SCIENCE & TECHNOLOGY
Study: Neanderthals Were Artists
February 28, 2018

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世界最古の洞窟美術のいくつかは、現生人類によって作られたにしては古すぎると研究者が述べている。

研究は、現代のスペインで発見された洞窟画の創作はネアンデルタール人によるものだと示している。彼らはまた、装飾品として使うため貝殻に色を塗ったり穴を開けていたと考えられる。

この研究についての論文が学術誌の「サイエンス」と「サイエンス・アドバンシス」に掲載された。

ネアンデルタール人はホモ・サピエンスと近縁関係にある。ホモ・サピエンスとは現在の人類の学名だ。ネアンデルタール人は約4万年前に姿を消すまでヨーロッパとアジアで暮らしていた。ちょうどその頃、科学者の考えでは、ホモ・サピエンスはアフリカからヨーロッパに到着した。

新たな証拠、古い学説

研究者によれば新たな研究は、芸術品が現生人類が欧州にやって来るおよそ2万年前に作られたことを証明している。

この発見は、ネアンデルタール人の専門家ウィル・ルーブラークスにとって驚きだった。彼は、「…人類進化の研究という分野における重大な飛躍的進歩」に相当すると述べている。

今や、と彼は言う。ネアンデルタール人が「洞窟美術のいくつかの所有者であることは確かだ」

ルーブラークスはオランダ、ライデン大学の教授で、いずれの研究にも参加はしていない。

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証拠の収集

これまでほとんどの科学者は、全ての洞窟壁画は人類の手によるものだと考えていた。

一つ目の研究では、スペインの北部、南部および中西部にある3つの洞窟の美術品を研究者が調査した。彼らは3か所の絵の年代を測定しようとした。

最新技術により、科学者が各壁画の年代を決定するのは容易になった。彼らは年代を測定するのに「ウラン-トリウム法」という手法を用いた。

科学者は美術作品の表面を形成している岩石物質の小片を削り取り、それを研究室で調べた。そして、洞窟美術は6万4,000年前にまで遡ることが判明した。

ドイツ、マックス・プランク研究所のダーク・ホフマンは、美術作品は単純だが、それが意味するものは重要だと話している。彼によれば、ある作品は線の集まりで梯子に似ている。また別の物は岩石層上にあって赤色の印や丸い形の何かを含んでいる。もう一つの絵は手の形をしている。

手の姿を描くには多くの手順を伴うと、ホフマンや他の研究者らは指摘する。そのため、これは時間をかけよく考えられた創作物だと彼らは結論付ける至った。

二つ目の研究では、スペイン南東部の別の洞窟にあった、彩色され加工された貝殻の年代を特定しようとした。研究者は、貝殻が見つかった場所より上側を形成している岩石を調べた。彼らの研究により、貝殻はおよそ11万5,000年前の物だと判明した。これは、ホモ・サピエンスとつながりがある類似する遺物より、2万年から4万年ほど古い。そうした物品はアフリカや西アジアで発見されている。

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研究者によれば今回の発見が示しているのは、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスは同程度の思考力を持っていたことだ。彼らは、これは2種の人類が知能においてあまり差がないことを示唆していると述べている。

「疑う余地なく、これが表しているのは、ネアンデルタール人は現生人類とまったく同じように考え、行動していたことです」と語るのはサウサンプトン大学のアリステア・パイク教授だ。「我々はもう、彼らを異なる種だと考えるべきではありません。ただ違う場所にいた人類なのです」と彼は言い加えた。

パイクは研究についての論文作成に協力している。

専門家の中にはまだこの発見に納得していない人もいる。ハロルド・ディブルはペンシルベニア大学の考古学者でネアンデルタール人の行動を研究している。彼は、貝殻の着色や穴は自然に生じた可能性があるのではないかと考えている。彼はまた、洞窟の美術品の年代測定が別の研究機関によって確認されるのを見守りたいとも話している。

