6 Minute English
Talking to machines
EPISODE 180607 / 07 JUN 2018



ますます多くの人が機械に話し掛けています。より具体的に言えば、バーチャルアシスタントやボットに。そうするのが簡単なのは、スマホやパソコン、更には自宅のスピーカーでそうしたものがよく手に入るからです。ロブとダンはこのことがテクノロジーとの関わり方や人々が使う言語の種類をどう変えつつあるのか議論します。

[台本]

ロブ:こんにちは、6 Minute Englishへようこそ。僕はロブ。

ダン:そして僕はダン。

ロブ:ねえダン、今、何時かな?

ダン:新しい時計を買う潮時とか?

ロブ:Now 僕は単に冗談や嫌味なコメントのために聞いた訳じゃない。now そうだろ?

ダン:ああ、違うだろう。でもほら、あそこに掛け時計がある。君は腕時計もしているし、スマホもパソコンも持ってる。どれにでも時刻は出ているのに、どうして僕に聞くんだい?

ロブ:ダン! 僕は今日の話題を切り出そうとしていたんだ。それは仮想アシスタントやボットに関するあれこれだ。どうやら君は台本を忘れたようだね。

ダン:ああそうだった、済まない。私たちは、人が話し掛け、それに返答ができるソフトウェアについて話しています。例えばアップルのシリ、グーグルアシスタント、アマゾンのアレクサ、それにマイクロソフトのコルタナなどです。それはあなたのスマホやパソコン、更には家のスピーカーにも搭載されているかもしれません。

ロブ:さて、この話題についてもっと話を聞く前に、ここで今日のクイズ質問です。会話を認識できる最初のコンピュータが起動したのはいつか分かりますか? それは…

a) 1951年
b) 1961年
c) 1971年

ダン:僕の台本が見つかったので正解を見てしまったんだけど、これは驚いたと言わざるを得ないな。

ロブ:誰にも言うなよ、ダン。では、聴取者の皆さんへの正解は番組の最後に言うことにしよう。これからトム・ヒューイットソンの話を聞きます。彼は会話デザイナーとして仮想アシスタントの分野で働いており、BBCラジオ4の番組「口コミ」で話をしています。彼が語っているのはバーチャルアシスタントの全体的な考えについて、そしてこれが人とテクノロジーの関わり方をどう変化させているかについてです。彼は従来のコンピュータとの関係をどう説明しているでしょうか?

トム・ヒューイットソン 会話デザイナー
これは人のコンピュータについての考え方を変えます。これまで、人はこれを道具だと考えることが多かった。計算機の進化版に過ぎず、人が一定の物事を片付けるために使う類いの物だと。それに対して今は、より主体者のようにやや変化しています。意思疎通における能動的な参加者であり、正しい決定をするよう人を導いているのです。

ロブ:では、彼はこれまでの人とコンピュータの関係をどう表現していただろう?

ダン:彼によれば今までは、ちなみにこれは「現時点まで」という意味の言葉ですが、人はこれを電卓が進化した奴、と考えてきました。

ロブ:そう、その通り。人はこれを、用事を済ませるための道具として使っています。しかし彼によれば、最新の技術で主体者へと変化しているのです。ジェームズ・ボンドのような秘密諜報員という意味ではありません! この場合の'agent'は、主体性を持つ何か、個別に行動し自身で決定することが出来る何かという意味です。

ダン:僕のスマホに主体性があって欲しいかよく分からないな。きっと、一日中僕のポケットの中にはいたくないだろう。

ロブ:誰がそんなこと望むかい、ダン? 僕らの機器がそこまで賢くなるとヒューイットソンが言っているのかは不明だけれど、彼が言っていたのは、僕らの生活でもっと活躍するだろうということ。

ダン:かもね。ああ、僕の想像では、例えばファストフードの店に長居し過ぎてたら注意してくれるとか?

ロブ:多分君の場合はね、ダン。僕なら、スポーツジムに長時間居過ぎだと言ってくれるだろう! ヒューイットソンは引き続き、私たちのバーチャルアシスタントとの話し方がどう進化するか説明しています。私たちは何をする必要がないと彼は言っているだろう?

