6 Minute English
Objectification
EPISODE 181101 / 01 NOV 2018


[前書き]

広告や映画やテレビに出てくる途方もなく魅力的で信じがたいほど完璧なモデルは、全裸や半裸の女性を見ることの方が男性を見るよりずっと可能性が高い。しかし、男性の事も物扱いする傾向があるようです。これには何か有益な面があるのでしょうか、それとも自分に夢中な人間を生み出しているのでしょうか? 議論をよく聞いて下さい。

[台本]

ニール:こんにちは、6 Minute Englishへようこうそ。僕はニール。

サム:私はサムです。

ニール:今回の番組では、対象化という言葉について考えます。

サム:対象化とは人を物に落とし込むことです。

ニール:その実例は広告やメディアであり、とりわけ、これまでの女性の見せ方です。広告や映画、テレビの中のとんでもなく魅力的で信じがたいほど完璧なモデルは、全裸や半裸の女性を見ることの方がずっと多い。男性よりも。

サム:物扱いすることは不公平や差別といった社会問題の原因になることがあります。女性の対象化は問題ですが、では男性の対象化はどうなのでしょう?

ニール:もっと話を聞く前に、質問の時間です。今日の質問は、英国のテレビに真っ裸の男性が初めて登場したのは、どの年代だったでしょうか? それは…

a) 1940年代
b) 1950年代
c) 1960年代

君はどう思うかな、サム?

サム:60年代にします。

ニール:正解は番組の後ほどお伝えします。さてサム、君は「ラブ・アイランド」というテレビ番組を知っているかな?

サム:ええ。一種のデート番組で、出場者は全員、男性も女性も、多くの時間を水着で過ごし、そして全員が完璧ボディの持ち主です。

ニール:そう、その通り。この番組は男性も女性も公平に物扱いしているように見える。でもそれは悪い事だろうか? ピーター・ルーカス博士はセントラル・ランカシャー大学で哲学の上級講師をしているが、彼がBBCの番組「女性の時間」でこの話題について話している。「完璧な」身体をしている男性を登場させる利点かも知れない事は何だと、彼は提言しているだろうか?

ピーター・ルーカス博士
例えばラブ・アイランドのようなテレビ番組の影響に着目するなら、番組の製作者はこう説明し、こう表現しています。番組の視聴者にとってのあこがれなのだと。これは模範となる人を提示し、人々が熱望するはずの手本を示しているのです。今や、番組で陳列されている男性の肉体の事を考えている多くの女性が、それを良く思うかもしれません。もしそれが、より多くの男性がジムに出掛けて肉体的に自分自身に気を配ることを意味するなら、それは間違いなく良い事です。

ニール:つまり、番組に出てくるこうした極めて壮健な運動選手風肉体の何が長所かもしれないのだろう?

サム:ルーカス博士の話では、こうした身体を見ると、男性がジムに通い、自身の体調や健康状態を改善するよう頑張ることが促されるかもしれません。それは良い事でしょう。

ニール:そう。番組内の人のことを、模範となる人だと表現していた。'role model'とは、その人の言動が他の人にとって真似るべき良い例だと考えられる人物の事。

サム:ラブ・アイランドに出ている人の行動が良き手本となっているかは分かりませんが、しかしおそらく身体的な健康という観点から言えば、彼らは目指すべき何かを人々にもたらしています。何かを'aspire to'するとは、その何かを目標とすることができ、達成したいと望むこと。ルーカス博士は関連する言葉も使っていました。あこがれの。テレビ番組のラブ・アイランドは、あこがれだと表現されていました。この番組は、人々が手にしたい生活様式を示し、実現を目指すかもしれない物を示しているのです。

ニール:しかし人々がジムに行くよう働き掛けることには、危険性もある。ここで、ルーカス博士の再登場だ。

ピーター・ルーカス博士
しかし同時に、高水準の自己愛や自意識を引き起こしやすく、自分の見掛けに取りつかれるようになってしまいます。これは男性にとっても女性にとってもあまり魅力的な特徴ではありません。そして、それは男性の行動に有害な形で影響を与えているとにらんでいます。数十年にわたり女性にすごく悪影響をもたらしてきたのと同じような形で。

ニール:彼は有害な振る舞いについて話していた。その意味は、悪影響を及ぼす振る舞いの事。どのような振る舞いを、彼は有害だと言っているだろう?

