6 Minute English
Conspiracy theories
Episode 160519 / 19 May 2016

BBCのリンクはこちら→Conspiracy theories

あなたは、人類は本当に月に行ったと信じていますか? これは陰謀論が唱えられている様々な物事の一つです。アリスとロブはこうした言説に害がないのか、そして一部の人はなぜあらゆる物事を疑うのか議論しています。

[台本]

アリス:こんにちは、6 Minute Englishへようこそ。私はアリス…

ロブ:…そして僕はロブ。アリス、このあいだ新聞で読んだんだけど、「フッ化物」と言う物質は健康に悪い恐れがあって、でも歯磨き粉のほとんど全商品に入っているんだって、知ってた?

アリス:聞いた話を何でも信じるのは良くないわ、ロブ。フッ化物は歯を虫歯から守ってくれるのよ。

ロブ:でも、製薬会社がフッ化物を使っているのは人の脳に影響させるためだっていう説もあるよ。…それでみんな馬鹿にさせる…

アリス:そんなの馬鹿げているわ、ロブ!

ロブ:うーん…信じるべきか否か自信がないんけど、心配なんだよ。

アリス:月面着陸も、本当はなかったんじゃないかとか考えているの?

ロブ:君がその話をするなんて面白いね、なぜなら…その通り!その件も気になっているんだ…。聞いた話では、1960年代の月面着陸のテレビ映像で、アメリカ国旗がパタパタ揺れていたって。月面に空気はない。だから、あれはアメリカ政府によるでっち上げに違いない!

アリス:'To fake something'とは、何か真実でないものを事実のように見せかけること。あなたがこんなに騙されやすいとは知らなかったわ、ロブ。'gullible'とは、何かを信じるように簡単に納得させられること。

ロブ:僕は物事に疑問を感じるのが好きなだけだよ。

アリス:あぁ、そうなの…

ロブ:僕は権威に対して健全な不信を持っているのさ、アリス。そして今日、僕たちが話しているのは、陰謀論について。陰謀論とは、何かの組織やグループが秘密の計画によって状況や出来事に関与しているという信念の事。

アリス:そうした種類の不信がどの程度健全なのかの議論は番組の後ほどもっとすることにして、今はあなたの知能を今日のクイズ質問に集中させてくださいね、ロブ。アメリカの人口の何割くらいが、ジョン・F・ケネディ大統領の暗殺が単独犯によるものではないと信じているでしょう? それは… a) 6%? b) 16%? それとも c) 60%?

ロブ:b)の16%にするよ。

アリス:では、あなたの選択が正解だったかの確認は番組の後ほど。今は話を進めましょう。どのようなタイプの人が陰謀論に感受性が高い、あるいは影響を受けやすいと考えられているかについて話をしましょう。

ロブ:先入観でこうだろうと思われているのは、孤独で、おそらく男性で、中年で、コンピューターの前に座っているような人。ところが実際にはそれは事実じゃない。あらゆる年齢のあらゆる社会階層の人が陰謀論の影響を受けている。多くの人が、重要な物事が隠ぺいされているのではないかと心配している。'cover-up'とは、人々が何か重要な情報を見つけるのを妨げようと企てること。

アリス:ロンドン大学に属するゴールドスミス・カレッジ、クリス・フレンチ教授の話を聞きましょう。陰謀論を信じる人についての詳しい話です。

[挿入]
Chris French ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ、心理学教授

かなり多様な性格的な側面が陰謀論を信じることに関係しているとみられる。意外なことではないが、偏執症もその一つだ。また、新しい考えへの寛容さ、進んで常識から外れたタイプの考えを受け入れる人も関係している。陰謀論を信じる人は、超常現象も信じる傾向がある。

ロブ:クリス・フレンチ教授でした。教授によれば、偏執症は人が陰謀論を信じるようになる性格的な特質、あるいは人柄だと話しています。

アリス:偏執症とは、人が自分のことを嫌っているとか危害を加えようとしていると考える強固で合理性のない感情のことです。

ロブ:そして、'off the beaten track'な考えとは、一般的ではない、多くの人の賛同を得られない考えの事。

アリス:'paranormal'を信じるとは、科学では説明できない奇妙な事、例えば幽霊などを信じることです。

ロブ:幽霊、なるほど。君は幽霊を信じるかい、アリス?

アリス:いいえロブ、信じないわ。あなたはどう?

ロブ:まぁ、もしかしたら。

アリス:話を進めましょう。ほとんどの場合、陰謀論を信じることは全く害がないか、むしろ良い場合もあります。なぜなら、人は聞いたことを何でもただ受け入れるべきではないからです。しかし、深刻な結果になる場合もあります。その点について、フレンチ教授の話をもう少し聞きましょう。

[挿入]
Chris French ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ、心理学教授
研究によれば、人々は政治過程への関与を弱めていることがわかっている。医学に関する陰謀論を信じる人は子供にワクチンの予防接種を受けさせない傾向がある。さらにテロ活動にも関係する。 テログループは、新たな要員の採用活動と、過激なテロ活動を実行する動機づけの両方の手段として実際に陰謀論を利用することが判明している。

ロブ:じゃあ、僕が番組の最初の方で話した歯磨き粉の事は医学に関する陰謀論なのかな?

アリス:そうよ。

ロブ:しかしもっと深刻な事例は、親がワクチンに害があるという根も葉もない考えのせいで病気を防ぐ予防接種を子供に打たないようにする事。'unsubstantiated'とは、「証拠に基づかない」という意味。

アリス:その通り。では、番組の前の方で私が質問したことを憶えているかしらロブ? アメリカの人口の何割くらいが、ジョン・F・ケネディ大統領の暗殺が単独犯によるものではないと信じているでしょう? それは… a) 6%? b) 16%? それとも c) 60%?

