HEALTH & LIFESTYLE
One U.S. City Has More Drug Deaths Than COVID Deaths
December 28, 2020


コロナの陰に隠れがちな、アメリカにおけるオピオイドの問題とナルカンという救命薬を取り上げた記事。

So far this year in San Francisco, 621 people have died of drug overdoses. This is a record. It is also far greater than the number of COVID-19 deaths in the California city. As of December 27, that number is 182.(今年これまでに、サンフランシスコでは薬物の過剰摂取で621人が死亡している。これは最高記録だ。この人数はまた、カリフォルニア市におけるCOVID-19による死亡者数よりもはるかに多い。 12月27日現在、その数は182人だ。)

The main cause of the crisis is the powerful painkiller fentanyl. But the number of overdoses would be far higher without the use of an overdose-reversing medication called Narcan. The drug can be sprayed up the nose to quickly bring someone out of an overdose.(危機の主な原因は、強力な鎮痛剤のフェンタニルだ。しかし、過剰摂取の人数はナルカンという過剰摂取拮抗薬の使用がなければ、もっとずっと多かっただろう。この薬は鼻にスプレーすることで、その人を過剰摂取からすばやく抜け出させることができる。)

The medication was used nearly 3,000 times from January to mid-November to save overdose victims, the San Francisco Chronicle and Associated Press reported.(この薬剤は、過剰摂取の被害者を救うために1月から11月中旬までの間に3,000回近く使用されたと、サンフランシスコ・クロニクルとAP通信が報じている。)

Last year, San Francisco reported 441 overdose deaths, a 70 percent increase from 2018. And 2019 saw 2,610 possible overdoses prevented by Narcan.(昨年、サンフランシスコでは過剰摂取による死亡が441人報告されており、2018年から70%増加している。そして2019年には、ナルカンによって回避された過剰摂取の可能性がある事例が2,610件あった。)

People who use Narcan are urged to report to DOPE on the number of times they use the drug on overdose victims. The group also records the number of times people return to the program to refill their supply of Narcan.(ナルカンを使用した人は、過剰摂取の被害者にこの薬を使用した回数をDOPEに報告するよう要請されている。このグループはまた、ナルカンの在庫を補充するためにプログラムに人々が戻ってきた回数も記録している。)

訳注:DOPEとは Drug Overdose Prevention and Education Project(薬物の過剰摂取防止および教育プロジェクト)のこと

Because the information is largely self-reported, the actual numbers are thought to be higher.(情報の大部分は自己申告であるため、実際の数はもっと多いと考えられている。)

関連する日本語の報道を二つ紹介します。朝日新聞GLOBE+というサイトの2018年の記事ですが、

ナルカンに関する記述の箇所を抜き出すと、
フェンタニルとは合成オピオイドの一種で、モルヒネの50~100倍強力とされる。「問題は、コカインやヘロインを使っている人も、フェンタニルが混ぜられたものを使っていることだ。ヘロインよりずっと強力で、呼吸困難になって死亡率が高まる」。救急隊員は、オピオイドの過剰摂取の患者に「ナルカン(Narcan)」と呼ばれるスプレー式の応急薬を使う。バトラーは「ヘロインの過剰摂取ではナルカン1、2本で足りるが、フェンタニルは7、8本必要になる」と話す。
もう一つ、Techinsightというサイトから、

一部引用すると、
オクラホマ州バートルズビル警察署で危険ドラッグを処理していたのはジム・ ウォーリィング(Jim Warring)巡査部長で、薬物は6日に行われた交通取り締まり中に押収されたものだった。ウォーリング氏はゴム手袋をはめて薬物を袋詰めする作業をしていたが、露出していた腕の皮膚から薬物が浸透し、そのまま意識を失ったようだ。
この日、押収されたのは覚せい剤「メタンフェタミン」に合成オピオイド「フェンタニル」が混ぜ込まれたもので、ウォーリング氏の異変にいち早く気づいた同僚がオピオイド拮抗薬「ナルカン」を投与し、病院に搬送した。



