AS IT IS
US Supreme Court’s ‘Next Big Thing’: the Telephone
April 25, 2020
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合衆国の主席判事であるジョン・ロバーツは2014年にこう話している。裁判所は技術的な「次の大きな変化」のことになると、いつも慎重になると。そして、合衆国の最高裁判所がある物を使うことにようやく合意するには、世界的なパンデミックが必要だった。こともあろうにそれは、電話だ。

5月に、裁判所の面々は初めて議論を電話を利用して聞くことになる。公共テレビ局のC-SPANが、議論の音声を放送する予定になっている。「生」で。

クレア・クシュマンは最高裁判所歴史協会で出版部門の責任者をしている。彼女は電話を使うという決定を、伝統に固執する場所にとっては「大きな飛躍」だと評した。しかし彼女はこうも指摘している。アメリカや他国の裁判所のどれほど多くが現在、ビデオ会議を使用しているかを考えると、電話で議論を聞くというのは幾分遅れていると。

1971年まで、最高裁判所では文書を送るのにエアシューターが使われていた。それは、1800年代の後半に郵便物や書類、その他も物をオフィス間で搬送するのに人気があったものだ。裁判所では、1980年代の前半には、文書を印刷するのにいまだにライノタイプが使用されていた。他のところではデスクトップコンピュータで印刷されていたのに。

わずか2年前に、最高裁は文書をインターネット上で閲覧できるようにした。他の裁判所からはかなり遅れてのことだ。

コロナウイルス危機が起きる以前、最高裁の裁判官は伝達事項や意見の交換を文書で行っていた。とはいえ、9人の裁判官たちの多くは、その内6人は65歳以上ではあるが、私生活では現代的な技術を活用している様子である。

エレナ・ケイガン判事はソーシャルメディアのツイッターを使っていると話している。サミュエル・アリート判事は準備書面をアップルのiPadで読んでいると述べている。ソニア・ソトマイヨール判事は健康状態を監視する電子的なセンサーを身に着けている。そしてニール・ゴーサッチ判事とブレット・カバノー判事には父親に宛ててテキストメッセージを送っているであろう、幼い子供がいる。

今月、81歳のスティーブン・ブライヤー判事は、ニューヨークのある学校の学生と会話するためにビデオ会議システムの「ズーム」を利用した。ルース・ベイダー・ギンズバーグ判事は裁判所で最高齢の判事で87歳だが、彼女はeメールをiPhoneで読んでいる。そして彼女は、眠りにつくのを助けるために、もう一つ別のアップル製品を音楽用機器として使っているとかつて人に話している。

それでも、5月の6日間、電話を通じて議論を聞くという決定は、2か月前には想像もできない事だった。この変化は、COVID-19という病気の蔓延を遅らせるために多くの人々が集まることを制限しようとする一つの取り組みだ。

今年、最高裁で係争中の訴訟には、ドナルド・トランプ大統領が自身の税や財務記録を秘密にしようとした件が含まれている。最高裁はまた、選挙人団の人たちは、大統領選挙において自分の州で勝利した立候補者に投票しなければならないのかどうかについても審問する予定だ。

裁判所が電話を使うことに意欲的なのは短期間しか続かないかもしれない。しかし、裁判所の更なる公開性を求める人たちは、パンデミック以降もこれが継続することを期待している。

メリッサ・マリーはニューヨーク大学ロースクールの法学教授だ。彼女によれば、生放送の音声は、合衆国政府の第三の部門が機能しているのを監視する能力をアメリカ市民に与えるものだ。彼女はこう言い加えた。「何故それを望まないのか、私にはわかりません」。

スティーブン・ディラードはジョージア州の控訴裁判所に勤務している。彼は裁判所の公開性を支持しており、AP通信社にこう話している。「これは素晴らしい第一歩で、私は興奮しています。ただ、裁判所が近い将来に一段と踏み込み、生のビデオ・ストリーミングを許可することを期待しています」。

ジョナサン・エバンスでした。

[ノート]
US Supreme Court’s ‘Next Big Thing’: the Telephone:合衆国最高裁判所の「次の大きなこと」:それは電話(タイトル訳は改変)

