As It Is
インドは英国に対し王冠を飾る宝石の返還を求めている
04/22/2016

VOAのリンクはこちら→India Wants to Recover Crown Jewel from Britain
インド政府は、極めて貴重なダイヤモンドの返還を英国に求める取り組みを開始した。

コ・イ・ヌール・ダイヤモンドは、インドが英国の植民地であった1850年に英国ビクトリア女王に献上された。ダイヤモンドは現在、王冠に取り付けられた状態でロンドン塔にある。

インドの最高裁判所において今週、コ・イ・ヌールの所有権が審理の対象となった。

ランジット・クマル法務次官は月曜、最高裁でダイヤモンドは英国に所有権があると述べた。「ダイヤは、シーク戦争への英国の援助に対する賠償として贈られたものだ」と彼は述べた。「コ・イ・ヌールは盗まれたものではない」

彼の発言は多くのインド国民にショックを与えた。

インド文化省は声明文を発表し、政府はクマル次官の見解に同意しないとした。 声明文は、政府はいわゆる「平和的な方法」でダイヤモンドの返還を求めていくとしている。

メディアの報道によれば、インド、パキスタン、イラン、アフガニスタンの各国がコ・イ・ヌールの所有権を主張しているという。近年は、四ヶ国が英国からの返還を要求している。

ダイヤモンドは、2002年に亡くなられる以前にエリザベス二世女王の母君の王冠に取り付けられた。

コ・イ・ヌールという名前はペルシャ語で「光の山」という意味である。各メディアは、このダイヤモンドには2億ドルの価値があると報じている。

アンナ・マテオでした。

[ノート]
launch:立ち上げる・発射する・開始する)・乗り出す
recover:取り返す・奪回する・見つける・発掘する
priceless:値段が付けられないほど高価な・きわめて貴重な・金で買えない
colony:植民地
Crown Jewels:王冠に付けられた宝石・極めて貴重なもの
hearing:(ここでは)法廷の審理・公判
highest court:最高裁
Solicitor General:法務次官
compensation:補償・賠償金・対価・報酬
Sikh:シーク教徒
Sikh Wars:シーク戦争またはシク戦争 1845~1846年と1848~1849年の2回にわたるイギリス東インド会社とインド北西のパンジャブ地方を支配していたシク王国(シーク教徒)との間に起った戦争。
written statement:声明書・供述書・調書
amicable:友好的な・平和的な
manner:やり方・態度・振る舞い
claim:要求する・主張する
demand:要求する・請求する
prior to:~より前に・~に先立ち

最後から二つ目のパラグラフを補足しますと、現在コ・イ・ヌールがついているのはビクトリア女王時代の王冠でなく、現エリザベス二世女王の母親であるエリザベス王太后(名前は娘と同名のエリザベス)の王冠だということです。ジョージ六世王の妻であって、彼女は女王ではありません。記事の「prior to her death in 2002.」を読むとまるで死の直前に取り付けられたようにも思えますが、王冠への取り付けは1937年、ジョージ六世の戴冠式の話です。

コ・イ・ヌールの所有権を四つの国が主張しているという記事からも分かるように、巨大なダイヤは波乱に満ちた歴史を辿っています。インドの古代叙事詩にも登場する世界で最も古い歴史物語を持つともいわれるダイヤモンド、だそうです。同ダイヤの来歴を書いたサイトを三つ紹介しておきます。
世界の有名なダイヤモンド「コ・イ・ヌール」-株式会社ヨシヨシ
コイヌール | いわき 熊谷質店
コイヌール≪呪いの宝石≪伝説の宝石
最後のサイトから文章の一部を引用します。
「コイヌールの存在について14世紀のインドに残された記録にも、「この石を持つ者は世界を手にするが、同時にすべての不運も引き受けなければならない。神と女と子供のみが、この石の災厄にふれずに身にまとうことができる」と記されています。今でも「女性にはコイヌールの呪いが効かない」と言われるゆえんでもあります。」
「コイヌールは今ではイギリス王室の持ち物ですが、女性のみが身に付けられる宝石となっています。ビクトリア女王はブローチにして胸に飾るのが好きでした。女王の死後は、アレクサンドラ王妃の王冠に飾られ、さらに1911年にはメアリー女王の王冠に、1937年にはジョージ6世の戴冠式でエリザベス女王の王冠を飾りました。今はこの時の王冠の姿でロンドン塔に展示されています。」

ほー。じゃあ、チャールズ皇太子は仮に即位しても身につけられない訳ですね。

さて、コ・イ・ヌールの返還はこれまでにも問題となっています。
SPUTNIK日本語版「英国議員 世界最大と言われたダイヤをインドに返還するよう求める」(2015.07.29)
こちらの2015年の記事中では2013年にも提起されたとの記述があります。今回の返還請求についてはCNNの記事があります。
CNN日本語版「英王冠の巨大ダイヤ、インド政府が返還求める」(2016.04.21)

次はダイヤモンドつながりで、コ・イ・ヌールを含め、世界の巨大なダイヤモンドのランキングを紹介します。
100カラット以上の有名なダイヤモンド
3106カラットの原石を九分割するって、もったいなくないのかな?

GLOBAL NOTEから「世界の天然ダイヤモンド生産量 国別ランキング・推移」を引用します。
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ダイヤを産出するのは世界で20か国程度。全体に…不安定な国が多いですね。

GD Freakから日本のダイヤ輸入のグラフを引用します。
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輸入はバブル期のピークから現在は四分の一程度に減っています。輸入元は産出上位国と重ならないので、流通を支配している貿易ハブ国があるということですね。ベルギーは昨日アップした記事でバナナの貿易でもハブでした。
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同GD Freakのデータでは、近年は日本からの輸出が増加傾向です。購買力の強い国が現れ、日本は資産の一部を売っているのかもしれません。