AS IT IS
Chinese Citizen Journalist Jailed for Virus Reporting
December 28, 2020


コロナウイルス問題で中国政府を批判した市民ジャーナリストが有罪判決を受けたという記事。

Chinese citizen journalist Zhang Zhan has been sentenced to four years in jail for her reports on the COVID-19 crisis in Wuhan, China.(中国の市民ジャーナリストZhangZhanは、中国の武漢のCOVID-19危機について報道したために、懲役4年の刑を言い渡された。)

Zhang’s lawyer confirmed the punishment on Monday. The jail sentence comes almost a year after details of an “unknown viral pneumonia” first came out of the central Chinese city.(Zhangの弁護士は月曜日に処罰を確認した。この実刑判決が下されたのは、「未知のウイルス性肺炎」の詳細が中国中部の都市で初めて明らかにされてからほぼ1年後のことだ。)

Zhang, a former lawyer, was sentenced at a short hearing in a Shanghai court. She was charged with starting “quarrels and provoking trouble" for her reporting in the early part of the health crisis.(元弁護士のZhangは、上海の法廷で行われた短い審理で判決を受けた。彼女は健康危機の初期に彼女の報道によって「口論や人を怒らせるような混乱」を起こした罪で起訴された。)

Zhang’s live reports and writings were widely shared on social media in February. They got the attention of Chinese officials, who have so far punished eight virus informers.(Zhangの生中継や著作物は2月にソーシャルメディア上で広く共有された。それは中国当局の注目を集めることとなった。当局はこれまでにウイルスの関する通報者を8人処罰している。)

She was critical of the early response in Wuhan, writing in February that the government "didn't give people enough information, then simply locked down the city.”(彼女は武漢での初期対応に批判的であり、2月にこう書いている。政府は「人々に十分な情報を提供せず、その後ただ都市を封鎖した」と。)

Concerns are growing over Zhang’s health. The 37-year-old began a hunger strike in June. She has been force-fed through a tube in her nose.(Zhangの健康への懸念が高まっている。この37歳の女性は6月にハンガーストライキを開始した。彼女は鼻のチューブを通して強制的に栄養を与えられている。)

関連する日本語での報道を二つ紹介します。BBC日本語版から、

一部引用すると、
中国人権擁護者ネットワーク(CHRD)によると、張氏は5月14日に行方不明になった。翌日、640キロメートル離れた上海の警察に拘束されていることが明らかにされた。
張氏は11月に正式に起訴された。起訴状によると、張氏は「テキスト、ビデオ、その他のメディアで、微信(ウィーチャット)、ツイッター、ユーチューブを通して偽の情報」を送った容疑がかけられていた。
また、外国メディアのインタビューに応じ、武漢市の新型ウイルスに関する情報を「悪意をもって広めた」とされた。求刑は懲役4~5年だった。
張氏は昨年も、香港の活動家への支援を表明したとして拘束されたことがある。
もう一つ、CNN.co.jpから、

一部引用すると、
元弁護士の張氏は今年2月初めに上海から武漢へ移動し、当局が報道規制を強めるなかで現地の状況を取材。患者であふれかえる病院やロックダウン(都市封鎖)下の市民生活などの記事と写真、動画を、中国の対話アプリ「微信(ウィーチャット)」、中国政府が接続を遮断している「ツイッター」「ユーチューブ」などに投稿した。
(中略)
新型ウイルス感染拡大をめぐる報道で市民ジャーナリストが量刑を言い渡されたのは初めてとみられる。だが北京の英大使館によると、中国ではほかに少なくとも46人のジャーナリストが拘束され、行方が分からなくなっている。
「行方が分からなくなっている」というのが怖すぎます。



AS IT IS
Dogs Ease Loneliness for Older Americans Separated by Coronavirus
December 25, 2020


アメリカの老人介護施設で活用されている犬セラピーに関する記事。

Over the last nine months, Eileen Nagle has kept in touch with her family through video calls and drive-by visits. But the 79-year-old misses human contact and warm hugs since the coronavirus crisis led her nursing home to close to visitors.(過去9か月間、Eileen Nagleはビデオ通話や車で立ち寄る訪問を通じて家族と連絡を取り合ってきた。しかし、この79歳の女性は人との触れ合いや暖かな抱擁の機会を失っている。それはコロナウイルス危機のために彼女の介護施設が訪問者に対して閉ざされたためだ。)

Enter Zeus.[訳出来ず]