Chief Justice:裁判長、主席判事、長官
John Roberts:ジョン・グローバー・ロバーツ・ジュニア(John Glover Roberts, Jr. 1955年1月27日 - )は、ジョージ・ウォーカー・ブッシュ大統領によって2005年に任命された、第17代アメリカ合衆国最高裁判所首席判事(最高裁長官に相当)である。ロバーツは最高裁長官就任前コロンビア特別区巡回区連邦控訴裁判所の判事を務め、それ以前は14年間の法律事務所勤務、司法省勤務に加えてレーガン政権時代のホワイトハウス法律顧問をも務めている。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
court:裁判所
careful:注意深い、気を付ける、用心深い
when it comes to:~のことになると、~に関して言えば
“the next big thing”:(「変化」は意訳)
the next big thing:次なる目玉
big thing:一大事、大事なこと
Supreme Court:最高裁判所
finally:最後に、やっと、ようやく、ついに、とうとう
agree:同意する、合意する、賛成する、承諾する
of all things:事もあろうに、よりによって、何よりもまず
argument:議論、討論、討議
Public television service C-SPAN:C-SPAN(Cable-Satellite Public Affairs Network)はアメリカ合衆国議会を中心に、政治を専門とするケーブルチャンネルのことである。C-SPANは1979年3月19日に開局。主に議会中継や、一般教書演説や民主党全国大会、共和党全国大会などの生中継行事、アーカイブなどが中心である。本部は首都のワシントンD.C.にある。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
Clare Cushman:この人
director:指導者、管理者、監督者、重役、取締役、理事、校長、所長、会長、局長、部長
publication:出版、発行、公表、発表、公開、公告、広報、公布
the Supreme Court Historical Society:The Supreme Court Historical Society is a private, nonprofit organization dedicated to preserving and communicating the history of the U.S. Supreme Court. The Supreme Court Historical Society's headquarters is the Opperman House and can be found at 224 East Capitol Street in Washington, D.C.(英語版Wikipediaより)(団体名の訳は適当)
giant leap forward:大きな飛躍、大きな前進
stick to:~にこだわる、~に固執する、しがみつく、~を守る
tradition:伝統、しきたり、慣習、習わし
somewhat:少々、やや、幾分、ちょっと、多少
backward:逆の、後方へ、逆行の、後進的な、遅れている、退歩して、退化して
given:~と仮定すると、~を考えると、考慮すると、~を前提として
how much:どれほど、どれだけ
the country and other courts:(「この国と他国」で合っているのか自信なし)
video conferencing:テレビ会議、ビデオ会議.
pneumatic tube:気送管(きそうかん)或いはエアシューター、エアシュートとは、筒状の容器を管の中に入れ、圧縮空気もしくは真空圧を利用して輸送する手段である。病院、オフィスビル、宿泊施設等で使用されており、検体・薬品・書類・宿泊料等の輸送に使われている。なお、エアシューター、エアシュート共に和製英語であり、1953年に上野工業株式会社(現:株式会社日本シューター)が出願した商標「エアーシューター」(登録第441450号)が広まったとの説がある。英語ではpneumatic tube(ニューマチック・チューブ)などと呼ばれる。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
document:公文書、記録文書、文書、書類
popular:人気がある、評判が良い
ship:輸送する、出荷する、発送する
papers:文書、書類
Linotype machine:ライノタイプは、キーボードを打鍵する事によって、活字母を並べてそれを鋳型とし、それに溶けた鉛を流し込んで、新聞などの印刷版型を作成する装置である。単語や空白から成る横一行を丸ごと活字にする事が出来る。かつては印刷所などにあった。ライノタイプという名称は、Line of type (一行の活字)を省略したものである。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
early:初頭、初め、前半
high court:最高裁判所
available:利用できる、入手できる、得られる
well after other courts.:('well after'の訳が合っているのか自信なし)
well:(ここでは)相当に、ずいぶんと、ずっと、かなり
after:<副詞>あとで、のちに、その後
justice:裁判官、判事
exchange:交換する、やりとりする
message:伝達、連絡、伝言
opinion:意見、私見
Yet:けれども、それにもかかわらず、ではあるが、それでも
appear to:~するように見える、思われる、様子だ
in someone's own life:個人的な生活面では
Elena Kagan:エレナ・ケイガン(英: Elena Kagan、1960年4月28日 - )は、アメリカ合衆国の裁判官、法律家。現在はアメリカ合衆国連邦最高裁判所・陪席判事を務める。ケイガンは、女性として4人目のアメリカ合衆国連邦最高裁判所・判事である。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
Samuel Alito:サミュエル・アンソニー・アリートJr(英: Samuel Anthony Alito, Jr.、1950年4月1日 - )は、アメリカ合衆国の裁判官、検察官、法律家。現在はアメリカ合衆国連邦最高裁判所・陪席判事を務める。宗教はカトリック。尊敬する判事は、最高裁で共に判事を務めたアントニン・スカリアである。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
describe:述べる、言い表す、記述する、説明する
legal brief:弁論趣意書、訴訟事件摘要書、準備書面
Sonia Sotomayor:ソニア・ソトマイヨール (Sonia Sotomayor、1954年6月25日 - )は、合衆国最高裁判所の陪席判事。2009年8月8日に就任した。最高裁判所でのソトマイヨールは、ヒスパニック系の祖先を持つ初めての判事であり、また3人目の女性判事でもある。ソトマイヨールはリベラルな判断傾向を持つ他、同僚のジョン・ロバーツ首席判事とエレナ・ケイガン陪席判事と並んで、最高裁判所では比較的若い判事である。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
