6 Minute English
How green is nuclear energy?
EPISODE 211125 / 25 NOV 2021


前書き

気候変動は緊急事態と呼べる水準に達しています。最善の選択肢は再生可能エネルギーだと考える人もいれば、原子力に戻る方が良いという人もおり、彼らは、再生可能エネルギーよりも原子力の方が廃棄物が少なく、環境に優しく、信頼できると主張しています。しかし、チェルノブイリや福島での忌まわしい核の大惨事があったため、その安全性に対する疑念は残されています。ニールとサムは関連する語彙を皆さんにお教えしながら、原子力について話をします。

台本

ニール
こんにちは。この番組はBBC Learning Englishがお送りしている6 Minute Englishで、僕はニール。

サム
そして私はサムです。

ニール
冬がやって来たので、石油や天然ガスの値上がりが注目の話題となっている。

サム
そして同時に、気候変動もまた緊急事態と呼べる水準に達しており、世界の指導者たちは化石燃料の消費を減らす方策を模索しています。一部の人は最善の選択肢は再生可能エネルギーだと考えています。それは風力や太陽光といった自然エネルギーの類で、使用されるとすぐ、それに代替することができます。

ニール
原子力に戻ることを好む人もいる。彼らの主張では、その方が再生可能エネルギーよりも廃棄物が少なく、環境に優しく、信頼できるんだ。しかし、チェルノブイリや福島におけるような忌まわしい核の大惨事の後なので、その安全性に関する疑念は残されている。

サム
今回の番組で私たちは、気候に関する限り、原子力は敵なのでしょうか、味方なのでしょうかと問い掛けることで、原子力がどれほど環境に優しいのかを解き明かしていきます。

ニール
でもその前に、サム、僕のクイズ質問の時間だ。1960年代以降に建設された原子力発電所の多くが、その計画寿命の終わりに達しつつある。そして、それを更新すべきだと誰もが考えている訳ではない。2011年にある国がこう発表した。原子力からの完全な段階的廃止を行うと。その意味は、徐々に使用を停止すること。でもどの国だろうか? それは、

a) ドイツ?
b) インド? それとも
c) ブラジル?

サム
a)のドイツを選ぶことにします。

ニール
分かったよ、サム。正解は番組の後程明かそう。

サム
ニールが先ほど触れたように、気候に関して原子力の優位性がどれだけあるにせよ、多くの市民は原子力の安全性に懸念を抱いています。

ニール
おそらく、最もよく知られている核の事故が起きたのは1986年4月26日、ソビエト連邦ウクライナのチェルノブイリ原子力発電所においてだ。

サム
オランダ人記者のミリアム・ボッスンが、BBCワールドサービスの番組「実話」で何が起きたのかを回想しています。

ミリアム・ボッスン
原子力についての認識は、思うに、強いインパクトのある出来事によって、ある世代全体に形成されています。最も顕著なのはチェルノブイリの大惨事で…、私も含めてですが、この出来事についてメディアがどう報じていたか、生々しい記憶があります。また、それがどれほど恐ろしかったか。放射能を帯びた雲がウクライナから欧州に向けて漂ってくることに皆がどれほどおびえさせられたか。ですからこのことが、ある種、人々の心に深く沁みついています。そして多くの人にとってそれは…、まだ書き換えられていません。

ニール
それは恐ろしい時だった。ミリアムは、生々しい記憶があると話している。それは心の中に強烈な感情や、強く鮮明な映像を生み出すような記憶のことだ。

サム
チェルノブイリの事故は原子力に対する多くの人の考えを悪い方向に変えさせました。そしてこうした考えは深く染みついています。つまり強く抱かれ、変えることが困難です。しかしミリアムは、核の安全性に対するこうした深く染みついた人々の認識は時代遅れだと考えています。彼女の主張によれば、人的なミスによって引き起こされたこうした事故は、今日使われている最新の原子力発電所では起き得ないのです。