ロブ:うん、僕はb)の16%と言ったよ。

アリス:そして、今日のあなたはハズレよロブ、残念。実際の正解はc) 60%でした。この統計は2013年に行われたギャラップ世論調査に基づいていますが、それによれば今なおアメリカ人の明らかな多数派は、銃撃犯リー・ハーベイ・オズワルドの他に誰かが関与していたと信じていることを示しています。

ロブ:僕が予想した以上だったよ。でも、それが核心をついているかも。

アリス:またそんなことを言って…、いいかげんいしなさいよロブ。皆さん、今日習った言葉を忘れないでくださいね。いきますよ、
to fake something
gullible
conspiracy theory
susceptible
cover-up
trait
paranoia
off the beaten track
paranormal
unsubstantiated

ロブ:今日の6 Minute Englishはこれでおしまい。またすぐ番組に参加してね!

二人:さようなら。

[ノート]
surround:囲む
suspicious:疑わしい

fluoride:フッ化物
nearly:ほとんど・危うく・だいたい
decay:腐敗・衰え・虫歯
theory:説・理論・見解
drug company:製薬会社
affect:作用する・影響する・病気が侵す
dumb:バカ
ridiculous:ばかげた・おかしな・不合理な・話にならない
funny:おかしい・ユーモアのある・奇妙な
mention:言及する・触れる・話題に出す
Apparently:一見したところ~のようだ・聞いたところどうも~らしい
footage:フィート数・フィルムの長さ・映像・ビデオ
flutter:パタパタ揺れる・はためく・羽ばたきする
fake:ふりをする・偽造する・ねつ造する・だます
appear:~と思われる・~に見える・~らしい・出現する
realize:気付く・実感する・体得する・実現する
gullible:だまされやすい
persuade:説得する・納得させる・口説く・信じ込ませる
distrust:不信・信頼しない・疑惑
authority:権力・支配者・官庁・出典
conspiracy:陰謀・謀略 conspiracy theory:陰謀論・陰謀説
belief:考え・信念・信じること
be responsible for:~にたいして責任がある・~の原因となる・関与している
focus:焦点を合わせる・関心を集中させる・重点的に取り組む
intellectual:知性の・理知的な intellectual power:知能・頭脳・知的能力
proportion:割合・比率・釣り合い・分け前
assassination:暗殺
lone:唯一の・周りに誰もいない・単身の
gunman:殺し屋・犯罪者・早撃ち名人
susceptible:影響を受けやすい・感染しやすい・多感な・~を受け入れられる
stereotype:典型・紋切型・過度に単純化したイメージ
loner:人と交わらない人・孤独な人・一匹狼
in actual fact:実のところ・実際には・事実上
cover up:隠す・すっかり覆う・取り繕う
attempt:試みる・~しようと努力する・企てる
prevent:防ぐ・阻む・抑える
Goldsmiths:ゴールドスミス・カレッジ イギリス・ロンドンのニュークロスに本部を置く、ロンドン大学を構成する研究・教育機関である。ただしロンドン大学を構成する他の教育・研究機関同様、個別の大学として通常扱われる。1891年に創立、1904年にロンドン大学に加盟。(wikipediaより)
the University of London:1836年に設立された、イギリスのロンドン市中心部、ラッセル・スクウェアに本部を置くカレッジ制の大学である。各カレッジはそれぞれ独立した別の大学であるため、ロンドン大学という大学が単体で存在する訳ではない。(wikipediaより)
talk more about:~についてもっと話す・詳しく話す
Psychology:心理学
quite a few:かなりの数・かなり多くの
personality:人柄・性格・個性
dimensions:寸法・大きさ・側面・様相・特徴
surprisingly:驚くほどに・驚いたことに・意外にも
paranoia:病的な疑り深さ・偏執症・妄想症・被害妄想
openness:開放性・開かれている・寛容さ
be willing to:~する意志がある・進んで~する・~に前向き
entertain:楽しませる・もてなす・受け入れる・考慮する
off the beaten track:通り道を外れた・人里離れた・常道を外れた・他の人と同じやり方でなく beaten track:踏みならされた道
tend to:~しがちである・~する傾向がある
paranormal:超常現象・超能力がある人・科学で説明できない
trait:特徴・特質・痕跡
quality:品質・性質・人柄
unreasonable:理屈に合わない・不合理な・法外な
harm:害する
quite:全く・かなり
harmless:害のない・当たり障りない・罪のない
consequence:結論・帰結・重大さ・因果関係
be likely to:~しそうである
engage with:~とかみ合う・~に関与する
avoid:避ける・防ぐ
vaccinate:予防接種する・ワクチンを打つ
recruit:採用する・募集する・兵士として軍務に就かせる
motivate:刺激する・動機を与える・意欲を起こさせる
carry out:実行する・遂行する
extreme:極度の・端にある・行き過ぎた
unsubstantiated:立証されていない・根拠のない・根も葉もない
support:支持する・裏付ける
evidence:証拠・根拠・証明
statistic:統計値
Gallup:1935年にジョージ・ギャラップによって設立されたアメリカ世論研究所(American Institute of Public Opinion)を前身とする。本社をアメリカ合衆国のワシントンD.C.に置くとともに、世界の30近くの国に拠点を設けて世論調査などを行っている。(wikipediaより)
poll:投票・世論調査
suggest:提案する・勧める・意味する・示唆する
clear majority:明らかな過半数
involve:含む・参加させる・伴う
expect:予想する・期待する
have a point:的を射ている・核心をついている・一理ある・もっともだ
There you go again:ほら、また始まった・またやってるよ
let me remind:忘れないでください・覚えていてください

ワクチン陰謀論は日本にもありますね。