6 Minute English
Working for free
EPISODE 191017 / 17 OCT 2019



[前書き]

企業の中には、学生や新卒者にインターンシップと呼ばれるものを実施しているところもあります。それは長期の就業体験で、実際の契約は交わさず、多くの場合は賃金さえ払われず、フルタイムで働き続けることが出来ます。しかしそれは、一部の所得が低い人たちは提供されている機会に応じることが出来ないという意味なのでしょうか? 番組では無償で働くことへの賛否を議論します。

[台本]

サム:こんにちは、この番組は6 Minute English.私はサムです。

ロブ:そして僕はロブ。

サム:初めて就職する前に、ロブ、何か就業体験をしましたか?

ロブ:多分、幾つかの会社で一日か二日はしたかもしれない。ただついて回って、皆さんがどんな風にしているか見てただけ。それ以上というのはやってないね。

サム:企業の中には、学生や新卒者にいわゆるインターンシップを提供しているところもあります。これは長期間の就業体験で、そこでは実際の契約なしで、多くの場合は賃金の支払いもなしで、フルタイムで働き続けることが出来ます。

ロブ:ああそうだね。これはちょっと問題じゃないかな? 一部の企業は学生や新卒者を低賃金もしくは無償の労働力として使っていることで非難されている。

サム:ええ。それへの反論は、インターンシップは「本当の」就職ができる前にそれを必要としている人には役立つ体験だ、というものですが。ともかく、この話題については今週のクイズ質問の後でもう少し検討します。商売や企業の話と言えば、世界で最古の証券取引所はどれでしょうか? それは、

A: ボンベイ
B: ニューヨーク
C: アムステルダム

あなたはどう思いますか、ロブ。

ロブ:難しいね。だって、ここにはロンドンが入ると思ってたよ。だから当てずっぽうでアムステルダムにしよう。

サム:分かりました。では、正解は番組の後ほど明かしましょう。ジェームズ・ターナーは教育慈善団体の最高責任者です。最近彼はBBCのラジオ番組「あなたと家族と」でインターンシップがテーマの討議に参加しました。彼の考えでは、無報酬インターンシップの何が大問題なのでしょう?

ジェームズ・ターナー サットン・トラスト最高責任者
多くの職業について、今の私たちはこう考えています。若い人がその分野で最初のフルタイムの仕事に就く可能性がある前にインターンシップをすることがまるで期待されていることであるかのように。そしてそのことの問題点は、ある種の社会的流動性の観点から言えば、そうしたインターンシップのかなり大きな割合は無報酬であり、またそれは無償で働く余裕がない人達を実質的に排除しているのです。

サム:では、無給のインターンシップは何が問題なのでしょう、ロブ?

ロブ:えー、もしタダで働く余裕がないと、それがインターンシップをすることをとても困難にする。とりわけロンドンのような物価高の都市では。このことは多く人をインターンシップの恩恵から締め出す、つまり排除するのだ。

サム:これは社会的流動性にとって良くありません。それは、人々が社会の中で賃金がより高額な、もっと良い地位に移る可能性のこと。つまり、貧しいほど良い仕事にありつくのが困難になりかねません。たとえその人に能力があったとしても。

ロブ:あなたはここロンドンでタダで働く余裕はありますか、サム?

サム:いいえ、現状でも金銭的にロンドンで暮らしていくのはやっとです。ですから無報酬でインターンシップをするという考えは、私には全然魅力的じゃありません。ターナーは続けて、それもインターンシップ課程で問題があるその他の論点について話しています。

ジェームズ・ターナー サットン・トラスト最高責任者
インターンシップはあまりに度々、その職業に確立された人脈がある人が利用できるようになっています。それがまた若者たちを排除しているのです。彼らのためにそうした扉を開けられる人脈豊富な家族や友人を持っていない若者たちを。

サム:で、そうした他の問題点とは何でしょうか?