サム:人がもし自身の容姿ばかりに気を取られようになると、自己陶酔につながりかねません。それは自分自身に、自分の外見に、自分の身体に注目して非常に多くの時間を過ごす状態。それで他の誰の事も気に掛けなくなります。

ニール:そして、そうした肉体を手に入れるのはとてもとても難しいので、それはまた、非常に自意識が強い状態を人にもたらしかねない。自分の身体を恥ずかしく思うようになり、自信を失うかもしれないのだ。結果的に。

それでは、そろそろ今週の語彙を復習すべき時間です。でもその前に、クイズの正解を確認しよう。どの年代に、初めて裸の男性が英国のテレビに登場したでしょうか? それは…、

a) 1940年代
b) 1950年代
c) 1960年代

君は何て言ったかな、サム?

サム:c)の60年代だと言いました。

ニール:残念ながら、革命はそれよりもっと早くやってきていた。正解は1950年代。1957年の「歩調を乱す」というドキュメンタリー番組で、裸体主義者の共同体で撮影された場面だった。さあ、語彙の時間だ。

サム:最初の単語は'objectification'。これは、人間を物だとみなすという名詞です。そうした人の事はもう、実在する人物だとは考えません。動詞は'objectify'です。

ニール:その人の態度が、他の人が模倣したい良い手本である人物は、'role model'。

サム:6 Minute Englishの放送に関して言えば、あなたが私の役割モデルですよ、ニール。

ニール:いやいや。君のプロ意識の高さこそ、僕が志すものだよ、サム。'aspire'は、そうなることを目標とする、成し遂げたいと願うこと。

サム:これは次の言葉にも関連します。'aspirational'。この形容詞は人生の一部を向上させたいという願望を言い表すのに使われます。例えば、もっといい仕事に就くとか、もっと素敵な身体を手に入れるとか。憧れのテレビ番組や広告が見せているのは、それを自分の物にしたいと人々が思うであろう生活様式です。

ニール:次の単語は、人にとって悪い何か、悪影響のある何かを示す形容詞です。その形容詞とは'detrimental'。

サム:非の打ちどころのない身体を切望するのは、有害な恐れがあるという話を聞きました。なぜなら、'narcissism'の原因となるかもしれないからです。自己陶酔とは、あまりに自分の身体や生活の事で頭がいっぱいで、他の誰の事も思いやらないほどな人を指す言葉です。

ニール:そんな申し分のない身体を獲得するのは信じられないほど困難で、実在するほとんどの人にとっては不可能。そして実現しないことが人を過度に'self-conscious'にさせる場合がある。ここでの意味は、人は自信を失う恐れがあるということ。

サム:今日の時間はこれまでです。次回またご参加ください。そして、bbclearningenglish.comのウェブサイトで私たちに会えることをお忘れなく。さようなら。

ニール:じゃあね!

[ノート]

Impossibly:とてつもなく・途方もなく・どうしようもないほど・ひどく
attractive:感じが良い・魅力的な
implausibly:(辞書的にみつからない)
参考implausible:信じ難い・本当とは思えない
perfect:完全な・完璧な・非の打ちどころのない・申し分のない・理想的な・ふさわしい・うってつけの
model:模型・ひな形・モデル・手本・模範
advert:広告
be more likely to:~する可能性が高い・~する傾向が強い・~しがちである
naked:裸の・剥き出しの・ありのままの
half-naked:半裸の
seems to:~ようである・に見える・に思われる
trend:流行・傾向・動向・トレンド
objectify:物としてみる・物扱いする・具体化する
例文objectify women:女性を物とみなす
positive:前向きな・積極的な・肯定的な・有益な・好意的な
point:(ここでは)要素・部分・特徴・特質
self-absorbed:自分のことに没頭した・自分のことに無我夢中の・自己陶酔の
例文absorbed:吸収された・すっかり心を奪われた・夢中の

