6 Minute English
Does your name start with the wrong letter?
EPISODE 190926 / 26 SEP 2019




[前書き]

昔の同級生で、名字がアルファベットの最初の方の字で始まる人のことを覚えているのは何故でしょうか? コロラド大学経済学部の教授によれば、名字の頭文字は、その人の人生の可能性に影響を与えているかもしれません。「A」に近い人の方が有利です。ニールとサムはアルファベットによる不利益について議論し、また皆さんに語彙をお教えします。

[台本]

ニール:こんにちは。この番組は6 Minute Englishで、僕はニール。

サム:そして私はサムです。

ニール:ところでサム、君は当然、自分のアルファベットを知っていると思うけど。

サム:もちろんですよ、ニール。あなたが言っているのは自分のABCのこと? それはずっと幼い頃に習ったのは知ってるでしょ?

ニール:見下すように聞こえたなら謝るよ。でも、何故アルファベットの文字はこの順番なのか、君は知っているのかな?

サム:いいえ、知りません。とても興味深いですが、どうしてですか?

ニール:僕も知らないんだ。君なら知ってるかもと思ったんだけど! でも真面目な話、この順序がどのように確立されたのか、誰もよく知らない。でも、ある研究が示しているのは、もし名字が、つまり姓がアルファベットの後の方の字で始まっていたら、その人は学校や人生において不利な立場かもしれないんだ。その話を始める前に、でも質問から。アルファベットの最初期の形態はどこに由来するでしょう? それは…

a) 古代エジプト
b) 古代ギリシャ、それとも
c) 古代ローマ

君はどう思うかな、サム?

サム:えー、英語のアルファベットはローマの文字を使っていると言われているので、古代ローマを選ぶことにします。

ニール:分かった。では、正解は番組の後ほど出すとしよう。BBCのラジオ番組「フライの英語の楽しみ」で特集が組まれたのが、アルファベットと、それがいかにして人の学校生活に悪影響を及ぼし得るかについてだ。君は覚えているかな、ずっと何年も前、学校に通っていた頃を? 一日の初めに教師がする最初の事は何だろう?

サム:出席を記録します。これは英国ではそう呼んでいるもので、出欠を取ると言うこともできます。

ニール:そう。これは教師が生徒の名前を呼んで、全員そこにいることを確認するものだ。問題が始まっているのはここからだと、コロラド大学の、皮肉なことにジェフリー・ザックスという教授は言っている。あなたの名前が名簿の下の方にあるほど、あなたは教師からあまり注目されない。それは何故だろう? ここでザックス教授の登場だ。

ジェフリー・ザックス教授
それが始まると、生徒たちは注目します。それが進むに連れて、まず既に呼ばれた生徒は、もはやそれを真面目に聞く必要はなんらありません。その上、呼ばれるのを待っている生徒も、彼らの注意はぼんやりしています。従って、出欠確認が進むにつれて、何らかの形で関与の強度は減退するのです。

ニール:で、何が問題なのかな?

サム:えー、大きな関りがあるのは注目することです。その意味は何かに集中していること。出欠確認の最初は、誰もが注目しています。彼らは静かにしていて、よく聞いている。でも最初の方の名前が呼ばれた後は、その生徒達はそれ以上注意を払う必要がありません。

ニール:だから彼らは次に何が来るかに少し興味を失う。そして名簿の後の方の生徒たちも、もう気が散っていて、教師も、彼あるいは彼女自身があまり集中していない。

サム:そして名簿が終わる頃には、教師と名前が後の方で呼ばれた生徒との関係は、名簿の最初の方の生徒ほどには強くありません。

ニール:ザックス教授はそれをこんな言い方で説明している。関与の強度は減じていくと。'Diminish'の意味は「弱くなる」。そして関与の強度とは、意思疎通の強さ、関わっている熱意の程度のことだ。そしてこれが、学校時代やその後を通じて生徒に微妙に影響するかもしれない不利の始まりだ。これは、合衆国で行われた幾つかの調査の後で1950年代に発見された。では、そうした不利な点とは何だろう? ここで再びザックス教授の登場だ。

ジェフリー・ザックス教授
彼らは高校の課程を満喫した可能性が低く、仮に出願しても大学を卒業する可能性が低い。退学しがちなんです。彼らが最初に就いた仕事は、賃金が少ない職業です。軍に入る可能性が高く、名声の乏しい仕事に就くことが多い傾向にあります。

ニール:では、かれらはどんな不利を抱えているだろう?