ロブ:多くの事例で、彼曰く、インターンシップの機会は、その企業や業界に確立されたコネがある人だけが利用可能なんだ。その意味は、そういう人は企業と既存のつながりがあると言うこと。例えば、家族や友達の家族を通じて。

サム:ええ。ずいぶんと楽でしょう。もし自分の家族が有力者を知っていれば。もし家族が特定の企業や、その会社の重要人物とたくさんの接点やつながりを持っていれば。

ロブ:そうしたつながりが、機会への門戸を開くことを容易にする。門戸を開くとは、そこ参入するという意味の表現だ。

サム:つまりどうやら、無給のインターンシップをすることが出来るには、かなりのお金を持っている必要があり、また、そもそもインターンシップを獲得するには家族の人脈を通じてその企業への事前のつながりがあることが必要かもしれません。例えばですが。

ロブ:なのでこの制度はどうも、貧しい家庭の人には困難であり、また、そうした資金や人脈を持たない学生が職業の梯子を登ることを一層困難にしているようなんだ。ここで、ジェームズ・ターナーの再登場だ。

ジェームズ・ターナー サットン・トラスト最高責任者
余りに頻繁にインターンシップは、その職業に確立された人脈がある人に対して開かれています。それがまた、若者たちを除外しているのです。彼らのためにそうした扉を開けられる縁故に恵まれた家族や友人を持っていない若者たちを。

サム:さて、もう今週の質問に回答するお時間です。どこが世界で最古の証券取引所でしょうか? それは、

A: ボンベイ
B: ニューヨーク
C: アムステルダム

ロブ、あなたは何て言いましたか?

ロブ:僕はアムステルダムにしたよ。

サム:お見事です。それが正解。正解した皆さんにはおめでとう。そして、もし年代を知っているのなら、追加のボーナス得点ですが、ロブ?

ロブ:ヒントなしだ! 1750年?

サム:実は、ずいぶん早くて1602年です。

ロブ:わぁ、思っていたよりずっと早いね。

サム:それでは、今日の語彙をもう一度見てみましょう。私たちは'internship'について話して来ました。それは、学生や新卒者が特定の分野で経験を得る手段として企業で働く期間のこと。

ロブ:それが無報酬だと、'social mobility'を非常に困難にする恐れがある。それは、低い社会的階級から高いところへの移動のこと。それが困難なのは、貧しい志望者にはタダで働く余裕がないからだ。

サム:ええ。費用がその人たちを'rule out'する。つまり彼らをチャンスから締め出します。

ロブ:役に立つのは、会社と'established'な人脈がある場合だ。これが指しているのは、ある会社との事前の、あるいは前から存在するつながりのこと。

サム:そしてまた、あなたの家族が'well-connected'なら、つまり良いコネがある、例えばあなたのお父さんがCEOとゴルフをしているのなら、'open door'することができます。言い換えれば、その企業で働き始めることを容易にできます。

ロブ:で、サム。君には広い人脈があるのかな?

サム:いいえ、スマホとだけです!

ロブ:僕もご同様だ。でも、それでも僕らはBBC Learning Englishにたどり着いた。それに皆さんはネット、ソーシャルメディア、そしてアプリでもっと多くの物を我々から見つけられます。でも差し当たり、6 Minute Englishからは以上です。またすぐにお会いしましょう。バイバイ!

サム:皆さんさようなら!

[ノート]

for free:無料で、無償で

offer:申し出る、提示する、提供する、用意する、提案する
recent graduate:新卒者、新規卒業者
what they call:いわゆる
internship:インターンシップ(英: internship)とは、特定の職の経験を積むために、企業や組織において労働に従事している期間のこと。 商人・職人のための徒弟制度と似ているが、標準化や監査などはされていないため、指すところの内容は様々である。略称として、インターンとも呼ばれる。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
extended period:長期間
work experience:就労経験、実務経験、就業体験、労働体験
can be working:(下記の参考から)
参考He can be studying all night.:彼は一晩中勉強し続けることができる。
参考can be doing:~をし続けることができる
full-time:全時間の、終日の、常勤の、正規の、専任の、全日制の
actual contract:(actualの意味は何だろう。本来のとか本物のとか?)
actual:実在の、現実の、実際の
contract:契約、協定、約定、契約書
pay:支払う、お金を払う
be on a low income:所得が低い
can't afford to:(経済的または時間的に)~する余裕がない、~するわけにはいかない
can afford to:~する能力がある、~する金銭的余裕がある、~するゆとりがある
afford:~をすることができる、~する余裕がある、買うことができる
take up:持ち上げる、取り上げる、受け入れる、応じる、取り組む、対処する
例文take up the offer:提案に乗る、申し出を受け入れる、受諾する
例文take up the challenge:挑戦に応じる
opportunity:良い機会、好機、チャンス
it offers:(itは何だろう?)
pros and cons of:~についての賛否