“Zeus is a friendly little snowball, very happy,” Nagle said after the small white dog visited her room at the Hebrew Home in The Bronx, New York City.(「Zeusは人懐こい小さな雪だるまで、とても幸せそうです」。ニューヨーク市のブロンクスにあるHebrew Homeの彼女の部屋を小さな白い犬が訪れた後、Nagleはそう言った。)

“Petting and playing with the dogs breaks up the day and gets you to forget about yourself for a while,” Nagle added.(「犬を撫でたり犬と遊んだりすると、暇がつぶれて、しばらくの間自分のことを忘れさせてくれます」とNagleは付け加えた。)

The Hebrew Home has had a pet therapy program for 20 years. Little Zeus and a much bigger dog, Marley the Great Dane, are the current program members. The activities department is adding two new dogs to the program. The hope is to give residents more playful and loving contact with the animals.(Hebrew Homeでは20年間にわたりペットセラピー活動を行ってきた。小さなZeusとはるかに大きな犬、グレートデーンのMarleyが現在の活動メンバーだ。この取り組みを担当している部門は、活動に2匹の新しい犬を追加することにしている。その願いは、より遊び心のある愛情のこもった動物との接触を住人に提供することだ。)

Reingold explains that the dogs must be able to follow simple commands and behave well around machines and medical equipment.(Reingold氏の説明によれば、犬は簡単な指示に従い、装置や医療機器の周りで行儀よくできなければならない。)

Cats are also used in the pet therapy program - but only robotic ones. The Hebrew Home has several lifelike robotic cats that make noises as residents hold and pet them.(猫もまたペットセラピー活動で活用されている。しかし、猫のロボットだけだ。Hebrew Homeには本物そっくりのロボット猫が何匹かいて、住人が抱きかかえたり撫でたりすると鳴き声を出す。)

最後のパラグラフはつまり、ネコは簡単な指示に従わないし医療機器の周りで行儀よくできないという意味ですね。そりゃまぁそうでしょう。



AS IT IS
Rights Groups Concerned Over Safety of Eritrean Refugees in Ethiopia
December 24, 2020


エチオピアにおけるエリトリア難民の状況を伝える記事。

Reports of attacks on Eritrean refugees in Ethiopia’s Tigray area are causing concern among human rights groups.(エチオピアのティグレ地域でのエリトリア難民への攻撃の報告は、人権団体の間で懸念を引き起こしている。)

About 96,000 Eritrean refugees lived in four camps in Tigray before the conflict started in November. Many fled to Sudan or to other parts of the country including the capital Addis Ababa.(11月に紛争が始まる前は、約9万6,000人のエリトリア難民がティグレにある4つのキャンプに住んでいた。その多くはスーダンか、もしくは首都アディスアベバを含むエチオピアの他の地域に避難した。)

アメリカの上院議員の発言は、

“We are deeply concerned by reports of Eritrean refugees in Tigray being killed, abducted and forcibly returned to Eritrea by Eritrean forces, as well as disturbing reports that some trying to reach safer areas are being prevented from leaving,” the senators said.(「我々は、ティグレのエリトリア難民がエリトリア軍によって殺害され、誘拐され、エリトリアに強制的に戻されたという報告を強く懸念している。また、より安全な地域に到達しようとする人々の一部が出て行くことを妨げられているという憂慮すべき報告についても同様だ」と上院議員は述べている。)

支援団体の担当者によれば、

Refugee International’s Miller said the conditions in refugee camps in Tigray have become very bad and there are shortages of necessities.(Refugee InternationalのMillerは、ティグレの難民キャンプの状況は非常に悪化しており、必需品が不足していると述べている。)

“The U.N. has been reporting very low, low supply of food, medical supplies, fuel,” she said. “There’s very little resources that refugees would have to survive which is why we’re seeing so many starting to leave the camps.”(「国連は、食料、医療用品、燃料の供給が極めて乏しいことを報告している」と彼女は述べている。 「難民が生きていくために必要な物資がほとんどなく、そのため、多くの人々がキャンプを去り始めているのが確認されています」。)

Miller said officials should permit those fleeing on foot to do so safely.(Miller氏は、当局は徒歩で避難している人が安全にそうできるように許可すべきだと述べている。)

