HEALTH & LIFESTYLE
Teen Vaping on the Rise in US, Canada
July 13, 2019




新たな研究によれば、アメリカやカナダでは従来に増して多くの10代の若者が電子タバコを吸っている。電子タバコは電子機器で、液体を加熱して立ち込める蒸気にし、利用者はそれを吸入するものだ。利用者の多くが吸っている液体には、ニコチンと言う薬物、その他幾つかの化学物質、そして香料が含まれている。

研究者らはカナダ・英国・合衆国の若者による喫煙と電子タバコ吸引のデータを調べた。その結果、16歳~19歳で過去30日間に電子タバコを吸ったと回答した人の数は2017年から2018年にかけて合衆国では50%近く増加し、カナダでは人数がほぼ倍増したことが判明した。

英国では、吸引した人数にはわずかな変化しか見られなかった。

研究者らによれば、よりニコチンの多い電子タバコが購入可能になったことが利用増加の原因の可能性がある。

カナダにあるウォータールー大学のデビッド・ハモンドがこの研究を指揮した。彼はeメールでこう説明している。「2018年の特徴と言える点は、新たな電子タバコ技術が市場を支配し始めたことです。その主役はJUULです」。

電子タバコのJUULが市場に登場したのは2015年。研究者らは、今では電子タバコ市場の半分以上を同社が占めていると指摘している。JUULが英国で購入可能になったのは2018年の7月。カナダでは2018年9月からだ。

10代の若者によるJUUL電子タバコの利用は、調査期間中に3か国の全てで増加している。JUUL製品を日常的に使っていると回答した合衆国の10代の割合は、2017年から2018年の間で1%から4.5%に増加した。

ハモンドは、多くの若者は電子タバコの吸引には害がないと考えており、電子タバコ製品のニコチン量のことを知らないと話している。彼はこう付け加えた。「両親も子供たちも、こうした製品には依存症を引き起こす力があること、そして長期的に健康リスクの恐れがあることを知っておかなければなりません…」。

eメールで出された声明でJUULは「弊社は、ニコチン摂取習慣がない方はどなたも弊社製品を使用することを望んでおりません。特に若者は」と表明している。同社は、未成年者による同社製品の使用をなくすため、合衆国とカナダで積極的な措置を講じていると述べている。

リンダ・ボールドは、スコットランドにあるエジンバラ大学医学・獣医学部で公衆衛生の責任者をしている。彼女は、親は子供たちに喫煙や電子タバコ吸引の危険性を話すべきだと述べている。

彼女はロイター通信にeメールでこう述べている。「親は、電子タバコ製品とは禁煙しようとしている成人喫煙者の為のもので、タバコを吸ったことがない10代の為の物ではないと説明しなければなりません」。

ボールドはこう付け加えた。「電子タバコの吸入は喫煙に比べれば害は少ないです。それが、成人喫煙者にとってこれが良い選択肢である理由です。しかしそのことは、これに危険性がないという意味ではありません。10代にとっては何も吸わない方がいいのです。電子タバコもなし、喫煙もなしの方が」。

ジョナサン・エバンスでした。

[ノート]