get one's first job:最初の仕事に就く、初めて就職する
shadow:後をつける、尾行する
nothing much more than that.:(訳に自信なし。文脈から憶測)
nothing more than:~にすぎない、~でしかない
much more than:~よりはるかに多くの
a bit of a problem:やや問題である
problem:問題、課題、問題点
be accused of:~で告訴されている、~を非難される、の罪に問われる
accuse:責める、非難する、告訴する
cheap labour:安い労働力、低賃金労働力
labour:仕事、労働者、労働力
although:~ではあるが、~だけれども、もっとも~だけれども
counterargument:反論
valuable:役立つ、有益な、有効な、価値のある、重要な、貴重な
get a job:職に就く、仕事を得る
real:実在する、存在する、現実の、実際の、本物の
look at:目を向ける、見る、注目する、調べる、考察する、検討する、~について考える
topic:主題、題目、テーマ、話題、話の種
On the topic of:(訳に自信なし。文脈からの憶測)
business:業種、職種、業界、ビジネス、会社、企業、事業所、商取引、ビジネス、商売
company:会社、企業、商社、法人
stock exchange:証券取引所、株式取引
Bombay:ムンバイはインドの西海岸に面するマハーラーシュトラ州、ムンバイ市街県の都市。同州の州都である。インド最大の都市。1995年、ヒンドゥー至上主義の極右政党シヴ・セーナー(SS)が主導したことにより、英語での公式名称がボンベイ (Bombay) から、現地語(マラーティー語)での名称にもとづくムンバイへと変更された。2016年2月、英紙インディペンデントは「極右が望む言い方のため」という理由で旧称ボンベイに戻すことを、同紙アモル・ラジャン編集長がBBCラジオで発表した。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
Amsterdam:アムステルダムは、オランダの北ホラント州の基礎自治体(ヘメーンテ)であり、オランダ最大の都市である。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
参考:アムステルダムの証券取引所は、世界で最古の証券取引所であると考えられている。1602年、かつて有価証券を取引するために設立された取引所の名称を変更の上、オランダ東インド会社によって、株券や債券を売買するために設立された。「Beurs van Berlage」の呼称で、ダム広場に近いダムラック通り沿いに長く位置してきた。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
Tricky:狡猾な、油断ならない、慎重を要する、扱いにくい、手の込んだ、巧妙な
例文tricky problem:ひねった問題、微妙な問題
例文tricky assignment:難しい仕事
expect:予期する、期待する
list:リスト、一覧表、目録
take a guess:当てずっぽうを言う、推量をする、見当を付ける
then:その次に、それから、次に、その結果、ひいては、それでは、そうだから、それゆえ、従って
reveal:公開する、明らかにする、暴露する、さらけ出す
James Turner:本人のtwitter
chief executive:最高責任者
education:教育
charity:慈善、施し、義援金、慈善団体、慈善基金、慈善事業
take part in:参加する、出場する、加わる
discussion:話し合い、議論、討議
You and Yours:あなたとあなたの家族や親しい友人・you and the people in your family or the people you care about(番組名の訳は適当)
You and Yours:is a British radio consumer affairs programme, broadcast on BBC Radio 4.(英語版wikipediaより)
big issue:大問題
issue:問題、問題点、論点、争点
unpaid:無給の、無報酬の、未払いの
The Sutton Trust:The Sutton Trust is an educational charity in the United Kingdom which aims to improve social mobility and address educational disadvantage.(英語版Wikipediaより)サイトはこちら
career:職業、専門的職業、経歴、職歴、キャリア
see:~と見る、考える、見なす
almost as an expectation:(「まるで」は、そっちの方が訳文の意味が分かりやすいかと考えて選択)
almost:ほとんど、ほぼ、もう少しで
例文think of ~ almost as:~をほとんど…であるかのように考える
expectation:予想、期待、切望、待望、期待されるもの、待望される対象
stand a chance of:~の可能性がある、~の見込みがある
in that profession.:(「分野」は、職という言葉が繰り返されるのを避けるために意訳)
profession:専門的職業、職業、専門職
issue with:に関する問題
sort of:多少、いくらか、幾分、ある程度、やや、~のようなもの、~みたいな、~めいた、一種の、いわば