フィル・ダーキンでした。

[ノート]
Study: Neanderthals Were Artists:研究:ネアンデルタール人は芸術家だった。(タイトル訳は改変)

cave:洞窟・洞穴
modern human:現代人・現生人類
Study:勉強・研究・研究論文・調査報告書
suggest:提案する・勧める・持ちかける・意味する・示唆する・示す
Neanderthal:ネアンデルタール人は、約40万年前に出現し、2万数千年前に絶滅したヒト属の一種である。とされていたが、以前の学説よりも約1万年早く4万年前に絶滅していたと新しい化石年代は示している。発見された頃、Homo neanderthalensisと名付けられ、ホモ・サピエンスと異なる種とされたものであるが、現在はネアンデルタール人をホモ・サピエンスの一亜種であるホモ・サピエンス・ネアンデルターレンシス (Homo sapiens neanderthalensis) と分類する見方が一般的である。かつて、ネアンデルタール人をホモ・サピエンスの祖先とする説があった。しかし、遺骨(化石)から得られたミトコンドリアDNAの解析結果に基づき、現在ではネアンデルタール人は我々の直系先祖ではなく別系統の人類であるとする見方が有力である。しかし、2010年5月7日のサイエンスに、われわれホモ・サピエンスのゲノムにネアンデルタール人の遺伝子が数%混入しているとの説が発表された。(wikipediaより)
be responsible for:~への責任がある・~の原因である・~に関与している・担当している・~の貢献者である
例文John is responsible for the victory.:その勝利はジョンのおかげだ
create:創造する・作り出す・開発する・生み出す
drawing:描画・図面・製図
modern-day:現代の・今日の
Spain:スペインは、ヨーロッパ南部のイベリア半島に位置し、同半島の大部分を占める立憲君主制国家。首都はマドリード。(wikipediaより)
appear to:~のように見える・~に思われる・~のようだ
paint:絵を描く・塗る・化粧する
cut a hole:穴を開ける
seashell:貝殻
jewelry:宝石・宝飾品・装飾品
Report:報告・説明・報道・報告書
publish:出版する・発行する・公表する・発表する・掲載する
journal:日誌・議事録・定期刊行物
Science:『サイエンス』(英語: Science)は、1880年に創刊され、現在アメリカ科学振興協会 (AAAS)によって発行されている学術雑誌である。(wikipediaより)
Science Advances:Science AdvancesはScience姉妹誌に新たに加わった4番目のピアレビュージャーナルです。 本誌はオンライン版のみのゴールド・オープンアクセスジャーナルであり、生命科学、物理学、環境科学、数学、工学、情報科学、社会科学における、質の高い未発表の研究成果をいち早く掲載します。(サイエンス誌のサイトより)
Neanderthals were related to Homo sapiens:(訳に自信なし。血縁関係の話か、単に関りがあったという意味か?)
be related to:関連している・関係している・血縁関係がある
例文fish related to:~に近縁な魚
例文be related to a famous singer:大物歌手と親せきだ
Homo sapiens:ホモ・サピエンス(ラテン語: Homo sapiens、「賢い人間」の意)は、現生人類が属する種の学名である。ヒト属で現存する唯一の種で、ネアンデルタール人などすでに絶滅した多くの旧人類も含む。(wikipediaより)
scientific name:学名
human beings:人類・人間
disappear:消える・姿を消す・消失する・なくなる
Around that time:丁度そこの頃
arrive:到着する・着く・届く
evidence:証拠・証言・痕跡・形跡・兆候
例文evidence of an old civilization:古代文明の痕跡
theory:理論・理屈・見解・学説・説
provide:供給する・提供する・もたらす
例文provide evidence against:~に不利な証拠を提供する
例文provide archaeological evidence for:考古学的証明をもたらす・考古学的に証明される
artwork:挿絵・芸術作品・工芸品
finding:発見したもの・分かったこと・研究結果
surprise:驚き・意外なこと・驚くべきもの
Wil Roebroeks:Professor of Palaeolithic Archaeology / Wil Roebroeks is an expert in the field of the archaeology of early hominins, with a focus on Neanderthal studies. (ライデン大のサイトより)