look at:見る・注目する・調べる・検討する・~について考える
objectification:客観化・対象化・擬物化・具体化・treating people like tools or toys, as if they had no feelings, opinions, or rights of their own
例文Sexual objectification:性的対象化・他者を性欲充足の道具として扱うこと
参考:性的対象化は他者を性欲充足の道具として扱うことである。広義の「対象化」とは他者をその個性や尊厳を無視して消費財や手段として扱うことである。対象化の概念は、主に社会のレベルにおいて吟味されるが、個々人の行動について問題にすることもできる。(wikipediaより)
reduce:少なくする・減らす・弱める・~の状態に無理やりさせる・下げる・降格する
reduce to:~まで減らす・~まで下げる・~に変換する・~に例える・~になぞらえる
reduce A to B:AをBの状態にする・AをBに変える
例文reduce ~ to a fine powder:~を微粉末にする
例文reduce ~ to nothing but matter alone:~を単なる物と見なす
例文reduce ~ to level of:~を…のレベルに落とす
object:物・物体
example:例・実例・手本
advertising:広告・宣伝・広告業
media:メディア・マスコミ
in particular:特に・とりわけ・特別に・具体的には
lead to:~に通じる・~につながる・~を引き起こす・~の原因となる
issue:問題点・話題・論点・争点
inequality:不平等・不均衡・不公平
discrimination:差別
decade:10年・10年間
completely:完全に・すっかり・全くの・徹底的に
例文completely naked:真っ裸である
go for:(ここでは)選ぶ・決める
Love Island:Love Island is a British dating reality show. It is a revival of the earlier series of the same name, which aired for two series in 2005 and 2006 on ITV. The series launched on 7 June 2015 live on ITV2. Unlike the original series, the contestants are members of the public rather than celebrities. The show returned for a second series on 30 May 2016 which ended on 11 July 2016. On 11 July 2016, ITV confirmed that Love Island had been recommissioned for a third series which began on 5 June 2017. The show returned with its fourth series which began on 4 June 2018. A fifth series was confirmed on 30 July 2018, and will air in 2019.(英語版wikipediaより。)
a kind of:一種の・ある種の
dating:デートすること
contestant:出場者・競技者
spend:費やす・使う・~して過ごす
swimming costume:水着
seems (equally) to objectify:(ここの equally は不要)
equally:平等に・公平に・同様に
Dr Peter Lucas:SENIOR LECTURER IN PHILOSOPHY / School of Humanities and Social Sciences(大学のサイトより)
Senior Lecturer:上級講師
Philosophy:哲学
University of Central Lancashire:セントラル・ランカシャー大学
参考:ランカシャーはイングランド西北部にある行政区域である。
Woman’s Hour:Woman's Hour is a radio magazine programme broadcast on BBC Radio 4 in the United Kingdom.(英語版wikipediaより)(番組名の訳は適当)
suggest:提案する・提言する・勧める・意味する・示唆する・ほのめかす・示す・言う
might be:かもしれない・~しそうな
advantage:優位・優勢・有利な点・好都合な点・利益・長所・強み
feature:呼び物にする・特集する・主役にする・特徴づける・特色となる
例文dinner menu featuring~:~が目玉の(呼び物の)ディナーメニュー
例文merchandise featuring Disney characters:ディズニーキャラクターを使った商品
impact:影響・反響・効果
TV series:テレビの連続番組
for instance:例えば・例として
producer:製作者・興行主・演出家・プロデューサー
present:贈る・提示する・提起する・説明する・表現する・上演する・放送する・紹介する
describe:言い表す・説明する・表現する・描写する・述べる
aspirational:<形>熱望する・あこがれの強い・向上心のある(あこがれ、と訳すのが一番しっくりくる気がするので、そう訳しています)
aspiration:<名>強い願望・あこがれ・大望・野心・願望の対象
audience:観客・観衆・視聴者
role model:手本となる人物・模範になる人・模範的な人・役割モデル
be supposed to:~することになっている・~するはずである・~しなければならない・本来なら~するはず・~すると予期される
aspire to:熱望する・希望する・願う・目指す・志す
on display:展示されて・陳列されて・飾られて
