6 Minute English
The teenage brain
EPISODE 181213 / 13 DEC 2018


[前書き]

最近まで、人の脳の発達は幼児期までに終了すると考えられていました。しかしここ10年の研究によって、青年期の脳はなおも成人早期に至るまで変化していることが示されました。今回の番組では、10代の脳の内部を深く探求し、専門家の話を聞き、そして役立つ語彙をいくつかお教えします。あなた自身の頭脳を伸ばしながら!

[台本]

ニール:こんにちは、この番組は6 Minute English。僕はニールです。

ロブ:そして僕はロブ。

ニール:自分の10代の頃って、どんなことを覚えているかな?

ロブ:ああ、僕は最悪だったね。両親に対して横柄で、しょっちゅう夜遊びをして、宿題は全然しない。良くない連中と付き合って、誤った判断をたくさんした。君はどうだい、ニール?

ニール:まぁ、似たり寄ったりだよ実際。人は10代の若者についてはいつだってそんな風に言う。そうだろ? つまり、手に負えなくてロクでもない事をする時期を経験する。でもどうやら、それは当人たちの責任ではないらしい。少なくとも直接的には違う。

ロブ:じゃあ誰のせいなんだい?

ニール:脳のせいなんだよ、どうやら。10代の若者の脳というのは、行動を抑制する領域がなおも発達途上なんだ。ということは、彼らのような振る舞い方をしていることで、彼らを責められないとも言える。更に理解を進める前に、質問をするとしよう。10代の若者は昔からいましたが、では「ティーンエイジャー」という言葉が13歳から19歳の年齢層を指して初めて使われたのはいつだったでしょうか? それは、

a) 1920年代
b) 1930年代
c) 1950年代

何か考えはあるかな、ロブ?

ロブ:そうだな、多分、登場したのはロックンロールの時代頃だろう。だから1950年代に、that would have made it。というのが僕の推測。

ニール:正解は番組の後ほど確認しよう。サラ=ジェーン・ブレイクモアはユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの所属で、専門は脳の機能。特に10代の脳についてだ。先日、彼女はBBCのラジオ番組「科学的な人生」にゲスト出演した。彼女の解説によれば、10代を通じて脳はまだ発達しているという理解はかなり新しいものだ。最初の研究が世に出たのはいつだと彼女は言っているだろうか?

サラ=ジェーン・ブレイクモア教授
最初の研究論文が示しているのは、人間の脳はこの非常に重大で大幅な発達を、青年期から20歳代までを通じて経験するという事です。初の論文が発表されたのは90年代の後半でした。それ以前、例えば私が大学生だった頃は、教科書に載っている定説では脳の発達の圧倒的大部分は生まれて最初の数年間で起きるもので、小児期中期以降は大した変化はないとされていました。この教義は完全に間違っています。

ニール:で、10代の脳についての研究が現れたのはいつだったかな?

ロブ:驚いたことに、1990年代後半までは存在しなかったんだ。90年代後半が、彼女によればこのテーマについての最初の論文が公表された時期で、文書というのはこの文脈では「発表された科学的研究の成果」という意味だ。

ニール:そして、彼女は実は10代の若者について話していたのではない。そうだろ?

ロブ:そう、その通り。彼女は青年期という時期について話していた。この「青年期」という名詞は人が子供から大人に成長しつつある期間の事で、これは大体10代と同じものだ。

ニール:僕が興味深く感じたのは、1990年代までは脳の発達の仕方について違った考えが信じられていたことだ。

ロブ:そう。ブレイクモア教授の話では、人の脳は大部分は幼児期早期にすっかり発達してしまうというのが定説だった。思春期よりずっと前のことだ。定説とは、真実だと人々が受け入れると見込まれている強固な信念を言い表すのに使われる言葉。

ニール:つまり私たちの脳は当初考えられていたよりもずっと遅くまで発達を続けている。このことは10代の振る舞いについて何を語っているだろう? 特に興味深いのは、前頭前皮質と呼ばれる脳の重要な部位で、ここでブレイクモア教授の再度登だ。宿題を期限までに終わらせない10代の若者に、彼女はどんな言い訳を提供してくれるのだろうか?

サラ=ジェーン・ブレイクモア教授
前頭前皮質は脳の真っ正面にある部位で、額のすぐ後ろです。そしてそこはあらゆる種類の非常に高水準な認知的課題に関わっています。例えば意思決定や計画立案など。この領域は青年時代の間に、とてもとても多大な発達をしていることが分かっています。ですから10代の若者に寄せる期待と言う点で言えば、例えば宿題の計画を立てることについて、宿題を出しすぎかもしれません。計画するのに決定的に関わっている脳の領域がまだ発達していないのを我々は知っている、ということを考慮すれば。

ニール:つまり前頭前皮質は認知的な作業に重要なのだが、それって何だろう、ロブ?