keep watch over:~を見張る、~を監視する、警戒するする、~に目を光らせる
Neil Gorsuch:ニール・マギル・ゴーサッチ(英語: Neil McGill Gorsuch, 1967年8月29日[2] - )は、アメリカ合衆国の裁判官。合衆国最高裁判所陪席判事。アメリカ合衆国司法次官補、連邦第10巡回区控訴裁判所判事を歴任した。アメリカ合衆国憲法の解釈では原意主義、司法条文主義の立場を採る。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
Brett Kavanaugh:ブレット・カバノー (英: Brett Kavanaugh、1965年2月12日 - ) は、アメリカ合衆国の法律家、裁判官。2018年7月9日にドナルド・トランプ大統領から連邦最高裁判所陪席判事に指名された。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
be expected to:~と期待されている、~するはずだ、見込まれる、予想される
Stephen Breyer:スティーブン・ブライヤー(Steven Breyer, 1938年8月15日 - ) は合衆国最高裁判所の陪席判事であり、1994年8月3日に就任した。ハーバード・ロー・スクールでは、1967年から1994年までの間に教員、助教授、教授を歴任した。最高裁判所でのブライヤーはリベラルな判断を下すことが多い。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
Zoom:Zoomビデオコミュニケーションズ(英: Zoom Video Communications, Inc.)は、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンノゼに本社をおく企業である。通称はZoom(ズーム)。クラウドコンピューティングを使用したWeb会議サービスを提供する。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
Ruth Bader Ginsburg:ルース・ベイダー・ギンズバーグ(Ruth Bader Ginsburg、1933年3月15日 - )はアメリカ合衆国最高裁判所の判事。ビル・クリントン大統領から1993年に指名された。現在連邦最高裁に3人いる女性判事の一人である。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
via:~を通って、~を経由して
unimaginable:想像できない、想像を絶する、考えられない
effort:努力、試み、取り組み
limit:限定する、制限する
large gathering of people:多くの人々の集まり:
spread:広がること、発散、展開、普及、まん延
disease:病気、疾患
COVID-19:新型コロナウイルス2019による急性呼吸器疾患(しんがたコロナウイルス2019によるきゅうせいこきゅうきしっかん、英: Coronavirus disease 2019, COVID-19〈コビッド19〉)は、2019新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)がヒトに感染することによって発症するウイルス性呼吸器疾患である。日本では「新型コロナウイルス感染症」とも呼ばれ、感染症法に基づいて強制入院などの措置を取ることができる指定感染症(二類感染症相当)に指定された。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
in the case before the court:係争中の事件において、裁判で争っている事件において
hear:(ここでは)聴取する、審問する
Electoral College:選挙人団
参考:選挙人団(せんきょにんだん、electoral college)は、選挙に参加する権限を有する集団、候補者を選任する権限を持つ有権者のグループを言う。アメリカ合衆国大統領選挙において、各州が選出する選挙人団が、現代の選挙人団として一番著名である。アメリカ合衆国の大統領は、有権者である国民が選出する選挙人団(アメリカ選挙人団)の投票により選出される。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
vote for:~に賛成の投票をする、~に賛成票を投じる
candidate:候補者、立候補者
presidential election:大統領選挙
willingness:意欲、いとわずにすること、乗り気であること、やる気、意志
openness:開示性、開放性
Melissa Murray:この人
law professor:法律学の教授
New York University School of Law:ニューヨーク大学・ロー・スクール (New York University School of Law) は、ニューヨーク州ニューヨーク市にあるニューヨーク大学のロー・スクールである。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
ability:力量、手腕、能力
observe:よく見る、観察する、見学する、監視する、観測する
the third branch of the U.S. government at work:('at work'の訳に自信なし。「職場で監視することを可能にする」かもしれない。)
branch:部門、分野、支店
at work:働いて、仕事をして、活動中で、機能して、稼働して、会社で、職場で
Stephen Dillard:Stephen Louis Armstrong Dillard (born November 13, 1969 in Nashville, Tennessee) is an appellate court judge and lecturer. In 2010, he was appointed to fill a vacant judgeship on the Georgia Court of Appeals. In 2012, he was elected to a full six-year term. His current term will end in 2024.(英語版Wikipediaより)
serve on:の一員である、委員を務める
Georgia:ジョージア州は、アメリカ合衆国の南東部にある州。州都はアトランタ市で、人口で州内最大の都市でもある。1776年にアメリカ独立宣言をした13州の1つである。コカ・コーラやCNN、アフラックの本社などがあることでも知られている。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
Court of Appeals:控訴裁判所、上告裁判所
go further:さらに~する、さらに推し進める、一段と踏み込む
in years to come:あと何年か先に、近い将来、今後、将来
allow:許す、許可する

関連する日本語の記事を二本、紹介しておきます。
時事通信の記事、

日経新聞の記事、

日本の最高裁がどうしているのか気になるところです。