サム:えー、ザックス教授によれば調査が示しているのは、彼らは学校をあまり楽しんでいません。学問的に成功する事が少なく、単科大学や総合大学を中退しがちです。中退の意味は、その課程を修了する前にやめること。

ニール:そして彼はこうも言っていた。彼らは名声の低い仕事に就く可能性が高いと。その意味は、その仕事の地位が高いとか望ましいと見なされていないこと。もう一度聞いてみよう。

ジェフリー・ザックス教授
彼らは高校の課程を楽しんだ可能性が低く、出願した場合でも大学を卒業する事が少ない。彼らは退学しがちです。最初に就いた仕事は賃金が低い職業で、軍に入隊する事が多く、評判が低い仕事に多く就く傾向が見られます。

サム:まぁ、ザックス教授は大丈夫だったようです。この名字にもかかわらず!

ニール:確かに。どうもこれは誰にでも当てはまる訳ではないようだ。それでは、語彙を思い出そうとするにはまだ間があるので、質問の正解を確認しよう。アルファベットは、その最初期の形態はどこで生まれたのだろう? それは…

a) 古代エジプト
b) 古代ギリシャ、それとも
c) 古代ローマ

サム、君は何て言ったかな?

サム:これは古代ローマでまず間違いでしょう。

ニール:君の名字は何で始まるの?

サム:実は「B」です。

ニール:えー、それは不正解だ、残念ながら。実際は古代エジプト。正解した皆さんはお見事でした。よし、では語彙の時間だ。

サム:はい。何かに'pay attention'するの意味は、何かに集中する。気を取られない。

ニール:それから出てきた言い回しが'the intensity of the engagement'。これは、結び付きや交流、コミュニケーションの強さの別の言い方だ。

サム:そして、もしあなたの名字がアルファベットの最後の方に来る場合、教師との関与の強度は'diminish'だと感じるかもしれません。減少させるの意味は衰えていくこと。

ニール:課程から'drop out'するなら、それを修了する前にやめるという意味。

サム:そして仕事の'prestige'とは、それが受ける敬意のこと。それが重要で望ましいと見なされていれば、高い信望が得られます。

ニール:よし、ありがとうサム。6 Minute Englishはここまで。皆さんがまたすぐご参加できることを願っています。bbclearningenglishのオンライン、ソーシャルメディア、アプリでも我々に会うことが出来ます。じゃあまた!

サム:皆さんさようなら!

[ノート]
wrong:間違った、正しくない、不適切な、ふさわしくない、悪い、不調の

classmate:同級生、級友
surname:姓、名字
letters at the beginning of the alphabet?:(「アルファベットの最初の字」と言うとAだけになるので「最初の方」とした)
letter:(ここでは)文字
at the beginning of:~の初めに、最初に、始まりに、開始時に
alphabet:アルファベット(英: alphabet)は、ひとつひとつの文字が原則としてひとつの子音または母音という音素をあらわす表音文字の一種であり、また、それを伝統的な配列で並べたものをいう。「アルファベット」という語は、ギリシア文字の最初の2文字 α, β の読み方である「アルファ」、「ベータ」に由来する。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
Colorado University:コロラド大学ボルダー校(英語: University of Colorado at Boulder)は、米国コロラド州ボルダー市に本部を置くアメリカ合衆国の州立大学である。1876年に設置された。コロラド大学システムの大学としては、他に、コロラド大学デンバー校(CUデンバー)とコロラド大学コロラドスプリング校(CUCS)がある。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
initial:頭文字
affect:作用する、影響を与える、影響を及ぼす
chance:運、運命、チャンス、好機、機会、可能性、見込み、勝ち目、勝算、偶然
near:近い、近くにある、接近した、近接した
disadvantage:不利な状態、不利な立場 不都合、不便、不利益、損失、損害