ロブ:認知的課題とは意志的な思考や処理を必要とする物事だ。意思の決定とか計画するといったような。これは自動的には生じないので、それについて考えなければならない。青年時代には脳のこの場所はまだ完全には発達していない。先ほど取り上げた「青年期」という名詞の形容詞形なことにご注意ください。

ニール:なので、これは宿題をしない恰好の言い訳を与えてくれる!

ロブ:はは。それを知っていたらよかったのに。僕なんか、宿題をバスに置き忘れたとか、犬が食べちゃったとか言っていたよ。今ならこう言える。「すみません先生、僕の脳は宿題の計画を立てるという認知的作業をするには十分発達していないのです」って。

ニール:そうだね。それはきっと上手くいくよ! 番組を終わる前に、今週の質問の答えを確認する時間だ。僕が聞いたのは、いつ「10代」という言葉が13から19歳の年齢階級を指して初めて使われたでしょうか? それは、

a) 1920年代
b) 1930年代
c) 1950年代

ロブ、君が言ったのは?

ロブ:c)の1950年代だと思う。

ニール:そして正解は実のところ、b)の1930年代。ご存じだった方がいれば、大変お見事。さあ、今日の語彙をざっと見直そう。

ロブ:'Adolescence'は、子供から成人に変化する期間を指す名詞で、形容詞は'adolescent'。そしてこの同じ言葉が、10代に時期にいる人を指す名詞でもあります。

ニール:つまり、青年期の人には、彼や彼女の青年期における子供っぽい振る舞いの責任があるかもしれない。

ロブ:まさしく。

ニール:'Paper'とは発表された科学的研究を指す言葉。

ロブ:'Dogma'は、強く抱かれた信念で疑問を呈されていないもの。

ニール:'prefrontal cortex'は、脳の重要な部位で'cognitive task'を処理している。

ロブ:そして認知的な課題とは能動的な思考や考察を必要とする知的な作業。計画するとか意思決定するといったような。

ニール:あー、僕の意思決定能力が、番組を終わらせる時間だと告げているよ。

ロブ:君の技能はうまく機能しているね、ニール。僕たちはもう立ち去ってしまうかもしれませんが、皆さんはそうする必要はありません。聞き直したり見直すことが出来ます。そして、もっと多くのlearning Englishの題材を我々のソーシャルメディア・プラットフォームで見つけてください。我々のウェブサイト、bbclearningenglish.comを訪れることもできます。

ニール:またすぐにお会いしましょう。さようなら。

ロブ:さよなら。

[ノート]

brain:脳・大脳・頭脳・知力・知能
development:発達・発展・進歩・開発
all over:(ここでは)終わって・終わりにして
early childhood:幼児期・小児期の早い時期・幼児期早期
childhood:子供時代・幼年時代・幼児期・児童期
last:(ここでは)すぐ前の・最近の
decade:10年間
adolescent:<形容詞>青年期の・思春期の・若々しい・子供っぽい・青くさい
changing into early adulthood:(本文と照らし合わせて、このintoは change into ではなく、「~に至るまで」だと推測。)
参考continue into modern times:近代に至るまで継続する
change into:~に変わる・~に変化する・~になる
The rain changed into snow. : 雨から雪に変わりました。
early adulthood:成人早期・成人期初期
adulthood:大人であること・成人期
delve:徹底的に調べる・掘り下げる・地面を深く掘る・深く探求する
teenage:13歳から19歳の・10代の・ティーンエイジャーの
useful:役立つ・便利な・有益な
along the way:途中で・道中で・進行中に
stretch:伸ばす・張る・広げる・能力いっぱいに働く・極度に緊張させる
例文stretch one's skills:自分の能力を伸ばす