social mobility:社会的流動性、社会的移動性
point of view:視点、観点、見方、見解、考え方
例文from academic point of view:学術的観点からすれば
substantial proportion of:~のかなり大きな割合
substantial:(ここでは)かなりの、相当な
effectively:効果的に、有効に、効率的に、事実上、実質的に
rule out:無視する、除外する、排除する、除外する、認めない、阻止する、妨げる
particularly:特に、とりわけ
expensive:費用のかかる、高くつく、高価な、値段が高い
例文most expensive city in the world:世界一物価が高い都市
exclude:排除する、締め出す、除く、除外する
benefit:便益、恩恵、利益
ability:力量、手腕、能力、才能、技量
例文skeptical about someone's ability to:~する可能性については懐疑的である
move to:~に移動する、~に引っ越す、~に移転する
level:高さ、高度、深さ、地位、階級、段階、水準、度合い、レベル
Could you afford to:(訳に自信なし。Couldはどうすればいいのか?)
could you do:~していただけますか
I can barely afford to live in London as it is:(訳に自信なし。afford toの入れ方と、as it isの意味。)
can barely:~するのがやっとである、ほとんど~られない
例文can barely stand up:立ち上がるのがやっとだ
例文can barely think about anything else:他のことがほとんど何も考えられない
barely:やっと~する、ほとんど~ない
as it is:ところが実際は、そのままに、しかし実情は、現状でも、今のままでも、そのままで
appeal:(ここでは)引き付ける、魅力がある
go on to:~に進む、~に進学する、~に取り掛かる、次に~する
problematic:問題のある、解決の難しい、疑わしい
program:予定、計画、日程、課程、スケジュール、カリキュラム
Too often:あまりに頻繁に、あまりに何度も
be open to:開かれている、利用できる、門戸が開かれている
例文open to all people:誰でも利用できる、全てに人に門戸を開いている
established:確立した、確立された、認められた、立証済みの、制定された、定評のある、定着した
connection:つながり、連結、結合、関係、人脈、コネ
well-connected:良いコネがある、良い縁故に恵まれた、有力者を知っている、人脈豊富な
open the door for:門戸を開く、道を開く、可能にする、機会を与える
industry:工業、産業、製造業、~産業、産業界
pre-existing:既存の、前から存在する
link:輪、絆、関連性、関係
well-connected:良いコネがある、良い縁故に恵まれた、有力者を知っている、人脈豊富な
a lot:大いに、かなり、ずいぶん
contact:接触、接点、つながり、コネクション、関係、交際、交流
particular:特定の、個別の、固有の、特有の、特別な
expression:言い回し、言い方、語句、表現
get access to:~にアクセスする、~に接近する、参入する
a fair bit:かなり
例文make a fair bit of noise:かなり大きな音を立てる
in the first place:まず第一に、最初に、そもそも
previous:前の、事前の、先の、以前の
例文previous agreement:事前の合意
system:系、系統、体系、制度、手順、秩序
resource:援助、資金、資力、資産、財産
get on:~の上にのぼらせる、~の上にのぼる、うまくいく、成功する、進行する、進歩する、先に進む
ladder:梯子、踏み台、地位
Right:なるほど・そうなんだ・へ~・(文頭で)さて、それでは:
go for:(ここでは)選ぶ、決める
Well done:お見事
go right:うまくいく
extra:余分な、必要以上の、追加の、割増の
bonus:おまけ、賞与、特別手当
date:日付、年月日、年代
clue:手掛かり、ヒント
actually:実際に、本当に、本当は、実は、実のところ
have a look at:~をちょっと見る、ちらっと見る
period:(ここでは)期間、時期
get experience:経験を得る、身につける
field:(ここでは)領域、分野
movement from to:~から~への移動
candidate:候補者、志望者、志願者、受験者
cost:費用、経費、原価
refer to:指す
CEO=chief executive officer:最高経営責任者
in other words:言い換えれば
get into:(ここでは)入る、働き始める
Same here:こっちも同じで
make it to:~に間に合う、~に出席する、~に参加する、~に達する、~へ到達する、~までたどり着く
例文make it to safety:安全な場所まで何とかたどり着く
for now:当面、差し当たり、今のところ、ひとまず
that’s all:それがすべてだ、それで終わりだ、それだけです、以上です
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高給なインターンなんていうのも出てきているみたいですけど。