represent:示す・表す・意味する・象徴する・~に相当する
major:大きい・重要な・一流の・大規模な・深刻な
breakthrough:突破・飛躍的進歩・大発見・躍進
in the field of:~の分野で
evolution:進化・進化論
ownership:所有・所有権・所有者
例文ownership duty:所有者義務
fact:事実・真相・現実・実際
例文it's a fact that:確かに~だ・~は事実だ
be part of:(ここでは)参加している
either:(否定文で)どちらも~ない
Leiden University:ライデン大学(オランダ語: Universiteit Leiden)はオランダのライデンに所在する公立大学である。現在のオランダ国内にある大学としては最も古い。八十年戦争におけるネーデルラント側の指導者ウィレム1世によって1575年に設立された。(wikipediaより)
Netherlands:オランダは、西ヨーロッパに位置する立憲君主制国家。ベルギー、ルクセンブルクと合わせてベネルクスと呼ばれる。憲法上の首都はアムステルダム(事実上の首都はデン・ハーグ)。(wikipediaより)
Collecting:収集・集金
Until now:今まで・これまで・これまでのところ
cave painting:洞窟壁画は、通例では有史以前の、洞窟や岩壁の壁面および天井部に描かれた絵の総称をいう。現存する人類最古の絵画である。(wikipediaより)
painting:絵・絵画
work:(ここでは)作品・仕業
例文work of an amateur:素人の仕業・アマチュアの手による仕事
examine:観察する・調べる・検査する・試験する
west-central:中西部
attempt to:~しようとする・~しようと努める・~しようと試みる・企てる
estimate:見積もる・推定する・評価する・判断する
例文estimate blood flow:血流量を測定する
age:年齢・高齢・時代・時期
Modern:現代の・今の・近代の・最新の
date:日付を入れる・時期を定める・年齢を示す
例文date lunar samples:月の試料の年代を決定する
process:一連の行為・過程・経過・推移・方法
例文process of forecasting:~を予測する方法
uranium-thorium method:ウラン-トリウム法(Uranium-thorium dating)は、年代測定の方法である。堆積物中の230Thは半減期7.5万年で減少していくので、230Thと232Thの比率を測定する事で堆積速度を見積もる事ができる。(wikipediaより)
method:方法・方式・手法
remove:取り除く・除去する・持ち去る・排除する・移転させる
例文remove excess fat:余分な脂肪を削る・落とす
rock material:岩石物質
form on:形成する・形作る・組織する
surface:表面・面
laboratory:実験室・研究室
date back to:~にまで遡る
Dirk Hoffmann:Post-Doctoral Researcher / Max Planck Institute for Evolutionary Anthropology / Department of Human Evolution(マックス・プランク研究所のサイトより)
Max Planck Institute:マックス・プランク研究所は、マックス・プランク学術振興協会(独: Max-Planck-Gesellschaft zur Forderung der Wissenschaften e. V.、略称:MPG(エムペーゲー))が運営する、ドイツを代表する学術研究機関の日本語における総称である。MPGが運営する各研究機関は、ドイツ語では「Max-Planck-Institut fur ○○」(○○は研究分野)のように名づけられており、日本語では「マックス・プランク○○研究所」と訳している。MPGが運営する研究機関は、2006年5月現在で78に上る。(wikipediaより)
simple:易しい・簡素な・質素な・単純な
collection:収集・回収・収集物・堆積・集まり
line:線・直線・線図
ladder:梯子・踏み台
include:含む・盛り込む・採り入れる
例文include diarrhea:下痢を伴う
mark:跡・印・点・線・記号・符号・特長
rounded:曲線的な・丸みを帯びた・丸い・円形の
object:物・物体・目標
例文unidentified object:正体不明の何か
rock formation:岩石層
formation:形成・構造・構成
in the shape of:~の形をした・~の形状の