teenage years:10代
nightmare:恐ろしい夢・悪夢・悪夢のような経験・恐ろしい人
例文Traffic was a nightmare.:最悪の渋滞だった
rude:不作法な・無礼な・失礼な・下品な・粗野な・雑な・野蛮な
stay out late:夜遅くまで出歩く・夜遊びをする
hang out with:つるむ・付き合う・親しくする・一緒にブラブラする・たむろする
wrong:(ここでは)不適切な・ふさわしくない・悪い
make a decision:決定する・決心する
much the same:ほぼ同じ・ほとんど同じ・似たり寄ったり・同様
teenager:10代の若者・ティーンエイジャー・英語では、Teen-ager は、語尾に-teenのつく13歳から19歳までの若者を指す。おおむね思春期・中高生と重なり合う。(最後の項はwikipediaより)(だから「13歳~」なんだ。日本語にはそこだけを指す言葉は無いか、あるいは「思春期」と言うかですかね)
go through:通り抜ける・通行する・通過する・経由する・経験する・体験する
be out of control:制御できない・自制心のない・手に負えない・始末に負えない・手がつけられない・抑えきれない・手に余る・言うことをきかない
behave badly:好ましくない振る舞いをする・素行が悪い・悪事を働く
behave:態度をとる・振る舞う・行動をする
badly:悪く・まずく・下手に
apparently:見たところ~のようだ・どうも~らしい・どうやら~らしい
fault:責任・過失・落ち度
directly:直接に・真っ直ぐ
control:操作する・制御する・規制する・抑制する・統制する
blame:非難する・とがめる・責める・~の責任にする
blame A for B:BをAのせいにする
act:行動する・振る舞う
find out:見いだす・解明する・理解する・明らかにする・気付く・見破る・答えを出す・謎を解く
always:(ここでは)昔から・前々から・以前からずっと
refer to:(ここでは)~を指す・示す
age group:年齢層・年齢階級
come along:やってくる・現れる・一緒に来る・参加する
around the time of:~の前後に・~の頃に
rock and roll:ロックンロール
so that would have made it the 1950s:(訳できず。文脈的に「1950年代に出来たのだろう」くらいの意味のはずだが、that would have made it がどういう文意か分からない)
would have+ 動詞の過去分詞・(もし~だったら)~したであろう
例文otherwise would have been lost:そうしなければ失われていたであろう
make it:うまくいく・やり遂げる・何とかする・成功する・間に合う・到着する・都合が付く
guess:推測・推量
Sarah-Jayne Blakemore:Sarah-Jayne Blakemore FBA (born 11 August 1974)[1] is Professor of Cognitive Neuroscience at the Institute of Cognitive Neuroscience, University College London and co-director of the Wellcome Trust PhD Programme in Neuroscience at UCL(英語版wikipediaより)
University College London:ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(University College London, UCL)は、イギリスのロンドン市中心部ブルームズベリー及びカナリー・ワーフにキャンパスを置く、1826年設立のイギリスのトップ総合大学である。(wikipediaより)
specialise in:~を専門とする・~を専攻する
workings:(ここでは)仕組み・働き・機能
particularly:特に・とりわけ
guest:客・招待客・来賓
The Life Scientific:The Life Scientific is a BBC Radio 4 science programme, presented by Professor Jim Al-Khalili, in which each episode is dedicated to the biography and work of one living scientist. The programme consists of an interview between Jim al-Khalili and the featured scientist.(英語版wikipediaより)(形容詞を名詞の後に付けているのは何故だろう。仏語風でオシャレってこと? タイトル訳は適当。サイトはこちら
life:命・生命・一生・人生・時期・生活
Scientific:科学の・科学的な・科学に関する
explain:説明する・解説する・明らかにする
understanding:理解・把握・認識・見解・知力・知性
quite:かなり・相当・とても・非常に
come out:外に出る・~という結果になる・現れる・出場する・知られる・発表される・公になる
study:学習・研究・研究論文・調査報告書
undergo:経験する・被る・受ける・経る
substantial:現実の・実在する・相当な・かなりの・実質的な・本質的な・重大な
例文cause substantial harm:重大な害を及ぼす
significant:重要な・意義深い・意味のある・大幅な・著しい
例文significant and substantial impact of the support:援助がもたらす重要で大きな効果
throughout:~を通して・~にわたって・~の至る所で・~の間中ずっと
adolescence:青年期・青春・思春期・年ごろ・思春期(puberty)から成人期(adulthood)までの過渡期
throughout A into B:AからBまでを通じて
例文throughout childhood and into adulthood:小児期から成人期までを通じて
例文throughout the century and into the next:その世紀を通じて、また次の世紀に入っても
twenties:(ここでは)20代
paper:紙・文書・書類・研究論文
publish:刊行する・出版する・発表する・公開する
in late __s:_年代後半に
dogma:教義・定説・教理・信条・独断的な説
text book:教科書
vast majority of:~の圧倒的多数・~の大部分・大半・大多数
vast:巨大な・膨大な・大量の