トム・ヒューイットソン 会話デザイナー
人はその人特有の生得語を機械と話すために発展させるでしょう。それは他の人間との話し方とは微妙に異なるものです。なぜなら、あなたが正しく指摘するように、機械にあなたを好きになってもらう必要はありません。間をもたせるだけの適当な雑談をする類いの必要もありません。格段に素っ気のない、そして要を得た話し方でいいのです。

ダン:人とのやりとりの中で私たちが話していることの多くは、話している相手との関係性に関わっています。

ロブ:人が言っていることや話題にしていることは、要点に直接関係していないかもしれません。デジタルなバーチャルアシスタントが相手なら、そんなことする必要はありません。人は機械に自分を好きにさせる必要がないからです。

ダン:ヒューイットソンは、人は自身の生得語を発達させるだろうと話しています。生得語は母語を意味する一般語です。その生得語は日常の生得語とは少々違うものになるでしょう。それは先ほど言ったように、人工アシスタントとは社会的な関係を維持する必要がないからです。

ロブ:これが意味するのは、雑談の必要がないということ。'Chit-chat'とは、世間話の別表現です。それは会話の話題として重要ではないけれど日々の社会的コミュニケーションの一部であるもの。例えば天気の話をする、みたいな。

ダン:そしてバーチャルアシスタントとは友達になる必要がないので、無愛想で的を射るようになれます。これは両方ともとても単刀直入であまり礼儀正しくはないという意味。

ロブ:ではダン、ぶっきらぼうにする気はないけれど、今週のクイズ質問に答える時間です。先ほど僕が聞いたのは、会話を認識できる最初のコンピュータが稼働したのはいつでしょう。選択肢は、

a) 1951年
b) 1961年
c) 1971年

そして実のところ音声を識別できる最初のコンピュータが動いたのは1961年です。

ダン:そう。それはIBMのシューボックスと言う名の物で、16個の単語と数字の0から9までを認識できた。君が認識できる数とほぼ一緒だ!

ロブ:生意気な! この無駄話はもうたくさんだ。今日の語彙を要約しよう。

ダン:'chit-chat'も今日の語句の一つだった。その意味は「おしゃべり」。また、'to date'という言い方も取り上げた。それは「現在のところまで」という意味。

ロブ:それから取り上げたのが名詞の'agent'。それが指すのは主体性がある何か。それは考え、判断し、自主的に行動する能力のこと。

ダン:次の言葉は'vernacular'。言語の同義語で、とりわけ母国語について話している場合の言葉です。

ロブ:そして最後が'brusque'。意味は「あからさまで丁寧ではない」。そして'to the point'。これもまた「率直で余計な情報が付いていない」という意味。

ダン:やあロブ。

ロブ:ええ、何の御用ですか、ダン?

ダン:番組を終了しよう。

ロブ:分かったよ、ダン。では、今日我々からは以上です。いつもの場所をすべて、必ずチェックしておいてください。フェイスブックにツイッター、インスタグラム、それにユーチューブです。それにもちろん、我々のウェブサイト、bbclearningenglish.comもお忘れなく。じゃあまた!

ダン:さよなら!

[ノート]

specifically:特に・明確に・具体的には・厳密に言えば
virtual assistant:バーチャルアシスタントは、個人のタスクまたはサービスを実行できるソフトウェアエージェント。AIアシスタントと呼ばれることもある。(wikipediaより)
virtual:実質上の・仮想の・仮の
bot:Bot(ボット)は、robot(ロボット)の短縮形・略称。転じて、コンピュータやインターネットの分野においては、作業を自動化するプログラムの総称。(wikipediaより)・データ検索などで、人間の補助をするソフトウェア・エージェント(software agent)。(英辞郎より)
find:出会う・見つける・探し出す・気付く・理解する・辿り着く・得る・獲得する
interact with:相互作用する・関わり合う・交流する・やり取りする・対話する
technology:技術・科学技術・テクノロジー
type:種類・型・タイプ・様式・典型・見本

