EDUCATION
Students of Color Face Challenges in STEM
December 19, 2020
1B20E220


ドミニク(彼女の本名ではない)は、電気工学の博士過程に在籍している黒人の学生だ。彼女は、気が付けば会議で困った状況に陥っていた。

ある白人男性は傍にいる黒人女性をホテルの清掃員だと思い、テーブルを拭いてくれと彼女に頼んだ。女性は頼まれたことをしたが、同時に、自分は会議の主発表者であるとも男性に告げた。男性は申し訳ないとは言わず、その女性がどうやって二つの仕事を持つことができるかについて冗談を言った。

同じテーブルにいた白人たちは、ドミニクを見て彼女がそのジョークを受け入れるのを待っていた。彼女にはその用意が出来ていなかったが、笑っているかのように振る舞った。他の人達も笑ったが、彼女には彼らが本当に笑っているように思えた。

レオン(彼も本名ではない)は黒人で、コンピュータ科学の博士課程の学生だ。彼は来訪する女性教授を空港まで車で迎えに行った。彼は電話では彼女と何度も話したことがあったが、レオンが教授に近づくと彼女は後ずさりして、彼の指導教員に連絡して彼の身元を確認するよう要求した。

エビニー・O・マギーはヴァンダービルト大学で多様性について教えている。彼女によれば、こうした話はありふれている。STEM分野における構造的な人種差別に関する過去10年にわたる研究で、彼女はこうした話を300件ほど収集した。STEMとは、科学、技術、工学、数学のことだ。こうした出来事の結果、彼女曰く、多くの黒人やヒスパニックの学生がSTEMの分野から離れて行っている。

固定観念への対処

マギーによれば、学生たちは多くの労力をいわゆる「固定観念への対処」に費やしている。これは、彼らがそのアイデンティティのために直面する不公正で不正確な信念に対応するために、具体的な行動を起こさなければならないという意味だ。

こうした学生は、彼女によれば白人主体のSTEMコミュニティに対処しなければならない。そこでは、彼らは未熟で機会を受けるに値しないと見なされているのだ。、

マギーは、こうした固定観念は黒人やヒスパニックの学生に成功するより強い動機や、時には彼らがやっていることでトップになる動機をも与えていることに気付いた。彼らは、自分たちがSTEM分野にいる価値がないという考え方を覆したいのだ。

固定観念対処には、あるものを披露することが含まれている場合がある。例えば高い点数のSTEMのテストを、他の人が見るように机の上に放置するとか。

何らかの物事を隠しておくという場合もある。一部の黒人学生は、自分の子供のことを隠していたと報告している。黒人のシングルマザーに関する固定観念を避けるためだ。マギーによれば、STEMの教授の中にはそうした学生と一緒に仕事をしたがらない人もいる。彼らは、そうした学生は子供がいない学生に比べて研究室で仕事をする時間が少ししかないと誤って信じているのだ。

STEM教育に関する最近の著書の中で彼女はこう書いている。このことが多大な気力を必要とし、創造的であるのに役立つリソースを使ってしまう。固定観念対処への余分な注意のせいで彼らは心や体の健康に問題を引き起こす場合があると。

そのことが、彼らがSTEMから離れていく原因となる。研究によれば、黒人やヒスパニックの学生は、白人学生に比べ2倍近い割合でこの分野を辞めている。

いかにして助けるか

マギーは、その答えは、もっと多くの有色人種の学生が大学のウェブサイトやその他の媒体で紹介されることではないと話している。高等教育は学生の大学での経験、彼らの幸福、そして他の人達が彼らをどう見ているかに、もっと注意を払わなければならない。彼女によれば、もっと留意されるべきは有色人種の学生がなぜこれほど多く辞めていくのかという理由よりも、彼らがSTEMの課程に留まる理由の方だ。

マギーの今後のプロジェクトの一つは学生が自らのSTEM事業を立ち上げることだ。彼女曰く、「そうすれば黒人の人達はこうした白人企業に仕事を乞うことを止め、自分たち独自の、いわばエコシステムを生み出すことが出来ます」。

ジル・ロビンスでした。

[ノート]

electrical engineering:電気工学
doctoral student:博士課程の学生
find oneself in a difficult situation:自分自身が困難な状況に入り込んだことに気付く
conference:会議
nearby:すぐ近くの、手近な、近所の
cleaner:掃除人
main:主要な、主な、中心的な
speaker:演説家、演説者、弁士
make a joke:冗談を言う、軽口をたたく
approve of:~を認める、~を承認する、~に賛成する、~を正しいと判定する
例文approve of a mistake:ミスを容認する、よしとする
prepare for:~の準備をする
act as if:かのように振る舞う
laughter:笑い声
sound:~に聞こえる、~に思われる
real:本物の、偽物でない
pick up:車で拾う、車で迎えに行く
visiting:訪問の、見舞いの
approach:近づく、接近する、近寄る
back away:後ずさりする、後退する
doctoral adviser:博士課程の指導教員
confirm the identity of:本人であることを確認する.
Ebony O. McGee:大学のサイトより
diversity:多様性、さまざまな種類
Vanderbilt University:ヴァンダービルト大学(英語: Vanderbilt University)は、米国テネシー州ナッシュビル市に本部を置くアメリカ合衆国の私立大学である。1873年に設置された。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
structural:構造物の、構造的な
racism:人種差別、人種差別主義
STEM:科学・技術・工学・数学、理系
field:領域、分野
incident:出来事、事件
Manage:(ここでは)手なずける、あしらう、対処する、やりくりする、やりこなす
例文manage stress:ストレスに対処する
stereotype:ステレオタイプ、紋切り型、固定観念、既成概念
spend energy:エネルギーを注ぐ、労力を費やす
so-called:いわゆる
take a specific action:具体的行動を取る、起こす
deal with:取り組む、解決しようとする、対処する、処置する
unfair:不公正な、公正を欠いた、不公平な、ずるい、不正な、不当な
untrue:虚偽の、真実でない、不誠実な、不正確な
belief:考え、意見、信念
face:ぶつかる、直面する、降りかかる
as a result of:~の結果として
identity:正体、身元、素性、個性、自己、アイデンティティ
mainly:主に、大部分は、主として
unskilled:未熟練の、熟達していない
undeserving:値しない
reason:理由、動機、原因、根拠
succeed:成功する
at times:時々、折々、時たま、時には
disprove:~に反証する、~が誤りであることを証明する
worthy:~に値する、~するに足りる
involve:含む
put ~ on display:~を展示する、陳列する
certain:ある、例の
leave:残す、置きっぱなしにする、置き忘れる、そのままにしておく、放っておく
test score:テストの成績
keep hidden about:~について秘密にしておく
avoid:避ける、回避する、~ないようにする
mistakenly:誤って~する、間違って~する
laboratory:研究所、研究室
parent:親
take energy:気力を必要とする、エネルギーを必要とする
resource:底力、資質、資源、資力、国力
extra attention:特別な注意
cause a problem:問題の原因となる、問題を引き起こす
physical health:身体の健康
lead to:通じる、つながる、~を引き起こす、~の原因となる
at the rate of:~の割合で、速度で
nearly:ほぼ、大体、近くで
color:(ここでは)有色人種、黒人
featured on:~で特集される、紹介される、取り上げられる
publication:出版、公表、発表、広報
Higher education:高等教育
well-being:健康で安心なこと、満足できる生活状態、福祉、福利、幸福
view:考える、評価する、見なす
program:講義要目、課程、学習計画
future:未来の、将来の、今後の
create a business:ビジネスを生み出す、事業を始める
folk:人々
beg:せがむ、乞う、懇願する、請い願う