image:画像・映像・像・印象
step:一歩・足取り・足跡・道筋・段階・手順
note:書き留める・気付く・留意する・言及する・指摘する
lead:案内する・先導する・連れて行く・率いる・仕向ける
例文lead to necessary conclusion:必然的な結論に至る・達する
decide:決める・決心する・解決する・裁定する・~だと結論を下す・推定する・思う
例文decide one has learned a big lesson:自分は大きな教訓を得たのだと結論付ける
slow:遅い・のろい・時間がかかる・多くの時間を要する
thoughtful:思慮深い・よく考えられた
creation:創造・創作・作品・創作物
identify:確認する・識別する・特定する・割り出す・見なす
color:色を付ける・着色する・彩色する
cut:切る・削除する
例文diamond cutting:ダイヤモンド加工
above:~の上に・~より上側に
investigation:調査・研究・探求・捜査
around:(ここでは)およそ・約
comparable:比較できる・同等な・相当する・類似の・同程度の
artifact:人工物・加工品・工芸品・遺物・出土品
例文excavated artifact:発掘された遺物・出土品
linked to:~と関連がある・~と関係する・つながりがある
share:共有する・共に負う・使わせる・分配する
例文share a similar perspective:同様の認識を持っている
similar:類似の・似た・同様の
thinking:思考・考え・判断
例文improvement in thinking:思考力の向上
the two species:(訳に自信なし。この species は種か人類か?)
species:種・種族・人類・人種
例文true evolution of the species:人類の真の進化
not all that:それほど~ない・あまり~ではない
例文not all that surprised:それほどの驚きではない
mental ability:知能
mental:心の・精神の・知能の
Undoubtedly:疑う余地なく・間違いなく・明らかに・確実に
behave:振る舞う・行動する・態度をとる
just like:まるで~のように・~と同様に・~同然で・~のとおりに・~と同じように
University of Southampton:サウサンプトン大学 は、イングランド南部の海沿いの街サウサンプトンに本部を置くイギリスの国立大学である。1862年に設立されたハートリー学会がその前身であり、イギリスの大規模研究型大学グループ、ラッセルグループに所属。(wikipediaより)
Alistair Pike:Professor, Director of Research(サウサンプトン大のサイトより)
help:助ける・手助けする・手伝う・支援する・救う・役立つ・一役買う・促進する
prepare:準備する・用意する・作成する・立案する
例文prepare a contract:契約書を作成する
have yet to:まだ~していない
persuade:説得する・説き伏せる・納得させる・口説く・信じ込ませる
Harold Dibble:Harold Lewis Dibble is an American Paleolithic archaeologist best known for his theory of lithic reduction and his methodological advancements in archaeological fieldwork in France, Egypt, and Morocco. He is currently Professor of Anthropology at the University of Pennsylvania and Curator-in-Charge of the European Section of the University of Pennsylvania Museum of Archaeology and Anthropology.(英語版wikipediaより)
archaeologist:考古学者
University of Pennsylvania:ペンシルベニア大学は、米国ペンシルベニア州フィラデルフィア市に本部を置くアメリカ合衆国の私立大学である。1755年に設置された。米国東海岸名門私立大学連合であるアイビー・リーグの1校である。(wikipediaより)
wonder if:~ではないかと思う
would like to:~したい
dating:(ここでは)年代決定・年代測定
confirm:確認する・裏付ける・承認する・追認する・確かにする
lab=laboratory
例文private laboratory:民間研究機関