Time you got a new watch?:(訳に自信なし。時制がgotではこの訳はおかしいと思うが、文脈的にこういう趣旨な気がする。)
time:時・時間・時刻・ふさわしい時機・潮時
Now I didn’t … now did I?:(nowを重ねていることに何か意味があるのだと思うが、分からず、訳出来ず)
now ...now:時には…、またあるときは
sarcastic:皮肉な・辛辣な・嫌味な
comment:意見・コメント・論評・批評
clock:掛け時計・置時計
over there:そこに・向こうに・あそこに
watch:腕時計
introduce:紹介する・案内する・導入する・発表する・披露する・始める・導入となる
all about:~に関する全て・~が全てで・~次第で・要は~で
script:台本・脚本
talk to:話す・話し掛ける
talk back to:口答えする・言い返す
Apple’s Siri:Siri(シリ)は、iOSやmacOS Sierra向け秘書機能アプリケーションソフトウェア。自然言語処理を用いて、質問に答える、推薦、Webサービスの利用などを行う。「Siri」とは、Speech Interpretation and Recognition Interface(発話解析・認識インターフェース)の略。(wikipediaより)
Google’s Assistant:GoogleアシスタントはGoogleが開発したAIアシスタント。2016年5月の開発者会議で発表された。Google Nowと異なり、Googleアシスタントは双方向での会話が可能である。ユーザーは主に音声でGoogleアシスタントとやり取りを行うが、キーボード入力もできる。(wikipediaより)
Amazon’s Alexa:Alexa(アレクサ)はAmazonが開発したAIアシスタントである。Amazon Lab126が開発したAmazon EchoとEcho dotデバイスに初めて搭載された。(wikipediaより)
Microsoft’s Cortana:Cortana(コルタナ)はマイクロソフトによって開発されたAIアシスタントで、Windows 10(Pro EducationとEnterprise LTSBは除く)、Windows 10 Mobile、Windows Phone 8.1(後継はBing Mobile)、Microsoft Band、Xbox One、iOSおよびAndroid用が存在する。(wikipediaより)
recognise:識別する・見分ける・認識する・認める
speech:話・会話・演説・スピーチ・話し方
launch:打ち上げる・始める・開始する・売り出す・起動する
conversation:会話・話し合い
designer:設計者・デザイナー
in the field of:~の分野で
BBC Radio 4:ラジオ4 長波・中波・FM(92-95MHz / 103-105MHz)・デジタルで放送。聴取者数は1084万5000人。ニュース・ドラマ・ドキュメンタリー・ガーデニングなど総合的な編成が組まれている。(wikipediaより)
Word of Mouth:口コミ・口伝えで・口頭で
Word of Mouth:BBC Radio's Word of Mouth is a programme about English and the way it is spoken. It is broadcast regularly on BBC Radio 4 and is presented by Michael Rosen.(英語版wikipediaより)(番組名の訳は適当)
whole idea of:全体構想・全体の意図・考え全体・本来の趣旨
describe:言い表す・描写する・表現する・説明する
existing:既存の・現存する・現在の・従来の・現行の
relationship:関係・関係性・結び付き・関連・関わり
To date:今まで・これまで・過去の
largely:主に・大部分は・ほとんど・概して
tool:道具・工具・用具・手段
advanced:進んだ・進歩した・進化した・上級の・高度な
version:版・型
calculator:計算機・電卓
something you kind of use to:(kind ofは何故ここにあるのだろう? somethingの前でいいのでは?)
kind of:~な類の物・どちらかといえば・~のような物・ある種の・一種の・ある程度・多少・何だか~だ・やや~だ
get done:やってしまう・済ませる・やり終える・片付ける
specific:的確な・明確な・具体的な・特定の・一定の・特有の・固有の
whereas:~であるのに対し・~である一方で・~だがところが
change into:~に変わる・~に変化する
agent:代理人・代理店・スパイ・行為者・行為主体・主体者・動作主
active:積極的な・能動的な・活発な・活気のある・活動的な・盛んな・現役の
participant:参加者・関係者・当事者・仲間
interaction:相互作用・交流・意思の疎通
guide:導く・誘導する・案内する・指導する
make a decision:決定する・決心する
expression:言い回し・言い方・語句・表現
up until:~まで
at this point in time:現在のところ・現段階では・現時点では・今
modern:現代の・今の・最新の
turn into:変わる・変化する
secret agent:秘密諜報員
James Bond:ジェームズ・ボンド (英: James Bond) は、イギリスの作家イアン・フレミング(1908年 - 1964年)のスパイ小説、およびこれを原作とする映画の主人公である、イギリス秘密情報部 (MI6) の工作員である。(wikipediaより)
in a sense:ある意味で
agency:代理店・取次・仲介・代理人・代行・行為者性・行為主体性
have ability to:~する能力がある
