American Mosaic
'Curious George' Explores Ramadan
July 06, 2016

curious9

VOAのリンクはこちら→'Curious George' Explores Ramadan

彼は自転車に乗り、メダルをもらい、凧をあげ、そしてアルファベットを覚えた。彼は宇宙旅行までしたことがある。

「おさるのジョージ」シリーズが1941年に始まって以来、この児童書の愛されるキャラクターは様々な祝日のお祝いもしてきた。いたずら好きな子ザルは、クリスマス、ハヌカーそれにイースターの習わしを体験してきた。

しかし75年間、おさるのジョージがラマダンをお祝いしたことはなかった。

これまでは。

新作「おさるのジョージ、ラマダンってなあに」の中で、ジョージはイスラム教の神聖なる月を体験したのだ。

メリーランド州にあるイスラム教の宗教施設、the Diyanet Center of Americaでは、新作のために公開のイベントを行った。8歳のアミナちゃんは、ジョージのような人気キャラクターがイスラム教の人達を描いていて嬉しいと話している。

「おさるさんがラマダンをお祝いしているのを見て、それに色んなことをしていて、私は驚いたの」と少女は話している。

作者のヘナ・カーンはパキスタン系アメリカ人でイスラム教徒だ。彼女は、ジョージが深夜の宴会のための料理を作っている様子を描いた。また彼女が描いたジョージは、友達のカリムと昼間はずっとゲームをして遊んでいる。それは、カリムの日中の断食、つまり食事ができない時間を守れるようにしてあげるためだ。

遅い時間になると、夕べの祈りの平和な調べを楽しみながらジョージは甘いナツメヤシを食べて断食を中断する。その後はモスクに行き、人気者のサルはイスラム教の導師が貧しい人への食事を準備したり衣類を集めるのを手伝う。

日々の祈りと、断食と、貧しい人々に施しをする丸一ヵ月のあと、おさるのジョージは断食の終わりとなるイード・アル=フィトルを祝う。

カーンは、出版社のホートン・ミフリン・ハーコートから本の執筆の打診があったと述べている。同社は「おさるのジョージ」シリーズを75年にわたり出版している。

curious0
カーンによれば「ホートン社が私のことを知ったのは、私がイスラム教とラマダンについての子供向け書籍をすでに二冊書いていたからです。彼らは私に、この本の制作に興味がおありでしょうかと尋ねてきました。もちろん私はこのチャンスに大喜びでした。これほど愛されているキャラクターにラマダンを紹介し、それは同様にとても多くの子供たちにラマダンを紹介することができるのですから。」