ニール
その上、原子力は安定的な電力の供給を生み出している。再生エネルギーとは違う。それらは風が吹いていない時や太陽が照っていない時は電気を作らないからね。

サム
ですからもしかすると原子力は、化石燃料を使わずにエネルギーを発生させる、最も地球に優しい方法かもしれません。

ニール
実は、エネルギー研究所の研究者ポール・ドーフマンによれば、そうではない。原子力発電所は海や大きな湖の傍に建てられている。それは、冷却に水が必要だからだ。ポールは、間もなく起きる海面の上昇は、エネルギーの現実的な選択肢としての原子力の終焉を意味することになるだろうと考えている。

サム
彼は、原子力の改良に投資されるお金は、その代わりに、クリーンな再生可能エネルギーの信頼性を高めるために費やす方が良いだろうと考えています。そのことは彼がBBCワールドサービスの番組「実話」で説明しているとおりです。

ポール・ドーフマン
私の考えでは重要なことは、原子力の低炭素電力という独自のセールスポイントは、原子力が気候変動の激化による最初の、そして最も著しい犠牲者の一つになるという、はるかに大局的な状況の中に位置づけられるということです。つまり、原子力は文字通り気候変動の最前線にあり、それは良い意味ではありません。なぜなら、原子力は我々の気候変動の問題に役立つことからかけ離れており、気候変動を増大させるからです。

ニール
原子力が持つ強みの一つは、それが炭素をほとんど使わずに電力を生み出すことだ。ポール・ドーフマンはこれを、その独自のセールスポイントだと呼んでいる。

サム
独自のセールスポイントは「USP」と縮められることもありますが、それをその競合相手と違わせている、あるいは競合相手より優れたものにしている何かの特徴を言い表す一般的な言い方です。

ニール
しかしそれは、海水面の上昇が原子力を非現実的な、そして危険でさえある選択肢にするという事実を変えるものではない。これが、彼が原子力を気候変動の犠牲者と呼ぶ理由だ。その意味は被害者、あるいは他の何かが起きる結果として苦しむ何かのことだ。

サム
このことは、いくつかの国々が現在原子力に背を向けて、より再生可能なエネルギー源へと向かっているのかの理由を説明するものでもあります。国々とは例えば…、そうだ、あなたのクイズ質問の答えは何だったのですか、ニール?

ニール
僕が聞いたのは、サム、どの国が原子力を使うことを徐々に止めると決めたかだ。

サム
私はa)ドイツと言いました。

ニール
それは、正解だ! 実際、ドイツの電力の約70%は現在、再生可能なものに由来している。

サム
分かりました、ニール。では、今回の番組から残りの語彙をおさらいしましょう。最初はまず何かを'phase out'するから。その意味は何かの使用をだんだんと停止すること。

ニール
'Vivid memory'とは、強烈な感情や、強い心的なイメージを作り出す記憶のこと。

サム
'ingrained'な意見や信念は、とても強く抱かれている為、変えるのが困難です。

ニール
何かの'unique selling point'もしくは'USP'は、それをそのライバルと違わせている、またライバルより優れさせている特徴のこと。

サム
そして最後に、'casualty'とは、他の何かが起きた結果苦しむ人物や物事のことです。

ニール
原子力と再生可能エネルギーを検討する今回は以上です、

サム
ではまた次回!

ニール
さようなら!

[ノート]

emergency:緊急事態、非常事態
renewable energy:再生可能エネルギー
prefer:~を好む、~する方を好む
return:返すこと、返却、返還、元に戻ること、回復、復帰、再び現れること、回帰、再来、再発
nuclear energy:核エネルギー、原子力
argue that:主張する、正当だと論じる
clean:きれいな、汚れていない、(ここでは)汚染物質を出さない、排出物が少ない
green:(ここでは)環境に優しい、地球にやさしい、環境問題意識の高い、無公害の
reliable:信頼できる、信頼性のある、頼りにできる、頼りがいのある、当てになる
that renewables:(多分thanの間違いかな)
infamous:悪名高い、評判が悪い、恥ずべき、悪評高い、忌まわしい
disaster:災害、天災、大きな不幸、大惨事、大失敗、最悪の事態
Chernobyl:チェルノブイリ原子力発電所事故(英: Chernobyl disaster)は、1986年4月26日午前1時23分(モスクワ標準時)に、ソビエト社会主義共和国連邦(旧ソ連)の構成国、ウクライナ・ソビエト社会主義共和国のチェルノブイリ原子力発電所4号炉で起きた原子力事故である。のちに決められた国際原子力事象評価尺度(INES)では深刻な事故を示すレベル7に分類された。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
question:質問、疑問、問い、質疑、論題、論点、課題、問題
remain:依然として~のままである、残っている、残存する
例文question that remains to be answered:まだ解決されていない問題