assume:仮定する、想定する、推測する、~と思い込む、~と見なす、~を前提とする、~を当然と思う
assume that:当然~だと思う、
young age:若い時、小さい頃、幼い頃
you know:ご存じでしょうが・当たり前ですが・あのね・ところで・いいかい・~ですよね・えー・ほら・~じゃない
Sorry to:~してすみません、~して申し訳なく思う、~して悪いのですが
sound:~に聞こえる、~に思われる
patronise:(ここでは)上に立った態度を取る、恩着せがましい態度をとる、見下すような態度をとる
particular:特定の、個別の、特有の、特別な
order:(ここでは)順、順序、順番
either:~も~しない
seriously:真面目な話だが、本当のところ、冗談抜きに、マジで
not really know:よく分からない、よく分かっていない
establish:(ここでは)確立する
例文become widely established:広く確立する、定着する
family name:姓、名字、家名
at a disadvantage:不利に、不利な立場で、不利な立場にある
get into:足を踏み入れる、取り上げる、議論する、到着する
例文get into a discussion with:~と討議を始める
come from:~から来る、伝来する、~に由来する、源を~に発する
early:初期に、早期に
form:形、外形、姿、外形、種、種類、型、タイプ、形態
Ancient:古代の、古い、太古からの
we refer to the English alphabet as having Roman characters:(havingの訳は文脈からの推測。合っているのか不明)
refer to ~ as:~を…と呼ぶ
例文refer to someone as the devil:人を悪魔呼ばわりする
例文refer to ~ as regrettable incidents:~を嘆かわしい事件であると言う
Roman character:ローマ字
go with:(ここでは)~を選ぶ、選択する
have the answer:解答にたどり着く
Fry’s English Delight:Fry's English Delight is a BBC Radio 4 documentary series in which language enthusiast Stephen Fry explores various aspects of the English language. The title is an allusion to the British confectionery Fry's Turkish Delight.(英語版Wikipediaより)(タイトル訳は適当)
Delight:楽しみ、楽しいこと、歓喜、大喜び
feature:(ここでは)主要なもの、呼び物、目玉商品、メイン記事、特集記事
have a impact on:~に影響を与える、及ぼす、もたらす
negative:否定の、拒否の、反対の、悪い、嫌な、良くない
school life:学校生活
all those years ago:(辞書的には、ジョージ・ハリスンの曲「過ぎ去りし日々」としか出てこない。訳は意味合いを推測して。)
参考all these years:長年、この数年
at the beginning of:~の初めに
take the register:(文脈的に、これは「出席を取る」という意味のはずだが、辞書的には見つからず)
register:記録、登録、一覧表、記録簿、名簿
call:呼ぶ、名付ける
roll call:出席確認、点呼
例文start with a roll call:出欠をとって始まる 
call out a name:名前を呼ぶ
the names to the students:(音声はtoになっている気が)
check:検査する、確認する、照合する
according to:~によれば、~の言うところによれば、~に言わせると
ironically:皮肉にも
Jeffrey Zax:Department of Economics コロラド大のサイトはこちら
further down:(下記の参考からの推測)
参考further down an article:記事を読み進めば
参考further down the river:川をずっと下った所に
list:リスト、一覧表、目録、名簿
例文a boarding list:乗客名簿
be less noticed:あまり気付かれることがない、注目されることがない
notice:分かる、気付く、配慮する、丁重に扱う
people:(なぜstudentではなくpeopleという単語を使うのだろう?)
pay attention:注意する、注目する、注意を払う
例文pay attention in class:授業をちゃんと聞く、授業に集中する
proceed:開始する、継続する、進展する、進む、前進する
first:(ここでは)まず最初に、第一に、そもそも、まず
no longer:もはや~でない
have need to:~する必要がある
take ~ seriously:~を真面目に受け止める、真剣に考える、話を真面目に聞く、重要視する、真に受ける
attention:注意、留意、注目