5月に出版されると、この本はAmazon.comでベストセラーになっている。

ラマダンは終わりを告げたものの、カーンとおさるのジョージは引き続きアメリカ各地を忙しく旅し、本の応援をしている。

メリーランド州で行われたカーンが本を朗読するイベントには200人以上の人が集まった。

マリアムは5歳の子供を持つ地元の母親だ。彼女は、この本がラマダンを説明する、特にイスラム教徒ではない人に説明するのに役立つことが気に入っていると話している。

マリアムはこう述べている。「とても幼い頃から子供たちに教えてあげるべき美しい一ヵ月についての本が出版されて本当に嬉しいです」

アンナ・マテオでした。

[ノート]
Explore:探究する・探る・調査する・検討する・見て回る

beloved:愛する・最愛の
playful:よくはしゃぐ・ふざけたがる・遊び好きな・陽気な
take part in:参加する・出場する
Hannuka:ハヌカーはユダヤ教の年中行事の一つで、マカバイ戦争(紀元前168年 - 紀元前141年)時のエルサレム神殿の奪回を記念する。アンティオコス4世エピファネスと異教徒によって汚された神殿の清めの祭りである。キスレーウ(ユダヤ暦の第9月)の25日から8日間祝う。ハヌカーはキリスト教のクリスマスとほぼ同じ時期に祝われるが、この二つの祭日は起源も性格も異なる。(wikipediaより)
Ramadan:ラマダーン(またはラマダン)は、ヒジュラ暦の第9月。この月の日の出から日没までのあいだ、イスラム教徒の義務の一つ「断食(サウム)」として、飲食を絶つことが行われる。「ラマダーン」を断食のことと誤って捉える人も少なくないが、ラマダーンとはあくまでもヒジュラ暦における月の名である。この断食の習慣は、624年、マッカの大規模な隊商をムハンマドが300人ほどの当時の信者全員と共に襲おうとし、それの阻止にやってきたマッカの部隊を返り討ちにできたことを神の恩寵と捉え、記念したことに始まる。(wikipediaより)
Muslim:イスラム教徒
Islamic:イスラムの・イスラム教の
Diyanet: is a Turkish word for office or authority for Islamic, religious affairs.(wikipedia英語版より)
expressed:述べる・言う・表現する・伝える
represent:表す・象徴する・務める・描く・描写する
stuff:物・物事・事柄・がらくた・素質・要素
late night:深夜の
feast:祝宴・宴会・饗宴・祝祭日
throughout the day:一日中・終日
keep a fast:断食日を守る
fast:断食・精進
evening prayer:祈祷書に定められた祈祷を行う毎夕の礼拝・カトリックの晩課・英国国教会の晩祷式
date:(ここでは)デーツ・ナツメヤシの実
break:(ここでは)中断する
famed:有名な・名高い
imam:イスラム教の導師・指導者・師
Eid-al Fitr:イード・アル=フィトルは、イスラム教の祝日で、ラマダーンの終了を祝うもの。単にイードと略されることもある。イードはアラビア語で祝宴を意味し、フィトルは断食の終わりを意味する(自然という意味のフィトラが入っているという解釈もできる)。そのため、この行事は断食の終わりの象徴として行われており、ヒジュラ暦の第10月であるシャウワール(Shawwal)の初めに行われる。(wikipediaより)
Houghton Mifflin Harcourt:ホートン・ミフリン・ハーコート 1832年に創業のアメリカのボストンに本拠を置く教科書出版
invite:招く・誘う・勧める・頼む
overjoy:大喜びさせる
in turn:順に・次々に・今度は・同様に・お返しに
come to an end:終わる・終結する・満了する
in support of:~を支持して・賛成して・支援して
showed up for:出席する・顔を出す・姿を現す・訪問する
read:(ここでは)声に出して読む・読み聞かせる

「It's Ramadan, Curious George」発売の記事は日本語でもありました。AFP-BBの「「おさるのジョージ」、ラマダン明け祝う 絵本発売(2016年07月07日)」。タイトルの和訳「おさるのジョージ、ラマダンってなあに」は、この記事の訳語をいただきました。なるほどと納得する訳です。エントリー冒頭の写真もAFP-BBからの引用です。
US版のamazonを見ると、本当にベストセラーになっていて、レビューも多く高評価です。
curious3
curious4
ドナルド・トランプが大統領候補になる一方で、こうした本が評価され売れるのはアメリカらしく感じます。amazon.co.jpで「おさるのジョージ ラマダン」で検索しても出ないので、日本語版はないようです。
curious1
curious2
US版amaoznでは確かに、様々な行事に参加するジョージの本が出ています。
curious6
curious7
日本版で「おさるのジョージ」全カテゴリーの検索結果は1,500件弱。対してUS版「curious george」all departmentsは12,000件。かなり差があります。
wikipediaによれば、

『ひとまねこざる』と『おさるのジョージ』
『ひとまねこざる』は、ハンス・アウグスト・レイとマーグレット・レイの夫妻による絵本のシリーズであるが、ハンス・レイの死後、この作品を原案にした『おさるのジョージ』シリーズがヴァイパー・インタラクティヴによって1998年より制作され、挿絵はヴァイパーや、マーサ・ウェストンが担当した。レイ夫妻原作の作品も『おさるのジョージ』として紹介されることがある。

とあります。最初の作品が1941年、サザエさん(1946年開始)より古いので、さすがに作者は代替わりしています。
curious8
初期作品は絵柄も違います。

今回のヘナ・カーンのように、テーマによって外部の専門家が作者として招聘されるのでしょうか。なかなかユニークです。
最後に、出版社がHoughton Mifflin Harcourtと書かれていますが、同社は2012年に一度、倒産しています。不景気.comというサイトの記事。「米教科書出版の「ホートンミフリン」が破産法第11章を申請(2012年5月22日)」記事を引用すると、

アメリカのボストンに本拠を置く教科書出版の「ホートン・ミフリン・ハーコート・パブリッシャーズ」は、5月21日付でニューヨーク南部の連邦破産裁判所へ破産法第11章(日本の民事再生法に相当)を申請したことが明らかになりました。
1832年に創業の同社は、幼稚園から高校までの教科書および学習書の出版を主力に事業を展開し、アメリカ国内の教科書出版ではトップシェアを誇るほか、世界120カ国・約6000万人に使用されるなど高い知名度を有していました。
しかし、景気低迷による公費の削減で自治体から注文のキャンセルや延期が相次いだほか、電子書籍をはじめとするオンライン教科書などとの競争激化で業績が悪化したため、債務の削減を目的として事前調整型の破産法申請に至ったようです。
負債総額は約35億ドル(約2800億円)の見通しです。

業績悪化の原因が「オンライン教科書などとの競争激化」とはアメリカらしい。そして債務整理を経て、2013年11月に再上場しています。The Wall Street Journal日本語版の記事「米教科書出版ホートン・ミフリンのIPO、公開価格上回る(2013年11月15日)」
その後の業績はどうなんでしょうか。