With:のために、~を理由として、〔with A B〕AがBなので
hot topic:注目の話題

look for a way to:~する方法を探す、模索する、見いだそうとする
reduce:少なくする、減らす、縮小する
consumption:消費
fossil fuel:化石燃料
renewables:再生可能なエネルギー
types of:~な種類の
natural energy:自然エネルギー
solar power:太陽光発電、ソーラー・パワー
which can be replaced as quickly as they are used.:(訳に自信なし)
replace:取り替える、差し替える、置き換える、交換する、置換する

(+than)(-that) renewables.:(音声との差異)

find out:見いだす、解明する、理解する、明らかにする、気付く、見破る、答えを出す、謎を解く、調べる、知る
when it comes to:~のことになると、~に関して言えば
friend and foe:味方と敵
foe:敵、反対者、対戦者、障害

nuclear power station:原子力発電所
planned:計画された、計画的な、計画中の
life:(ここでは)有効期限、耐用期間、寿命
announce:公表する、告知する、発表する
phase out:段階的に廃止する、徐々にやめる、次第に減らす、少しずつ取り除く
gradually:徐々に、次第に、だんだん、少しずつ
altogether:全く、全然、完全に、すっかり、まるで

go with:~を選ぶ、選択する

reveal:見せる、公開する、明らかにする、暴露する、さらけ出す

mention:触れる、言及する、述べる、話に出す、口にする
whatever:何が~しても、いかに~でも、何であれ
例文whatever danger lies ahead:どんな危険が待ち受けていようと、前途にいかなる危険があろうとも
advantage:好都合な点、強み、長所、優位
members of the public:大衆、一般人、公民、国民
concern about:~への関心、~に関する問題、~の心配、憂慮、懸念

Soviet Ukraine:ウクライナ・ソビエト社会主義共和国は、かつてウクライナに存在したソビエト社会主義共和国連邦(ソ連)の社会主義国家である。1917年12月25日に成立したウクライナ人民共和国がその祖となっており、その後、いくつかのソビエト共和国を併合し、以後1991年8月24日まで存続した。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

Dutch:オランダの、オランダ人の
journalist:ジャーナリスト、新聞記者、報道記者
Mirjam Vossen:この人?
reflect on:(ここでは)~を回顧する、反省する、省察する
例文reflect on one's experience:経験を振り返る、回顧する、回想する
BBC World Service:BBCワールドサービス(英語: BBC World Service)とは、イギリスの英国放送協会(BBC)が海外向けに放送を行っている国際放送のことである。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
The Real Story:サイトはこちら(番組名の訳は適当)
Real Story:実話、本当の話、現実の話、実際にあった話

perception:知覚、認知、認識、考え方、知見、見識、感じ方
whole generation:ある世代全ての人、ある世代の人々全体
shape:成形する、形作る、方向付ける
high impact:強い衝撃の、影響力の大きい
impact:影響、反響、衝撃
event:出来事、事件
notably:特に、とりわけ、著しく、顕著に
vivid memory:鮮やかな記憶
vivid:光り輝く、色鮮やかな、鮮明な、生き生きとした、生々しい
例文vivid dream、鮮明な夢い、生々しい夢
media:マスコミ、マスメディア
report:伝える、報道する、報じる
scary:恐ろしい、怖い、おっかない、ゾッとする
frighten:怖がらせる、おびえさせる
radioactive:放射能のある、放射能を持った
drift:漂う、漂流する、放浪する
sort of:多少、いくらか、幾分、ある程度、まあ言ってみれば~みたいな、~のようなもの、~みたいな、~めいた、一種の、いわば
ingrain:深く染み込ませる
update:改訂する、更新する、最新の状態にする