majority:過半数・多数派
go on:進み続ける・継続する・~し続ける・起こる・発生する・経過する・始める
nothing much:ほんの少し・大したことはない
mid-childhood:小児期中期
completely:完全に・全く・全面的に・すっかり
false:誤った・嘘の・正しくない・偽の
research into:~に関する研究
Surprisingly:驚いたことに・意外にも
subject:主題・題目・議題・テーマ・題材
context:文脈・前後関係・事情
mean:意味する・指す・言う
result:結果・結末・効果・成果・業績
actually:現実に・現に・実際に・本当に・実のところ
period of adolescence:思春期
develop from a child into an adult:子どもから大人へ成長する
adult:大人・成人
more or less:ほぼ・おおむね・多かれ少なかれ・大体
more or less the same:大体同じだ
same as:~と同じである・~も同然である・~と変わらない
find:出会う・見つける・発見する・気付く・感じる
mostly:大抵・ほとんど・大部分・主に
fully:十分に・完全に・すっかり
long before:ずっと前に・かなり以前に
describe:言い表す・説明する・描写する
belief:考え・意見・信念
be expected to:~と期待されている・見込まれる・予定である・~と思われる
accept:承認する・認める・容認する・受け入れる
originally:最初は・初めは・もとは・もともと・当初
behaviour:行動・態度・挙動・振る舞い・言動
of particular interest:特に興味深い
prefrontal cortex:前頭前皮質(ぜんとうぜんひしつ、英: prefrontal cortex、PFC)は、脳にある前頭葉の前側の領域で、一次運動野と前運動野の前に存在する。前頭連合野、前頭前野、前頭顆粒皮質とも呼ばれる。この脳領域は複雑な認知行動の計画、人格の発現、適切な社会的行動の調節に関わっているとされている。この脳領域の基本的な活動は、自身の内的ゴールに従って、考えや行動を編成することにあると考えられる。(wikipediaより)
excuse:弁解・言い訳・口実・釈明・理由
get done:済ませる・終わらせる・片付ける
in time:時間内に・間に合って・期限までに
right:真っ直ぐ・ちょうど・ぴったり・すぐに・直ちに・全く
例文right at the foot of the cliff:崖の真下に
at the front:前面に・前部に・正面に・先頭に・最前列に
just behind:~の直後に・~のすぐ後ろに
forehead:額・前額・前面
involve in:~に関わる・関係する・関与する・巻き込まれる
a whole range of:あらゆる種類の・いろんな・広範な
high-level:高水準の・ハイレベルな
cognitive:認識の・認知の・認知的
task:任務・課題・仕事・役割・作業
decision making:意思決定
planning:企画・計画・計画立案
region:地域・分野・領域・部位
large amounts of:大量の・膨大な・巨額の
And so in terms of the expectations that we place on teenagers // to, for example, plan their homework, it might be too much // given that we know that the region of the brain that critically involved in planning is not developed yet.:(「//」の箇所で息継ぎが入る。だからそこで文章は区切れていると考えて訳した。)
in terms of:~に関して・~の観点から・~という点では・~で見ると・~という意味で
expectation:予想・期待
place:置く・設置する・認識する・判別する・位置づける・評価する
例文place more expectations on:~への期待が膨らむ・~により大きな期待を寄せる
too much:過剰な量・過度な量・過度の・過剰な・やり過ぎの・酷い
given:<接続詞>~と仮定すると・~を考えると・~を前提として
given that:that以下だと仮定すると・~ということを考慮すると
critically:批判的に・非常に・とても・決定的に・大きく・致命的に
require:必要とする・要求する・義務付ける
conscious thinking:意識的な思考
conscious :意識のある・意識している・意識的な
processing:加工・処理
process:<動詞>処理する・加工する
happen:起きる・発生する・生じる
automatically:自動的に・無意識に
Note:書き留める・気付く・注意する・気に留める・言及する・指摘する
adjective:形容詞
form:形・型・種類・形態
例文noun form of the verb:動詞の名詞形
earlier:前に・以前に・先の
used to:よく~したものだ・昔は~していた・以前は~したものだった
leave:(ここでは)残す・置きっぱなしにする・置き忘れる
work:(ここでは)機能する・効く・役に立つ・うまくいく・奏功する
wrap up:完成させる・仕上げる・終える
well done:上手く成し遂げられた・うまい・お見事
quick:迅速な・速い・即座の・素早い
review:再調査する・見直す・復習する・おさらいする
adolescent:<名詞>青年期の人
be responsible for:~にたいして責任がある・責任を負う・~の原因となる・関与している
Exactly:そのとおり・そうです・まさしく
challenge:(ここでは)疑問を呈する・異議を申し立てる・説明を求める
例文challenge the validity of~:~の正当性に疑問を呈する
例文Please challenge anything in my research paper. : 私の研究論文のいかなる点についてでも、どうぞ批判してください
deal with:取り組む・対処する・処理する
mental process:精神機能
menta:心の・精神の・知能の・知的な
process:一連の行為・変化・作用・過程・作業
active:活発な・盛んな・積極的な・能動的な
thought:思考・思索・考え
consideration:考慮・考察・熟慮・検討・配慮・気配り
skill:技能・技術・力量
finish:終える・片付ける・仕上げる
go:(ここでは)離れて行く・去る・消えていく
material:物質・材料・素材・題材・資料
p06thqpt
その言い訳は通用しないような気が…