wander:歩き回る、ぶらつく、さまよう、迷う、横道にそれる、とりとめがなくなる
例文My mind wandered. : ぼんやりしてたよ
as well:おまけに、その上、なお
make one's way:前進する
make one's way through:~の間を歩く、進む、前進する、~を通り抜ける
例文make one's way through a thicket:雑木林を通り抜ける
somehow:どういうわけか、どうにかして、何とかして、ともかくも、何らかの形で
intensity:強烈さ、激しさ、強度、真剣さ、熱心さ
engagement:(ここでは)関与、従事、関わり
diminish:減少する、小さくなる、下落する、落ちる、衰える、減退する
have a lot to do with:~によるところが大きい、に大きな関わりがある
concentrate on:~に集中する、~に注意を向ける
quiet:静かな、静粛な
first names:(これも「最初の」と限ると狭いので「最初の方」にした)
first:一番早い、最初の
any more:それ以上、もはや、今さら、今は、今後は
lose interest in:~への関心がなくなる、~への興味を失う
come next:~の次に来る、次に起こる、~に続く
distracted:気を散らされた、ボーッとして、気がそぞろで、気を取られて、注意散漫で
focus:焦点に合わせる、集中させる
by the end of:~の終わりまでに
例文by the end of high school:高校を終える頃には
relationship:関係、関係性、結び付き、関わり合い
describe:述べる、言い表す、記述する、説明する、描写する、表現する
get weak:弱体化する、衰える、弱る、衰弱する
strength:力、強さ
communication:やりとり、連絡、伝達、情報、意思疎通、共感、感情的つながり
level of:(ここでは)水準、度合い、レベル
enthusiasm:熱中、熱狂、熱烈な興味、熱意、意気込み、意欲、情熱
例文lead with enthusiasm:熱心に指導する
be involved:関与している、関わっている、巻き込まれる
subtly:微妙に
throughout:~の至る所で、~の初めから終わりまで、~の間中ずっと
less likely to:~する傾向が弱い、可能性が低い、~になりにくい、あまり~しそうにない
enjoy:楽しいと感じる、味わう、満喫する、楽しむ
course:課程、講座
graduate:卒業する、学位を得る
graduate from:卒業する
apply:(ここでは)申し込む、応募する、申請する、出願する、志願する
例文apply for college:大学に入学を志願する
more likely to:~する可能性が高い、~する傾向が強い、~しがちである
drop out:(ここでは)退学する、中退する、落ちこぼれる
first job:最初の仕事
例文first job out of college:大学を卒業して初めて就いた職
occupation:職業、仕事
例文in a blue-collar occupation:ブルーカラーの仕事に就いている
pay:支払う、代金を払う
military:軍隊、軍部
prestige:敬意、尊敬、名声、高い評判、信望、威信、著名、評判、栄光
successful:上出来な、上首尾の、成功した
academically:学究的に、学問的に、学力的に
leave the course:講座の受講を途中でやめる
finish:終える、片付ける、仕上げる、済ます、卒業する
例文finish college:大学を卒業する
例文finish one's graduate study:大学院を修了する
find a job:職を探す、仕事見つける、就職する
status:地位、立場、ステータス
desirable:望ましい、好ましい、価値のある、魅力がある
have done OK:(まぁ、こんな意味合いだろう)
Indeed:本当に、実に、まったく、確かに
guess:推測する、推定する、言い当てる、~だと思う
apply to:適合する、当てはまる、適用される
Right:なるほど・そうなんだ・へ~・(文頭で)さて、それでは
well before:~よりかなり前に、にはまだ間がある
remind oneself of:~を思い出そうとする
get an answer:答えを得る、回答を得る、返事をもらう:
Pretty sure:~にまず間違いないと思う
A 'B', actually. :(次の文とのつながりが分からない。「B」に何か意味が?)
well done:うまい、お見事
phrase:言い回し、言葉、語句、表現、フレーズ
another way of saying:別の言い方
interaction:交流、意思の疎通、相互作用、相互関係
come at:達する、到達する、やって来る、向かってくる
find:出会う、見つける、気付く、理解する、~だと感じる、経験する
leave:(ここでは)やめる、卒業する、退学する
respect:尊敬、敬意
p07p317w
「早生まれはスポーツ選手になりにくい」に似た、興味深い話でした。出席番号が早いと当てられる回数が多い気はしますが。