As It Is
新たな調査で、女性の賃金がベストな職業、ワーストな職業が明らかに
04/04/2016

VOAのリンクはこちら→New Study Shows Best, Worst Pay for Women

アメリカ人女性で、コンピュータプログラマー、料理人、歯科医として働いている人は、同じ仕事をしている男性より所得が28%少ない。

Glassdoor社が行った新しい調査によると、これらは男女間の賃金格差が最も大きい職業となっている。Glassdoorは、カリフォルニア州で経済調査と就転職ウェブサイトを運営している企業だ。

Glassdoorの調査によると、全般的に言って女性は、同じ雇用主の元で、同じ場所で、同じ仕事をしていても、男性より5.4%所得が少ない。男女間の賃金格差は、イギリス、オーストラリア、ドイツ、フランスでも同程度である。

Glassdoorの主席研究員、アンドリュー・チェンバレンは、男女の賃金間にある5.4%は大きな格差だと主張している。なぜなら、それは男性女性が従事している職務の違いで説明できないからだ、と。

格差は女性に対する差別があるか、もしくは他に原因がないと説明できない。例えば女性が賃金について行うべき交渉を行っていないなどがある。と彼は述べている。

研究によると、以下の職業分野では女性の所得は男性に比べ15%以上少ない。: 心理学者、薬剤師、医師、眼鏡技師、パイロット、そしてゲームデザイナー。

一方、社会福祉事業、商品販売、研究補助員、physician advisors(訳出来ず)の分野では、女性の方が男性より高所得だとGlassdoorは述べている。

報告書によると、社会福祉事業では女性の所得が男性よりも7.8%高い。これは、女性の賃金優位が最も大きい職業分野だ。それでも、一部の分野で男性が28%も賃金が高いことに比べればずっと小さい。

この調査のために、Glassdoorは50万5,000人の給与の情報を利用した。それらの給与データは、Glassdoorのウェブサイトに本人によって書き込まれたものだ。

この調査の問題点の一つは、一部の職業分野ではサンプルが少ないことである。例えば報告書内で使われているコンピュータプログラマーの給与はわずか138人だ。

米国大学女性協会の調査部長キャサリーン・ヒルは、Glassdoorの調査は重要な情報を提示しているという。

同協会もまた2012年に、同じ職務についている大学卒業後一年の男女の給与を比較して同様の調査結果を発表している。調査によれば、大学卒業後一年で、女性の給与は男性より7%少なかった。

この調査結果が指し示すものは、女性は賃金に関して男性と同様には交渉していないということ。また女性は一般的に、賃金が公平に支払われているかを確認するため、同僚に「あなたはいくらもらっているのか」と聞くのが苦手ということだ、とヒルは述べている。

「女性は、互いの給料小切手の話をするより、性生活の話をしている方が快適なのです」とヒルは言う。

アメリカ国勢調査局の調査では、男女間の賃金格差は米国大学女性協会やGlassdoorの調査結果よりも大きい。

フルタイム労働者の給与で比較した場合、国勢調査局のデータでは、女性の給与は男性の79%に過ぎない。

調査報告を執筆したチェンバレンやヒルは共に、彼らの調査で賃金格差が小さかったことが、女性が差別に直面していないということではないと述べている。

チェンバレンは、5.4%の格差は彼が思っていたよりも大きく、生涯を通してみれば、賃金の格差が積み上がって結局「巨額の金」になる、と述べている。

ヒルは、国勢調査局の統計は、男女間の賃金格差に関する重要な全体像を提供する正確なものであり、また、ジェンダーギャップが減少している進歩を測定できる利用可能な唯一のデータだ、と述べている。

国勢調査局の資料によれば、1975年に女性の賃金は男性のわずか57%だった。現在は79%に上昇している。

進歩はしている、だが十分ではないとヒルは述べている。

ブルース・アルパートでした。


[ノート]
bias:傾向・先入観・偏見
as well:~した方が良い・むしろ結構なことだ
optician:光学技術者・眼鏡技師・眼鏡屋 (どれだろう? Optometrists:検眼士 という資格もあるのだが、それではないのか?)
physician advisors:(医師指導教員? 医師顧問? どういう職業かわからない)
voluntarily:自由意志で・自発的に・ 任意に
For instance:例えば
vice president:直訳すると副社長、本部長・部長・次長クラスのポジションのことを指すケースが一般的
American Association of University Women:米国大学女性協会
suggest:~しようと提案する・暗示する・示唆する・連想させる
when it comes to:~の話題になると・~のこととなると
fellow employees:職場の同僚
paycheck:給料支払小切手・給料
The U.S. Census Bureau:米国商務省国勢調査局
amount to:合計~になる・結局~という意味になる
a large amount of money:巨額の金
valid:根拠の確実な・正当な・効果的な
overview:概観・あらまし・全体像

Glassdoorについて、こちらのTHE STARTUPというウェブサイトで2014年に紹介されています(日本語です)。
賃金や仕事内容、就職面接時に受けた質問などを、社員や元社員が書き込むサイトだそうで。「食べログ」の就転職版みたいな感じでしょうか。
VOAが取り上げていたGlassdoorの調査報告を紹介します。

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表の左側が「素の賃金格差」、右側が「諸条件の違いを調整してもなお残る賃金格差」。記事中で「五か国の賃金格差は similar 」とあったのは右側の数字について、最少の豪で3.9%、最大の仏で6.3%で、まぁ同程度だという意味です。米国についてのみ少し詳しく見ると、素の格差が24.1%。そこから年齢・学歴・経験年数の差異を調整すると格差は19.2%になり(表には出ていない)、更に職務内容・雇用主・勤務場所の差異を調整すると、最後に5.4%の格差が残る、となります。まぁしかし、従事している職務内容に差があることが既に差別の結果と考えれば19.2%の格差がある、と見てもいい気もします。それなら国勢調査局の21%という数値ともほぼ一致します。
Glassdoorの調査は五か国だけが対象だったので、最後にOECDのデータを紹介します(pdf注意)。
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こちらによると、米国の賃金格差は18%ほど、日本は約27%でOECD内ワースト3位。日本より悪いのはエストニアと韓国だけになります。