vape:蒸気を吸う、吸い込む、電子タバコを吸う行為を意味する英語の動詞。電子タバコそのものを指す名詞としても用いられる。(コトバンクより)
参考:電子たばこ(英語: Electronic cigarette, e-cigarette, e-cig)とは、乾燥葉や液体をマイクロプロセッサで制御された電熱線の発熱によりエアロゾル(霧状)化して、利用者に吸引させる喫煙具である。英語圏では、装置はヴェポライザーとも呼ばれ、電子たばこによる吸入を俗にVape(発音:veip:ヴェイプ)と呼ぶ。専門用語では電子ニコチン送達システム (Electronic nicotine delivery systems, ENDS)。用いられる液体は、プロピレングリコール、グリセリン(グリセロール)、水、香料からなり、ニコチンを追加することもできる。2008年頃から日本においてもメディアなどで取り上げられている。日本ではニコチンを含有する電子たばこ用の液体は、薬事法にて医薬品とされるため主に日本国外から個人輸入が可能で、国内では販売されていない。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
than ever before:かつてないほど、従来にも増して、これまでより
electronic device:電子機器
heat:~を暖める、~を温める、~を熱する
liquid:液体
into:(ここでは)~になって、変わって
例文turn water into steam:水を蒸気に変える
cloud of vapor:もうもうと立ち込める蒸気
cloud:雲、立ち込める物
vapor:霧、煙、ガス、蒸気、気化ガス
inhale:吸い込む、吸入する
drug:麻薬、薬物、薬品
nicotine:ニコチン
several:数個の、幾つかの
chemical:化学薬品、化学物質
flavoring:香味料、調味料、香料
examine:調べる、分析する、研究する、検査する、試験する
find:出くわす、発見する、気付く、理解する
report:報告する、伝える、報じる、説明する、公表する
rise by __%:_%増加する、上昇する
almost:ほぼ、ほとんど、もう少しで、~近く
double:~を倍にする、~を倍増させる
see a change:変化がみられる
availability:利用できること、入手の可能性、購入の可能性、可用性、入手できるもの
responsible for:~に対して責任がある、~の責任を負う、~の原因となる
increased usage:利用の増加
David Hammond:Professor, CIHR-PHAC Chair in Applied Public Health(ウォータールー大学のサイトより
University of Waterloo:ウォータールー大学は、オンタリオ州ウォータールー市に本部を置くカナダの州立大学である。1957年に設置された。同国の主な研究大学で構成されるU15グループの中では二番目に若い。カナダを代表する理工系中心の大学である。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
lead a study:研究を指揮する
2018 marked the point at which:(訳に自信なし)
mark the point of:~に目印を付ける
mark:跡を付ける、印を付ける、示す、記念する、特徴づける、目立たせる
point:要点、先端、点、項目、特長、場所、位置、時点、時期、段階、程度
参考mark a turning point:転換点となる
start to:~し始める
take over:引き継ぐ、奪う、奪取する、買収する、乗っ取る、占領する
take over markets:市場の支配権を得る
led by:~に導かれる、に率いられる、の主導による、を主体とする
go on the market:市場に出る、発売になる
note:言及する、指摘する、気付く
command __% of the market for:~の市場の_%を占める
become available:利用できるようになる、手に入る、物になる、現れる
during a period of:~の間に、~の時期に、~の時に
例文during treatment period:治療期間中に
regularly:定期的に、規則的に、規則どおりに、手続きに従って、普通は、通常は
例文eat ~ regularly:~をよく食べる、頻繁に食べる、日常的に食べる
harmful:有害な、害を及ぼす、害になる
nicotine level:ニコチン濃度、ニコチン値
be capable of:~の能力がある、~の才能がある、~ができる、する力がある
produce:作り出す、生み出す、引き起こす、生じさせる
addiction:依存、中毒、耽溺、依存症
have a risk of:~の危険性がある
long term:長期
non-nicotine:非ニコチン、ニコチンを含まない
take action:行動を取る、行動を起こす、取り掛かる、措置を講じる、対応策を取る
aggressive:攻撃的な、挑戦的、積極的な、活動的な
fight:戦う、けんかする、対抗する、奮闘する
例文fight global warming:地球温暖化に対処する、地球温暖化を防止する
underage:未成年の、成人前の、法定年齢未満の者による
Linda Bauld:Bruce and John Usher Professor of Public Health(エジンバラ大学のサイトより
public health:公衆衛生
College of Medicine:医学部、医科大学
Veterinary Medicine:獣医学
University of Edinburgh:エジンバラ大学(University of Edinburgh)は、1583年に設立された、英語圏で6番目に長い歴史を有する大学である(「Ancient University」の1つ)。キャンパスはスコットランドの首都エジンバラにあり、ユネスコの世界遺産に登録されている旧市街の多くの建物がエジンバラ大学の所有物である。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
Scotland:スコットランド(英語: Scotland)は、北西ヨーロッパに位置するグレートブリテン及び北アイルランド連合王国(イギリス)を構成するカントリーの一つ。1707年の合同法によってグレートブリテン王国が成立するまでは独立した王国(スコットランド王国)であった。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
explain:説明する、解説する
try to:~しようとする、試みる
quit:やめる、中止する
risk free:リスクのない、危険を伴わない、無リスクの、安全な
757CE68C

