AS IT IS
Looking Back on Britain’s European Journey
January 31, 2020
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2月が始まると、英国はもはや欧州連合(EU)の一員ではない。英国のEUからの離脱が実現するのは、この国の有権者が連合から離れる事を決めてから3年半後のことだ。

ニュース報道ではブレグジットとして知られるこの動きは、62年続いている政治・経済の協力関係の歴史において最大の問題の一つだった。

英国は決してEUの完全な加盟国ではなかった。同国には常に独自の通貨があったが、それでもこの国がEUを離脱するとは、誰も本当には信じていなかった。しかしこの考えは英国の保守党内で大きくなって行った。同党にはEU加盟国であることに反対する人たちの小さなグループがあった。

2016年にデイヴィッド・キャメロン首相はこの問題に決着をつけたいとして、全国での国民投票を行うことに同意した。多くの人は、彼はこの案を否決したがっていると考えていた。

そうはならなかった。2016年に有権者の過半数によって離脱が決まり、英国の政界に衝撃を与えた。離別の詳細を取り決めるのに何年もかかり、英国の人たちは今も国民投票の日と同じように分裂している。

ロンドン市には100万人以上のEU市民が住んでいる。この地の人々は大差で連合にとどまる方に投票した。ロンドン市長のサディク・カーンは、この決定を人種差別や反移民の迫害の増加と結び付けた。彼は、英国の首都は「真の…欧州都市」であり続けるだろうと述べた。

「私たちはこれからも世界中の人々を歓迎します。その人々の肌が何色でも、パスポートが何色でも、国旗が何色でも(それに構うことなく)」と彼は言い加えた。、

連合王国(U.K.)の人たちは、すぐにはわずかな変化しか気づかないだろう。英国とEUには11か月間の「移行」期間がある。その期間中、同国は引き続きEUの規則に従い、その間に貿易や安全保障、その他の問題に関する新たな協定をまとめるのだ。それはどれも困難そうだ。

多くの人々がブレグジットを祝っている。しかし、そもそも英国にとって加入するのがいかに困難であったかを覚えている人はわずかだ。第二次世界大戦後、英国の世界帝国は死に瀕し、その経済は悪化していた。1957年、同国は大陸欧州に目を向けた。そこでは新たに設立された欧州経済共同体(EEC)が産業や投資を生み出していた。

1960年代、英国政府はEU加盟を推進したが、二度にわたりフランスのシャルル・ドゴール大統領によって阻止された。彼には拒否権があったのだ。

フランスが占領されていた時、ドゴールは戦争の大半をロンドンで過ごした。彼はEECの加盟国に対し、英国には欧州に対する「根深い…敵対心」があり、それは当時「共同市場」と呼ばれていたものの終焉をもたらしかねないと警告した。彼は、苦境の時に英国は欧州の隣人たちよりも必ず合衆国に同調するだろうことを懸念していた。

このフランス人は1973年まで英国をEUから締め出していた。英国の政党はいずれも、現在EUと呼ばれているものに加入する決定に同意した。英国政府は貿易、安全保障、その他の分野に関しEUを優位とする法や規則に従うことになる。

間もなく、3月に英国の政治家たちは新たな協定の交渉を始める時に、こうした規制から自国を離脱させる作業を開始するだろう。既に、それが容易にできるようには思われない。

英国のボリス・ジョンソン首相政権は、合衆国との自由貿易協定だけでなく、EUとの協定を取りまとめることを望んでいる。それは多くの英国人には不評なようだ。アメリカの食品安全の問題や医薬品の価格に関する疑義や懸念がすでに持ち上がっている。

それでも、依然として英国にとってブレグジットの方が良い未来だと確信している人々もいる。

フランスからわずか32キロのところにあるイギリスの港町ドーバーでは、定年退職したフィリップ・バリーが新しい現実を歓迎していた。

「私の予想では、道のりに小さな凸凹の一つや二つはあるかもしれませんが、最後には平らになるでしょう」と彼は話している。「誰かがかつて言っていました。短期的には痛みでも、長期的には利益になると」。