これは日本でも多く報道された話題です。いくつか記事を紹介すると、NATIONAL GEOGRAPHIC日本版から「【解説】世界最古の洞窟壁画、なぜ衝撃的なのか? 2018.02.26」 VOAの記事が肝心の壁画を全然掲載していないので、まずそれを。
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2枚目はハシゴ部分のアップ、3枚目は壁画を書き写した絵。動物の絵は、同時に描かれたものなのか後から書き加えられたのか不明。4枚目は別の洞窟で見つかった手形。赤い顔料を吹き付けて手形を浮き上がらせています。
記事の一部を引用すると、
 2月22日に学術誌『サイエンス』と『サイエンス・アドバンシズ』に発表された2つの論文によると、スペインの3カ所の洞窟で見つかった10点以上の洞窟壁画は6万5000年以上前のもの、またスペイン南東部の洞窟クエバ・デ・ロス・アビオネスで見つかった貝殻ビーズと顔料は11万5000年以上前のものであるという。
(中略)
 DNA分析からは、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスの間で交雑が起きていたことも示された。今日のヨーロッパ人とアジア人のDNAの約2%はネアンデルタール人まで遡ることができる。
(中略)
 ほかの研究が話を複雑にしていた。フランスでは約4万3000年前にネアンデルタール人が宝飾品を作っていたことが明らかになった。スペインのある洞窟では、同じくらい古い時代の炭が洞窟壁画のすぐそばに残っていた。しかし、どの遺跡もホモ・サピエンスがヨーロッパにやって来た時期にかなり近く、ネアンデルタール人が彼らの真似をしたと考える余地が残っていた。
(中略)
 ネアンデルタール人が芸術家であったことを示すためには、5万年前よりもっと古い芸術作品をヨーロッパで見つける必要がある。2003年からその方法についてアイデアを出し合っていたパイク氏とシルホン氏は、鉱物の年代測定を専門とするドイツ、マックス・プランク進化人類学研究所のダーク・ホフマン氏に出会うという幸運に恵まれた。
 ホフマン氏の手法は、放射性元素のウランは水に溶けるがトリウムは水に溶けないという性質を利用している。洞窟内では、鉱物が溶け込んだ水が壁からしみ出し、鉱物が沈積して表面に層を形成してゆく。このとき、水に溶け込んでいたウランが鉱物中に閉じ込められ、放射性崩壊により一定のペースでトリウムに変化してゆく。トリウムがほかの方法で鉱物中に入る可能性はないため、壁画を覆う鉱物に含まれるウランとトリウムの比率を測定することでその年代を明らかにし、これにより壁画の年代を知ることができるのだ。
つまり、これまでにもネアンデルタール人による芸術と思われるものはいくつかあった。が、それらは時期的にホモ・サピエンスの「真似」かもしれないと思われていた。(もしくは同時期に同じ場所にいたホモ・サピエンスが描いたか。)新しい年代測定法によって、今回の研究成果が得られた、と。
先史時代を巡る新しい考え方と古い考え方がぶつかりあう。
考古学者たちは2012年に、スペインにある洞穴壁画の数々を描いたのは以前から考えられていた原人ではなく、ネアンデルタール人だったという結論を下しました。しかし、使われた年代測定法について文句を言われ、さらには象徴的な思考を理解する力を持っていたのは現生人類だけと激しく批判されてきました。そして今、最新の年代測定法を使うことで、壁画を描いたのはやはりネアンデルタール人たちである可能性が高いと科学者たちは示したのです。
(中略)
「私たちが直接、壁画を年代測定するようになったのは1990年代からで、それは元々有機物のみ、すなわち木炭画だけを測定できる放射性炭素年代測定を用いるのが常でした」と『The First Artists: In Search of the World’s Oldest Art』の著者であるPaul Bahn氏は取材に答えています。
(中略)
地質学者が何十年も使ってきたウラン-トリウム法と呼ばれる年代測定法を使って、考古学者たちが洞窟の壁画の年代を測ろうとしたのはこの数年のことで、そして「その結果はとてもワクワクするもの」なんだとか。
年代測定が学説対立の原因になってきたことが書かれています。そしてウラン-トリウム法は実は「地質学者が何十年も使ってきた」方法だったんですね。
スペインのラ・パシエガ洞窟、マルトラビエソ洞窟、アルダレス洞窟の3カ所で、壁面にネアンデルタール人の手形や幾何学模様、赤い丸などが描かれている。それぞれの洞窟は最大700キロ離れている。
(中略)
スペイン北部のラ・パシエガ洞窟では、はしごのような形の絵が見つかっている。研究チームは、少なくとも6万4800年前のものと年代を特定した。しかし、同じ洞窟内の他の絵は、最大8万年前のものもある。
(中略)
初期の壁画の年代特定は、顔料のついた首飾り用の穴の開いた貝を使う。調べた4標本のうち2つは約11万5000年前のもので、欧州に現生人類が現れるはるか前だ。
(中略)
フィンレイソン教授と研究チームは2014年、ジブラルタルのゴーハム洞窟で、ネアンデルタール人が刻んだかもしれない刻印を発見した。最新の調査結果とあわせて考えると、私たちの進化上の「いとこ」にあたるネアンデルタール人の知的能力を、人間は過小評価してきた可能性がある。
(中略)
サザンプトン大のパイク教授はBBCニュースに対して、「洞窟内の特に暗い部分に描かれた壁画もある。たまたま描いたというわけにはいかない。光源を持って通路を歩き回り、顔料を用意しなければ描けない」と話す。
(中略)
「(壁画に)どのような意味があるのか、私たちは永遠に分からないままだろう。けれども、有意義なものだ。それは喜んで断定できる」
(中略)
「『ネアンデルタール人は具象絵画を作ったのか?』が次の大きな疑問点だ。手形はある。赤い点はたくさんある。線も見つかった。けれども、たとえば自分たちが狩っていた動物の絵はあるのか。それが知りたい」と話した。
なるほど。