ることが出来なかった。

それは、生息地を失った野生の象が食料を求めて村に侵入し、作物や農地を荒らすためだ。

村人たちは、電気を流した柵や深い穴、動物が近寄らないと考えられている植物などで野生の象を入らせまいとした。太鼓を打ち鳴らすことさえ試してみたが、どれも効果はなかった!

繰り返される農作物への被害のせいで、一部の村民は農業を止めてしまった。しかし昨年、事態は好転した。

なぜなら、住人達はついに象を遠ざけておく物を発見したのだ。ミツバチだ。

象は、騒々しくブンブン飛ぶ蜂やその針を恐れることが判明したのだ。

今ではハチの巣箱につながった鉄条網が、村の境界に沿って張られている。2.5キロメートルある鉄条網を象が通り過ぎようとすると、怒った蜂の大群が出てきて象はたちまち逃げ出すと村の人たちは話す。

ミツバチに守られて、農民たちは農作物の栽培を再開した。中には蜂蜜の採取を始めた者もいる。

アイデアの発祥はアフリカ

V.S.ロイは連邦政府の農業技術管理庁(ATMA)に勤務している。

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彼によれば、フェンスというアイデアは元々、オックスフォード大学の研究者ルーシー・キングの研究から来ている。2008年にキングは、ミツバチがある場所から象を遠ざけるかという試験にケニアで成功している。タンザニアの研究者も同様の成功を収めている。

ロイは考えた。「アフリカの森で(効果が)あったのなら、ケーララ州の森で出来ないことなどあるだろうか?」 そこで彼はマイヤラタムパーラの農民組合と協力して実験を開始した。

フェンスには約8,000ドルの費用が掛かり、資金はATMAが提供した。

ジョニー・コーチャリーは9ヘクタールの農地を村内に持っている。彼によれば、柵と養蜂箱の設置は容易ではなかった。農民は、柵と巣箱の最も効果的な配置を見つけ出さねばならなかった。人々はまた、病気になった群れをどうやって入れ替えるかや、ハチをどう世話し、体制を維持する費用にどう対処するかを学ぶ必要があった。

コーチャリーによれば、昨シーズンは農民は利益を上げられなかった。しかし今年は大きな収穫を得ることを期待している。

この実験結果は、他の地域の農家が同様のプロジェクトに挑戦することを促した。政府はまた、森林伐採を減らしたり象の自然な生息環境を改善することで人と象の衝突を解消しようと尽力している。

E.A ジェイソンはケーララ州森林研究所所属の科学者だ。彼は、柵の設置は象を近づけないでいるようだと述べている。しかし、今は解決すべき新たな問題が生じている。

「ミツバチの巣箱盗難の発生に遭っているのです」とジェイソンは述べている。

マリオ・リッターでした。

[ノート]
Bees Protect Crops from Wild Elephants in India:インドでミツバチが野生の象から作物を守る(タイトル訳は改変)