frightening:恐ろしい、ゾッとするような、ギョッとさせる
powerful feeling:強烈な感情、非常に強い感情
clear image:鮮明な画像

accident:不幸な出来事、災難、事故
opinion:意見、私見、見解、評価、考え方、見方
in a negative way:否定的に、後ろ向きな方法で、消極的なやり方で
ingrained:しっかりと植え付けられた、深く染み込んだ、染みついた、根深い
strongly held:強く心に誓った、抱いた
out-of-date:時代遅れの、古くさい、旧式の、廃れた、旧態依然の
human error:人的ミス、人為的な過誤
modern:近代の、近世の、現代的な、最新の

What’s more:その上
steady:一定の、不変の、着実な、安定した、落ち着いた
power:(ここでは)出力、電力、電源

generate:生む、起こす、発生させる、作り出す

Energy Institute:The Energy Institute (EI) is a professional organization for engineers and other professionals in energy related fields. The EI was formed in 2003 with the merger of the Institute of Petroleum (dating back to 1913) and the Institute of Energy (dating back to 1925). (英語版Wikipediaより)
Paul Dorfman:この人?
be located:位置している、~にある
cool down:冷ます、冷やす、冷却する、涼しくする
sea level:海水面、海水位、海面
例文sea level rising:海面の上昇
realistic:現実的な、実際的な、現実主義的な

He thinks money invested in nuclear upgrades would be better spent making clean renewables more reliable instead,:(訳に自信なし)
upgrade:高める、等級を上げる、上げる、向上させる、良くする、改良する、格上げする
spend:使う、費やす、浪費する
instead:代わりに、それよりむしろ、そうしないで、その代わりに、それどころか

I think the key takeaway is that nuclear’s low carbon electricity unique selling point kind of sits in the context of a much larger picture that nuclear will be one of the first and most significant casualties to ramping climate change.:(訳に自信なし)
key takeaways:覚えておいてほしいこと、重要なこと
unique selling point:独自のセールスポイント
unique:唯一の、無二の、固有の、特有の、他にない、変わった、異色の
sit in:参加する、傍聴する、出席する、腰掛ける、座る
context:文脈、前後関係、事情、背景、状況
picture:絵、像、絵画、状況、事態、概念、考え、観念、イメージ
例文see the larger picture in terms of:~を広い視野で見る、とらえる
例文lose sight of the bigger picture:大局を見失う
significant:重要な、意義深い、大きな影響を与える、大幅な、かなりの、著しい
casualty:大事故、惨事、死傷者、犠牲者、損耗人員
ramp:傾斜をつける、つりあげる
参考ramp up:増やす、増加させる、上昇させる、成長させる
literally:文字どおり、逐語的に、そっくりそのまま、本当に、まさに
on the front line of:~の最前線にある
in a good way:良い意味で
far from:~から遠くに、~から離れて、~から懸け離れている、決して~ではない
help with:~に役立つ、~を手伝う
add:加算する、足し算をする、増大する、強める

shorten:短くする、短縮する、縮める
common way:一般的な方法
describe:述べる、言い表す、記述する、説明する、表現する
feature:特徴、特性、特長、素性
different from:~と異なる、~と違う
competitor:競争相手、競技の参加者、ライバル、競合企業

fact:事実、真相、現実
unrealistic:非現実的な、実感が湧かない、ピンとこない、現実離れした
victim:被害者、犠牲者、被災者
suffer:苦しむ、苦痛を感じる、不快な経験をする

turn away from:から目を背ける、~から目を離す
turn away:背ける、向きを変える、それる、外れる
例文turn away from violence:暴力に背を向ける
energy source:エネルギー源

come from:~から来る、~に由来する、源を~に発する、~によってもたらされる

recap:
rest:残り、残っているもの、残りの部分、残余

create a mental image:心的イメージを描く、生み出す

belief:考え、意見、信念

look into:~の中を見る、~をのぞき込む、調査する、調べる、検討する
p0b57qqs
海水面が下がれば、原発は冷却水の取水に支障をきたすだろうが、上がって何か問題があるのだろうか?