関連する日本語での報道を紹介します。AFP-BBから、




SCIENCE & TECHNOLOGY
How COVID-19 Vaccines Developed in Record Time
December 23, 2020


コロナウイルスのワクチン開発が記録的な速さで行われている背景を解説する記事。

mRNA technology(mRNAテクノロジー)

American drug-maker Pfizer is one of the largest companies in the world. Moderna is a small biotech company that has not brought any product to the market.(アメリカの製薬会社ファイザーは、世界最大の企業の1つだ。一方、モデルナ社は製品を市場に投入したことがない小さなバイオテクノロジー企業である。)

But the two drug-makers have one thing in common. They both used a technology called messenger RNA, or mRNA, to develop the vaccines in record time.(しかし、この2つの製薬会社には共通点が一つある。両社は共にメッセンジャーRNA、またはmRNAと呼ばれる技術を使って記録的な速さでワクチンを開発したのだ。)

Research behind the technology(技術の背後にある研究)

No mRNA vaccine has been approved to treat people until now. But research on the technology started nearly 30 years ago.(これまで、mRNAワクチンが人を治療するために承認されたことはない。しかし、この技術の研究は30年近く前から始まっている。)

In 1990, University of Pennsylvania scientist Katalin Kariko proposed using mRNA technology in gene therapy. At the time, the technology was difficult to work with. When she injected lab mice with the genetic material, some died.(1990年、ペンシルベニア大学の科学者Katalin Karikoは、遺伝子治療にmRNA技術を使用することを提案した。当時、この技術を扱うことは困難だった。彼女が実験用マウスに遺伝物質を注射したとき、その一部は死亡した。)

Kariko worked with colleague Drew Weissman. They made an important discovery in 2005. They replaced one of mRNA’s four chemical building blocks with a slightly modified substance called pseudouridine. Weissman said, “We submitted that for a patent, and that was the birth of therapeutic RNA.”(Karikoは同僚のDrew Weissmanと協力し、二人は2005年に重要な発見をした。彼らは、mRNAの4つの化学的構成要素のうちの1つを、プソイドウリジンと呼ばれるわずかに修飾された物質に置き換えた。Weissmanは、「私たちはそれを特許に提出し、それが治療用RNAの誕生でした」と述べている。)

Kariko and Weissman’s findings, however, did not receive much attention until 2010. That year, Harvard University scientist Derrick Rossi used modified mRNA in his stem cell research. Rossi, along with several others, licensed the technology to establish a new biotech drug-maker called Moderna. The name is a combination of the words modified and RNA. Kariko now works for BioNTech supervising development of its mRNA product.(しかし、KarikoとWeissmanの発見は2010年まではあまり注目を集めなかった。その年、ハーバード大学の科学者Derrick Rossiが自身の幹細胞研究で修飾mRNAを使用した。Rossiは他の何人かと共に、モデルナという名の新しいバイオテクノロジー製薬会社を設立するためのこの技術の使用許可を与えた。この社名は、「修飾された(modified)」と「RNA」という単語を組み合わせたものだ。Karikoは現在、BioNTech社に勤務して同社のmRNA製品の開発を指揮している。)

関連する日本語の記事を一つ紹介します。論座RONZAから、

一部引用すると、
 カナダが新型コロナワクチンを全国民に無料で提供するという報道に対し、「すばらしい。好奇心からちょっと伺いたいのだけれど、どの国がワクチンを開発したの?」とツイートしたアメリカ共和党上院議員テッド・クルーズ氏への、テュレーン大学ウォルター・アイザックソン教授の回答である。

“Germany, by two Turkish immigrants.”
「ドイツ、二人のトルコ人移民によって」

 日本の報道では大手製薬企業ファイザーの名前に隠れているが、人類史に残るであろう、この革命的mRNAワクチンの開発を推進してきたのは、ドイツの新興バイテク企業ビオンテック(BioNTech)だ。その設立者は幼少時にトルコからドイツに移り住んだ医科学者夫妻だったことに興味をもち、関連記事を調べていると、このワクチンは、研究者の世界の「ガラスの天井」に何度も跳ね返されてきた一人のハンガリー人女性研究者による画期的発見で可能になったことを知った。

以下、ギャラリー用写真
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