Mayilattumpara:(資料見つからず)
habitat:生息地・生息場所・生息環境
loss:喪失・紛失・減少・目減り
enter:入る・立ち入る
例文enter a restricted area:立入禁止区域に侵入する
look for:探す
destroy:損なう・ダメにする・破壊する・壊す
crop:作物・農作物・収穫高
farmland:農地・耕地
villager:村人・村民
try to:~しようとする
keep out:入らないでいる・入らせない・締め出す・排除する
fence:フェンス・柵・囲い
hole:穴・落とし穴
plant:植物・草・花
keep away:離れた状態にしておく・近寄らない・近づけない・避ける・遠ざける
try:努める・試みる・やってみる
beat a drum:太鼓をたたく・太鼓を鳴らす
work:(ここでは)効く・役に立つ・うまくいく
repeated:度重なる・繰り返される・たびたびの
destruction:破壊・破壊された状態
lead:案内する・先導する・導く・仕向ける・~させる
例文lead a person to ruin:人を破滅に追いやる
situation:状況・情勢・事態
turn around:回転する・方向転換する・反転する・好転する・良くなる
resident:居住者・入居者
finally:最後に・やっと・ついに・ようやく・とうとう・最終的に
honey bee:ミツバチ
turn out:結局~であることが分かる・結果的に~になる・~という結果になる・~だと判明する・~になる
be afraid of:~を恐れる・怖がる
loudly:大声で・声高に・騒々しく・派手な
buzzing bees:ブンブンいう蜂
buzz:ブンブンうなる・振動音をたてる
bee:花蜂・ハチ
sting:針・とげ・刺すこと
wire fence:鉄条網・金網
holding beehives:(訳に自信なし)
hold:手に持つ・握る・支える・縛り付ける・維持する・保持する・拘束する
beehive:養蜂箱・ミツバチの巣箱
stretch:伸ばす・広がる・張る・引き延ばす
例文stretch a rope:縄を張る
along:沿って
border:へり・縁・境界・国境
pass:通る・通り過ぎる・通過する
swarm:群れで動く・群がる・大群になる・あふれる・一杯になる
quickly:すぐに・早く・急いで・慌てて・たちまち
flee:逃げる・逃れる・避難する
Protect:保護する・守る
return to:帰る・戻る・復帰する
grow:育てる・栽培する
cultivate:耕す・育てる・栽培する・養成する・世話する・養う・奨励する
honey:蜂蜜
V.S. Roy:(資料見つからず)
work for:~に勤めている
federal government:連邦政府
Agency:代理店・取次・仲介・機関・局
Agriculture Technology Management Agency (ATMA):(機関名称の訳は適当。サイトが複数見つかる。州ごとにあるのかな?)
come from:由来する・伝来する・~に源を発する・~の出身である・~の原産である
work:労働・仕事・作業・研究・業績・功績・作品
Oxford university:オックスフォード大学(University of Oxford)は、イギリスの大学都市、オックスフォードに所在する総合大学である。11世紀の末に大学の礎が築かれていることから、現存する大学としては世界で3番目に古く、英語圏では世界最古の大学である。また、ハーバード大学、ケンブリッジ大学等と並び、各種の世界大学ランキングで常にトップレベルの優秀な大学として評価される世界有数の名門大学である。(wikipediaより)
Lucy King:Lucy King was brought up in Somalia, Lesotho and Kenya. This multi-cultural background sparked an interest in travelling, and after finishing high school she took a gap year travelling in Kenya, India and Nepal. In 1999 she received her BSc in Zoology from Bristol university. She completed her DPhil degree in the Animal Behaviour Research Group at Oxford University in 2010, (Oxford Tracking Groupのサイトより)
lucyking
successfully:成功裏に・うまく
whether:~かどうか
area:地区・地帯・地方・場所・領域
Kenya:ケニア共和国、通称ケニアは、東アフリカに位置する共和制国家で、イギリス連邦加盟国である。(wikipediaより)
Tanzania:タンザニア連合共和国、通称タンザニアは、東アフリカに位置する共和制国家で、イギリス連邦加盟国である。(wikipediaより)
wonder:知りたいと思う・疑問に思う・~かどうかと思う
Kerala:ケーララ州は、インドの州の一つであり、南インドを構成する州の一つに数えられる。(wikipediaより)
work with:共に働く・協力する・連携する
farmer’s association:農民組合
farmer:農民・農場経営者
association:組合・協会・団体・連合
experiment:実験・試験
with funding from:~から資金提供を受けて
Johny Kochery:(資料見つからず)
hectare:ヘクタール
set up:組み立てる・据え付ける・配置する・構成する・設ける・建設する
effective:効果がある・効果的な・印象的な
hive:ミツバチの巣・巣箱
system:系統・体系・制度・秩序・配置・状況・系
replace:取り換える・交換する・元に戻す・後を継ぐ・取って代わる
diseased :病気の・病的な・異常な
colony:植民地・居留地・共同体・コロニー
例文bee colony:蜂群
care for:(ここでは)世話をする・面倒を見る
deal with:取り組む・対処する・処理する・処置する・対応する
keep up:維持する・保持する・持続させる
make a profit:利益を得る・儲けを出す
hope to:~したいと望む・願う・~したいと考える
harvest:収穫・収穫高
encourage:勇気づける・希望を与える・励ます・働き掛ける・勧める・促す
similar:類似の・同様の
project:計画・プロジェクト
work to:取り組む・努力する・尽力する・力を尽くす
resolve:(ここでは)解決する・解消する・決着させる
conflict:対立・不一致・衝突・争い・紛争・戦争
reduce:少なくする・減らす・弱める・下げる
deforestation:森林破壊・森林伐採
improve:良くする・改良する・改善する・向上させる・高める・伸ばす
natural habitat:自然な生息地・自然な生息環境
E.A Jayson:Dr. E.A. Jayson, Scientist F, has more than three decades of research experience in widllife research epecially on conservation of avian fauna, bird communities and human wildlife conflict. (こちらのサイトから)
Research Institute:研究所・研究機関
Institute:協会・機関・学会・研究機関・研究所
fence:<動詞>柵で囲う・囲いをする
solve:解く・解決する
meet with:会う・遭う・得る・受ける
例文meet with a misfortune:災難に遭う
incidence:発生・降りるかかること・出現・発生率
theft:窃盗・盗難・盗用

オチまで含めて興味深い話です。さすがに日本語での記事はないだろうと思っていたのですが、検索したら2014年の記事が出てきました。ITmediaビジネスオンラインというサイトから「蜂箱フェンスでゾウ被害を防ぐ――エコフェンスプロジェクトに学ぶビジネス 2014年10月24日」 インドの話ではなく、インドが参考にしたというアフリカでの取り組みの話です。
l_ks_project

この方法はアフリカゾウの獣害を防ぐだけでなく、採取したハチミツで現地住民が収入を得るということを出発点としてビジネスモデルを構築し、永続的に収益の維持と拡張を可能とする仕組みになっています。まさに三方良しというか、「ビジネス」が関わる人全員を幸せにする理想的なモデルです。
という図式だそうです。ふむふむ。
これは象が蜂を怖がる習性を利用しているようなので、象以外の動物では効かないのでしょうか? 日本ではイノシシとかシカとかによる食害がよく報じられてますけど…。
農水省の資料を引用すると、
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農作物の被害が176億円。主な加害動物はシカが60億円、イノシシが51億円、サルが11億円。あと、データを見ると3位はカラスで17億円となっています。