最初、VOA記事トップの写真を見て、こんな不格好なものをどうして北米の若者が好むのか理解できなかったのですが、よく見ると中に一つだけ、明らかにデザインが異質なものがあります。中央のUSBメモリーみたいな奴。これがJUULです。
関連する日本語の記事を二つ紹介しておきます。TECH CRUNCHから

一部引用すると、
Juulはタバコではない。それよりずっと手軽なものだ。以下に説明する悪魔的に巧みな製品デザインによって、このスタートアップは人がニコチンの虜になる障壁を大幅に引き下げた。
(中略)
Juulはどれほどの速さで全国に広まったのだろうか?調査会社のNielsenによれば、昨年9月に米国電子タバコ市場の27%を占めていたJuulは、現在75%のシェアを占めていると言う。それからの1年で、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)は過去30日間に電子タバコを利用した高校生の割合が75パーセント増加したと言う。それは10代の中の300万人、あるいは全高校生のおよそ20%に相当する数だ。CNBCによれば、2018年のJuulの収益は約15億ドルになりそうだ。
(中略)
Juulは喉にとって普通のタバコよりもはるかに優しい。味はより穏やかで、それも様々な風味で隠すことができる。(中略)エレガントで分離可能な形状は、利用者をヘビーな電子タバコユーザーには見せることがない。とてもカジュアルだ。
(中略)
もしJuulが本当に中毒との闘いを気にかけているのなら、ニコチンから利用者を引き離すための処方を提供するだろう。だが同社は、人が止めることを助けるような、低用量あるいは無用量のパックを販売してはいない。米国では、5%と3%のニコチンバージョンしか販売していないのだ。イスラエルのような最大用量に対する法的規制のある国に対しては、1.7%のパックを製造しているが、それを米国内で販売することは拒否している。最大のタバコ会社のうちの1社から120億ドル以上を調達したことを思うと、そのミッションステートメントも虚しく響く。
Juulは死のスティックビジネスに他ならないが、AppleやFacebookが得意とするような、プロダクトデザインと口コミの力で支えられているのだ。
手厳しい。
もう一つ、YAHOO!ニュースより

一部引用すると、
日本では広がらない電子タバコだが、欧米ではかなりのシェアになっていて特に若い世代のユーザーが増えている。米国では「JUUL」という電子タバコが大ブレイクし、米国のFDA(食品医薬品局)も特別にJUULに関するコメント出したほどだ。だが、電子タバコにも大きな健康懸念がある
(中略)
米国のジョージア州立大学などの研究グループが、2018年に英国の医学雑誌『BMJ』系「Tobacco Control」オンライン版に出した論文によれば、JUULのマーケティング戦略は秀逸で、TwitterやInstagram、YouTubeなどのSNSを駆使し、ネット・キャンペーンを展開してシェアを増やしてきたという。実際、大手タバコ会社の電子タバコのシェアが伸び悩んでいる一方、JUULだけが大きく売上げを伸ばしてきた。
(中略)
そんなJUUL人気に対し、米国のFDAが2018年4月24日にJUUL Labsを含む13の電子タバコ会社に対し、強い調子のアナウンスを発表した。内容は、抜き打ち検査を含むJUULの小売業者の違反摘発や未成年者へのJUULのネット販売規制、そして菓子や清涼飲料に似せたパッケージへの警告で、若年層への電子タバコの蔓延に対してFDAは強い懸念を表している。
デザイン性とSNS戦略。なるほど。