act:行動する・振る舞う・作動する・役目を果たす・演じる
individually:個別に・個々に・単独で
make one's own decision:自分で選ぶ・自分で決断する・自分の意志で決める
It probably wouldn’t like being in my pocket all day.:(訳に自信なし。代理人が「入っていたくない」のか、僕が「入れておきたくない」なのか?)
be not sure:自信がない・確信が持てない・よく分からない・不明である
would like to:~したい
probably:おそらく・きっと・多分
all day:一日中・終日
suggest:提案する・提言する・勧める・意味する・示唆する
device:機器・装置・道具・仕掛け
that:<副詞>それほど・それだけ・そんなに
clever:利口な・賢い・器用な・巧みな
active:(再掲)
例文be active in the area of:~の分野で活躍している
Maybe:もしかすると・たぶん・かもしれない
imagine:想像する・思い描く・推測する
spend time:時間を過ごす・時間を費やす
gym:体育館・ジム
go on to:進む・取り掛かる・~し続ける
例文go on to discuss:引き続き~について論じる
例文go on to explain that:をさらに説明する
explain:説明する・解説する・明らかにする
develop:成長する・発達する・発展する・進化する・開発する
one's own kind of:独特の・特有の・独自の
vernacular:その土地の言葉・方言・お国ことば・生得語
参考vernacular language:自国語
subtly:微妙に・わずかに
as you rightly point out:(訳に自信なし。番組内でインタビュアー側が何か指摘したことを受けての発言か? ならpointedになるはず? あるいは全然違って、「好きになってもらったり雑談する必要はなく、正しく指摘する必要はある」というような文意という可能性も)
rightly:正しく・きちんと・適切に
point out:指摘する
random:でたらめの・思い付きの・成り行き任せの・乱雑な・でまかせの
chit-chat:おしゃべり・雑談・世間話
fill the time:時間を潰す・時間を埋める・間を持たす
much more:更にいっそう・はるかに・ずっと
brusque:<仏語>無愛想な・素っ気ない・ぶっきらぼうな・無礼な
to the point・要領を得た・的を射た・適切な
communication:やりとり・連絡・伝達・意思疎通
to do with:~と関係がある・関わる・つながりがある・関係している
relationship:関係・関係性・関連・続柄・関わり
directly:直接に・率直に・すぐに・直ちに
be relevant to:~に関係がある・関連している・適切である
point:(ここでは)要点・核心・真意
general:一般の・通例の・全体的な・普通の
native language:母語・母国語
everyday:毎日の・日常の・普段の
maintain:維持する・持続する・保持する
social relationship:社会的関係・社会的なつながり
artificial:人工の・人為的な・人造の
small talk:おしゃべり・世間話・雑談
direct:直接の・真っすぐな・率直な・遠慮のない・単刀直入の
polite:丁寧な・礼儀正しい・上品な
mean to:~するつもりである・故意に~する・わざと~する
例文not mean to:~する気はない・~するつもりはない
IBM Shoebox:The IBM shoebox was a 1961 IBM computer that was able to perform mathematical functions and perform speech recognition. It recognized 16 spoken words and the digits 0 through 9. It was developed by William C. Dersch in the Advanced Systems Development Division Laboratory at IBM. It was displayed at the IBM Pavilion during the 1962 Seattle World's Fair.(英語版wikipediaより)
Shoebox:靴箱
nearly:ほとんど・ほぼ・大体・~近く
Cheeky:生意気な・厚かましい・ずうずうしい
right:<副詞>非常に・とても・全く・完全に
enough of:もうたくさん・うんざりする・飽きる
例文have enough of someone's lying:の嘘にうんざりする
recap:=recapitulate:要約する・概括する
refer to:指す
ability:能力・力量・才能
independently:独立して・自主的に・単独で・独力で・自立して
another word for:~と言い換えられる・~の同義語である
particularly:特に・特別に・とりわけ・個別に
unnecessary:不必要な・余計な・意味のない・無用の
what can I do for you?:ご用件は何でしょうか?・何かできることはありますか?
Certainly:(返答で)そのとおり・もちろん
that’s all:それがすべてだ・それで終わりだ・以上です
be sure to:必ず~する・くれぐれも~する・忘れずに~する
check out:よく調べる・調査する・検索する
usual:通例の・通常の・いつもの
Bye for now:またね・じゃあまた後で・次回お会いしましょう(for nowで今のところは、一時的に)
p068r93g
機械相手の直截な物言いに慣れると、やがて人との会話の在り方に逆影響するかも。