スーザン・シャンドでした。

[ノート]
look back on:回想する、追憶する、振り返る

withdrawal:撤退、退会、脱退、退学、離脱
come:来る、着く、届く、起こる、降りかかる、なる
voter:投票者、有権者
leave:離れる、後にする、去る、別れる
issue:問題、問題点、論点、争点
partnership:提携、共同、協力、協調、結び付き、相互関係、パートナーシップ
member:一員、成員、メンバー
national currency:国の通貨
but no one actually believed it would ever leave the EU.:(actuallyとeverの訳し方が不明)
grow:成長する、育つ、大きくなる、増える、増大する
oppose:反対する
membership:会員であること、会員の身分
David Cameron:デイヴィッド・ウィリアム・ドナルド・キャメロン(1966年10月9日 ‐ )は、イギリスの元政治家。イギリス首相(第75代)、保守党党首(第26代)。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
agree to:同意する、合意する、承諾する
hold a referendum:国民投票を行う
nationwide:全国的な
settle:解決する、終わらせる、まとまる、決定する、確定する、決着する
例文settle a discussion:議論を決着させる、討論にけりをつける]
kill:殺す、葬る、始末する、否決する、没にする
例文kill a bill:議案を否決する
shock:びっくりさせる、ショックを与える
class:階級、階層
work out:成し遂げる、実現する、解決する、考え出す、案出する、ひねり出す、仕上げる、練り上げる、編み出す、計画する
work out details:詳細を詰める、取り決める
break-up:分裂、分解、解散、離散、別離、破局、絶縁、絶交
divided:分けられた、分かれた、分断された、分離した
by a large majority:大差で
Sadiq Khan:サディク・アマーン・カーン(Sadiq Aman Khan、1970年10月8日 - )はイギリス労働党の政治家で下院(庶民院)議員。 政治思想的には緩やかな社会民主主義に位置する。ロンドン市長選に当選し、欧州連合加盟国の首都の市長に当選した初のイスラム教徒である。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
rise in:~の増加
racist:人種差別主義者、人種差別論者
anti-immigrant:反移民の、移民排斥の
abuse:虐待、迫害
remain:とどまる、残る、滞在する、~のままでいる
truly:全く、本当に、真に
without concern for:~への配慮なしに、~を気にせずに、~はどうあれ
national flag:国旗
United Kingdom:連合王国
notice:分かる、気付く
immediately:すぐに、すぐさま、早急に、即座に
transition:推移、変遷、移行
follow rule:規則に従う、規則を守る
organize:組織する、整頓する、体系化する、まとめる
agreement:同意、合意、契約、取り決め、協定、協約
security:安全保障
It is all likely to be difficult.:(訳に自信なし。「全くもって困難そう」みたいな強意かも。)
likely to:~しそうである、~する可能性が高い、~の見込みだ
in the first place:まず第一に、最初に、そもそも
worldwide empire:世界に領土を持つ帝国
dying:死にかけている、死にひんした
fail:失敗する、破産する、破綻する
参考failing economy:後退しつつある経済
参考failing company:業績が悪化している企業
look over at:~の方を見る
create:作り出す、開発する、生み出す
European Economic Community (EEC):欧州経済共同体は、1957年に設立された、ベルギー、フランス、ドイツ、イタリア、ルクセンブルク、オランダとの間での経済統合を実現することを目的とする国際機関。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
bring in:もたらす、生じさせる
industry:工業、産業、製造業
investment:投資
push:推し進める、後押しする、人に無理強いする、人に強要する、強いて~させる、
Charles de Gaulle:シャルル・ド・ゴール(Charles de Gaulle、1890年11月22日 - 1970年11月9日)は、フランスの陸軍軍人、政治家。フランス第18代大統領。第二次世界大戦で本国失陥後、ロンドンにロレーヌ十字の自由フランスを樹立しレジスタンスと共闘した。臨時政府で最初の首相となり、1959年には大統領に就任した(第五共和政)。任期中アルジェリアの独立を承認し、フランスを核武装させ、北大西洋条約機構の軍事機構からの脱退などを実現した。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
veto power:拒否権
例文have veto power:拒否権を持つ
under occupation:占領下にある
hostility:敵意、敵対心、反抗
bring about:もたらす、引き起こす
then:その時、当時
common market:共同市場
worry:心配する、気をもむ、気になる、気掛かりである
in times of trouble:苦境の時、困った時
agree with:同意する、賛成する、合意する
over:(ここでは)~よりも
例文choose beauty over life:命よりも美を選ぶ、優先する
neighbor:隣人
keep A out of:Aを遠ざけておく、入るのを防ぐ、締め出す
political party:政党
laws and the rules of the EU’s leadership:(leadershipの訳に自信なし)
leadership:指導者の地位、指導、統率、指揮、指導力、統率力
例文world competitive leadership:国際競争優位
work:労働、仕事、研究、作業、労力
pull out of:抜け出す、撤退する、脱する、脱却する、手を引く、撤退する、離脱する
regulation:規制、規則
negotiate:交渉する、協議する、折り合いをつける
Already, it does not appear it will be easy.:(Already,の訳に自信なし)
appear:~のように見える、~と思われる、どうやら~らしい
Boris Johnson:アレグザンダー・ボリス・ド・フェファル・ジョンソン(Alexander Boris de Pfeffel Johnson, , 1964年6月19日 - )は、イギリスの政治家。イギリス首相(第77代)、保守党党首(第28代)、ジャーナリスト、歴史家。2019年7月23日に保守党党首に選出され、翌7月24日に首相に就任。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
negotiate a deal with:との契約をまとめる、協定をまとめる
as well as:AもBも、AおよびB、BだけでなくAも
unpopular with:~に人気がない、不評である、嫌われている
Briton:英国人、イギリス人
question:質問、疑問、問い、論題、論点、課題、疑い、疑義
worry:不安、心配、気掛かり、気苦労、懸念、憂慮
food-safety:食品安全の
Still others remain certain that Brexit holds a better future for Britain.:(訳に自信なし)
certain:確信している、疑いを持たない、必ず~する
hold:維持する、保持する、持続する
retiree:退職者
expectation:予想、期待、待望
bump:突起、隆起、凸凹、へこみ
in the end:最後には、結局は
even out:平らになる、安定する、一定になる
short-term pain:短期間の痛み
long-term gain:長期の利益

関連する日本語での報道をいくつか紹介しておきます。
まず日経新聞から、

次いでBBC日本語版から、

最後にAFP-BBから、