might think well:(訳に自信なし。minght think well of such bodies の最後が略されている、と推測して訳している)
think well of:~をよく思う
get off to:(行き先・宛先に)送り出す・出かける・発つ
例文get off to a goal:目標に向かって走りだす・動き始める
例文get off to school:学校へ出かける
gym:体育館・ジム
look after;世話する・気を配る・面倒を見る
physically:物理的に・肉体的に・身体的に
surely:間違いなく・疑いなく・確かに・確実に・きっと
highly:非常に・高度に・極めて
fit:(ここでは)健康な・元気な・壮健な
athletic:壮健な・たくましい・体育の・運動の・運動選手の
例文athletic frame:運動選手のような体形
encourage:勇気づける・励ます・勧める・働き掛ける・仕向ける・促す
work hard:熱心に取り組む・頑張る・精勤する・精を出す
improve:改良する・改善する・向上させる・高める・伸ばす
fitness:体の健康・調子の良さ・健康状態
health:健康・健康状態・調子
behaviour:行動・態度・振る舞い・言動
copy:複製する・まねる・手本とする
not sure:自信がない・確信が持てない・分からない
from the point of view of:~の観点からすれば
physical fitness:体の健康・身体の調子の良さ・体力
aim for:目指す・狙う・目標とする
achieve:獲得する・得る・成し遂げる・達成する・実現する
lifestyle:生き方・生活様式
would like to:~したい
danger:危険・危険性
get to:達する・着く・到着する・取り掛かる・着手する・連れて行く・
likely to:~しそうである・~しやすい・~する可能性がある・~する見込みだ
generate:生む・生み出す・起こす・発生させる・作り出す・引き起こす
narcissism:ナルシシズム・自己愛・自己陶酔・自己中心主義
self-consciousness:自意識・自己意識・自意識過剰
obsessive about:~に取り付かれて
obsessive:取りつかれた・つきまとって離れない・強迫観念の
appearance:外見・見掛け・容姿・風貌
particularly:特に・とりわけ
例文not particularly good:あまりいいことではない
feature:<名>特徴・特性・特質・容貌・顔立ち・呼び物・企画
either:(否定文で)どちらの~もない
suspect:疑わしく思う・信用しない・~ではないかと疑う・怪しむ・~だろうと思う・~だとにらむ
impact on:~に影響を与える
detrimental:有害な・悪い・不利益な・悪影響が出る
same sort of:同種の・同じような
really:全く・実に・とても・かなり・すごく・実際に・本当に・実のところ
for decades:数十年 
negative impact:悪影響
obsessed by:~に心を奪われている・~に取り付かれている・とりこになる
例文You're obsessed by what others think of you. : あなたは人の思惑ばかり気にしている
condition:状態・状況・様子・事情・条件
focus on:焦点を合わせる・重点を置く・重視する・集中する
look:容姿・外見・容貌
care about:大切にする・大事に思う・気に掛ける・思いやる・心配する・関心がある
hard to:~するのが難しい
self-conscious:自己を意識する・人目を気にする・照れくさがる・自意識過剰の
例文self-conscious about one's lips:自分の唇を気にしている
例文self-conscious personality:自意識の強い性格
例文self-conscious intellectual:自意識過剰の知識人
They might become:(It might becomと発音している?)
embarrassed:恥ずかしい・きまり悪い・恥をかいて・困って・当惑して
lose confidence in oneself:自信を失う
as a result:結果的に・結果として
Right:なるほど・そうなんだ・へ~・(文頭で)さて、それでは
almost time for:そろそろ~する時間である
review:見直す・復習する・おさらいする
I'm afraid:残念ながら
revolution:革命
documentary:ドキュメンタリー
Out of Step:歩調を合わせていない・足並みが乱している・調和していない・同調していない(タイトル訳は適当)
part:部分
例文sad part of the movie:映画の悲しい場面
film:撮影する・カメラに収める
nudist:裸体主義者の・ヌーディスト
colony:植民地・居留地・共同体
human being:人間
real person:実在の人物
anymore:もう~ない
when it comes to:~のことになると・~に関して言えば
You're too kind:(謙虚に・謙遜して)いえいえ、そんなことないですよ
level:高さ・高度・水準・度合・段階
professionalism:プロ意識・プロ根性・専門家気質
hope to:したいと思う・望む・願う・希望する
desire:願望・欲望
life:命・一生・生活・人生・生き方
get a job:職に就く・仕事を得る
people might want:(訳に自信なし。mightをかもしれないと訳すと弱すぎる気がするが、だろうと訳せるのか不明)
term:(ここでは)言葉・用語
so ~ that:非常に~なので・なほど~
obsessed with:~で頭が一杯・夢中である・取り付かれている・のことばかり考えている
incredibly:信じられないほど・非常に・ひどく
impossible:不可能な・無理な・あり得ない
most:大抵の・ほとんどの・大部分の
overly:過度に・過剰に・ひどく
that’s all:それがすべてだ・それで終わりだ・以上です
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サム、名前が出る登場は久々だ